パリでどら焼きブーム! “究極のどら焼き作り”を感動体験:世界!ニッポン行きたい人応援団

公開: 更新: テレ東プラス

ニッポンに行きたくてたまらない外国人を世界で大捜索! ニッポン愛がスゴすぎる外国人をご招待する「世界!ニッポン行きたい人応援団」(毎週月曜夜8時~)。毎回ニッポンを愛する外国人たちの熱い想いを紹介し、感動を巻き起こしています。

今回は、最近パリでも大注目! 「どら焼き」の虜になったイタリア人女性・ニコレッタさん(49歳)を紹介。

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結婚を機にカナダへ移住したというニコレッタさん。お宅にお邪魔すると、まずはあんこから生地まですべて手作りのどら焼きでもてなしてくれました。

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「どら焼きは、欧米のお菓子より低カロリーだし、特にあんこは食物繊維やビタミン豊富な小豆で作ります。スイーツの本場・パリでも大人気で、世界が注目するヘルシーなお菓子ですよ」と話してくれるニコレッタさん。実は今、パリを中心にヨーロッパでどら焼きが大流行! パティシエたちがこぞってニッポンのどら焼きを創作し、ミシュランガイド2つ星のシェフ、ティエリー・マルクスさんもどら焼きをテーマにしたカフェをオープンするほど。

人気の理由は何といってもあんこ。小豆に含まれるポリフェノールは赤ワインの2倍近く、食物繊維に至ってはゴボウの3倍! 健康志向の強い欧米人があんこを使った和菓子に大注目しているのです。

ニコレッタさん手作りのどら焼きを試食してみると、とても独学で作ったとは思えないおいしさ。
本やインターネットで調べて、少しでも日本の味に近づけたいと研究するニコレッタさんは、「砂糖で豆を甘く煮るなんて素晴しい発想だと思います」と話します。欧米や南米では、豆はあくまで食事で味付けは塩が定番。甘く味をつけ、お菓子にするのはニッポン独自の文化だそう。

そこで今回は、まだニッポンに行ったことがないというニコレッタさんをご招待!

憧れのどら焼き職人を訪ねて...

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ニッポンに来てまずニコレッタさんが向かったのは、静岡市にある夫婦経営のどら焼き専門店「河内屋」。お店のご主人・森廣良さんにニコレッタさんの熱意を伝えたところ、快く受け入れてくださいました。お店に着くと、早速「ニコちゃん、どうも!」とフレンドリーに出迎えてくださった森さん。昭和63年、妻・美千代さんと一緒にこのお店を始めました。

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素材と製法にこだわったどら焼きを求め、県外からも多くのお客さんが。森さんが焼くどら焼きの皮を眺め、感動しっぱなしのニコレッタさん。一滴もこぼさずに生地を焼いていく様を見て...。

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どら焼きを作るのは、午前11時30分と午後3時の2回で、1日350個限定。材料の仕込みに手間がかかるため、これが森さん一人で作る限界だといいます。値段はひとつ120円で、一度に買えるのは1人5個まで。これは「1人でも多くの人に食べて欲しい!」という森さんの想いから。

行列に並んだ末、やっと自分の番になり、初めて本物のどら焼きを手にしたニコレッタさんは、温かさや美しい色や形に「ビューティフル!」を連発。「感触だけで中に美しいあんこが入っていると感じます。なんというやわらかさ! ただただ美しい!」と食べる前にも存分にどら焼きを堪能(笑)。そしていよいよ一口食べてみると...。

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幸せに満ちた大きなため息を...。それからはもちろん「オイシイ。デリシャス!」との感想でしたが、「あんこが甘すぎなくて上品です」と、早くも細かいところまで気づきがあったよう。

ニコレッタさんがどら焼きの素晴らしさとあふれんばかりの思いを伝えると、森さんは「ありがとう! よく来てくれて。うちを選んでくれてありがとう」と謙虚な姿勢を崩しません。「ご夫婦でやっているのがすごく素敵です」と言うニコレッタさんに「最高のワイフ!」と答える森さんからは、温かい夫婦の愛情が伝わります。

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行列ができる「どら焼き」作りの原動力

閉店後、ニコレッタさんが再びお店を訪れると、厨房で待っていてくれた森さん。まずはどら焼きの味の核となるあんこ作りを教えていただくことに。

河内屋には試行錯誤の上たどり着いた様々なこだわりがありました。小豆は自ら厳選した十勝産の最上級のものを。ニコレッタさんいわく「美しいです。北米産とは全然違います」とのこと。

あんこ作りは前日の午前中から始まります。小豆を丁寧に洗い、釜へ。空気に触れると皮が破けやすくなるため、たっぷりの水で火にかけます。弱火でじっくり5時間半。これほど時間をかけるのは、やわらかく且つ粒の形をキレイに残すため。指でつぶし、ゆで上がり加減を見極めます。「とってもやわらかいです!」とニコレッタさん。

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もう一つの大切な素材が砂糖。高級和菓子に使う白双糖(しろざらとう)を使います。これにより、雑味がなくスッキリとした甘みになるとのこと。白双糖と小豆を銅釜に入れ、再び煮ます。水を吸った小豆の重さはなんと25kg! あんこをしっとりさせるため、羊羹などに使う寒天を加えるのは森さんのアイデア。ニコレッタさん、しっかり書き留めます。

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小豆が潰れてしまうので、「あんまりかき回さないようにね」とコツを教えて下さる森さん。
小豆の状態を確認するため、深夜11時近くまで3時間ほぼつきっきりです。あんこを作るだけですでに8時間半が経過。実は、森さんが絶対に手間を惜しまないのには、ある理由がありました。以前三島で開いたお店を潰してしまった過去があったのです。「だから俺はもう、これに命懸けてやっている」と熱く語る森さん。「もう二度と同じ失敗はしたくない」という思いが、森さんの原動力になっているそうです。だからこそ、美味しくするためのひと手間を惜しみません。

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いよいよあんこの仕上げに...。水あめを入れることで甘みが柔らかく、上品になるそう。

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13時間かけてあんこが完成! 一晩寝かせることで味がなじみ、絶妙な食感になるのです。「輝いていてすごく美しいです!」とニコレッタさん。森さんからは、こんな言葉も!

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河内屋こだわりの生地作りとは?

お昼には、森さん手作りのバターチキンカレーと天津飯をいただきます。和菓子以外も、本格的な腕前を持つ森さん。午後はいよいよ生地の作り方を習います。

卵には、香り、コク、旨味を引き出すための隠し味として、キャップ1杯の醤油を加え、約1000回もかき混ぜるとのこと。こうすることによって生地の切れがよくなり、焼き上がりも美しく、空気を多く含むのでふっくらとした食感になります。

ニコレッタさんも、卵を100回混ぜさせていただくことに...。ポイントは切るように混ぜること。その手つきを見た森さんからは、最高の褒め言葉が!

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これに、グラニュー糖、小麦粉、湯煎して香りだけを残した日本酒やハチミツ、重曹、冷水を加え、河内屋こだわりの生地が完成しました。

生地を焼くのにもっとも大切なのは、「銅板の温度」と話す森さん。これが一番難しく、その日の気温や湿度によって微調整しているとのこと。どらさじという専用の道具を使って器用に生地を焼いていきます。

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いかに生地を垂らさず上手に切るかなど、細かなコツもすべてニコレッタさんに教えてくださった森さん。最後はニコレッタさんが焼いたどら焼きを一緒に食べて、「最高!」との言葉を贈ってくださいました。ニコレッタさんも「このような名店でどら焼きを焼かせてもらえたなんて、本当に幸せです」と感謝の気持ちを伝えます。

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お別れの時。永遠の感謝を伝えるニコレッタさんに、森さんからどらさじなど職人道具一式のサプライズプレゼントが! 驚きと喜びでいっぱいのニコレッタさんは、森さんご夫婦とハグをして別れます。

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日本を代表する十勝産・極上小豆が生まれるまで...

さて、続いてニコレッタさんが向かったのは、厳寒の北海道帯広市に位置する十勝平野。「あんこの原料の小豆についても知りたい」という彼女の希望で、十勝とやま農場にお邪魔しました。ここでは、小豆の選別作業と小豆料理を教えていただくことに。出迎えてくださったのは外山聖子さん。

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十勝とやま農場は、2017年に北海道入植100周年を迎えた伝統ある農家。東京ドーム8個分の農地で、小豆やじゃがいもなど約10種類の作物を生産しています。

早速、今季収穫した小豆を見せていただけることに。

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エリモショウズは、1980年代に品種改良されて誕生した十勝を代表する品種。粒の大きさと美しさをあわせ持ち、多くの有名和菓子店で使用されています。選別作業は非常に細かく、機械で大きさを選別した後、一粒残らず人の目でチェック。色・形の悪いものや皮の破れているものは取り除いていきます。

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目が疲れてしまうので長時間は続けられない作業だそう。こうして選別したものをさらに磨きます。

この日、朝から外山家では、「お餅でおいしく小豆を食べて欲しい」と、ニコレッタさんのためにお餅をついてくださっていました。

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つきたてのお餅で、大福、いちご大福、きなこ餅やからみ餅を作ります。

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いちご大福をおいしそうに頬張るニコラッタさんは「3つの味と食感のハーモニーが素晴らしいです!」と感想を。さらに夕食では、農家直伝の小豆料理を教えていただきました。冬至の日に食べるいとこ煮(小豆とカボチャの煮物)や赤飯、いもだんごのお汁粉など、まさに小豆づくし!

あんこ以外の小豆料理をたくさん教えてもらい、「視野が広がりました」と感謝するニコレッタさん。外山さんからも「ニコレッタさんのように、本当に小豆が大好きという方がいるということを実感できた。楽しい、嬉しい、ありがたいひと時でした」と温かいお言葉をいただきました。

別れの時。小豆で作った小豆イヤリングや手作りの鍋帽子(鍋にかぶせて余熱調理するグッズ)をプレゼントしていただき、とても嬉しそうなニコレッタさん。

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「ニッポンのみなさんは本当に優しくて礼儀正しく、温かったです。この経験を糧に、カナダでもっと美味しいどら焼きを作れるように頑張ります!」と話してくれました。ニコレッタさん、またの来日お待ちしています!

そして、今晩6時55分~放送の「世界!ニッポン行きたい人応援団スペシャル」では...。

アルゼンチンで1万人が参加する盆踊り大会がある。日系人や地元の人が参加する南米最大級のお祭りで、ニッポン好きを大捜索! 応募者141人の中から、押し寿司を愛してやまない男性を発見。この男性は両親が定食屋で和食を出していたこともあり、日本で寿司を学ぶことが夢。首都ブエノスアイレスの料理教室で和食を教えているが、「日本で箱寿司を学びたい!郷土寿司を食べたい!」というのでご招待!

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まずは、郷土料理を食べてみたいというので山口県岩国市へ。岩国市観光課や地元の方々の協力を得て、日本一大きいといわれる岩国寿司を作る。さらに、憧れの大阪寿司の老舗へ。憧れの店で押し寿司の作り方や意味などを習い、大興奮! この他、サッカー香川真司選手などの影響で空前の日本ブームとなっているトルコ共和国で、ニッポンに行きたい人を大捜索する!

どうぞお楽しみに!