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これからの日本映画を担う白石和彌監督インタビュー。意外にも"超常識人"だと判明した前編に続く「後編」は、これまでの作品に出演した役所広司山田孝之松坂桃李らの役者としての魅力、これから公開の新作について、さらには家族や帽子などプライベートの話まで、いろいろ角度から白石監督の人となりに迫る!

白石監督インタビュー【前編】はこちら!

前編で「どうしようもないヤツを映画にしていきたい」と語ってくれた白石監督。今年公開予定の映画『凪待ち』で香取慎吾演じる主人公は、監督の作品の中でも最大級にどうしょうもないヤツ!?というところから話はスタート!

見たことのない香取慎吾が見られる最新作

――今年は、4月5日(金)には斎藤工さん主演『麻雀放浪記2020』、さらに香取慎吾さん主演の『凪待ち』の公開も控えています。その見どころを教えてください。

「『凪待ち』は、僕の映画の中で最大級にどうしようもないヤツが主人公です。誰も見たことない"香取慎吾"になっていることだけは約束します。

香取さんは"ハットリくん"や"両さん"などの作り込んだ役をやっているイメージが強いですが、彼の"普通にいそうな人"を見たかったんです。これまでメジャーな世界でやってきた人ですが、昔からの日本映画というか、もっとアートに寄った中での香取さんを見てみたいと思ったし、その才能はあるとずっと思っていたので」

――では、この映画の話が来た時は...

「すぐOKですよ。よくぞ!と、うれしかったです」

――この企画で話が来たのですか? それとも香取さんで何かをやってほしい、ということで監督からこの企画を、ということだったんですか?

「どちらかというと、企画はこちらからですね。ずっとやりたいネタではあったので」

――実際に香取さんとお仕事をされてみて、いかがでしたか?

「アジャスト能力がすごい。ビックリしました。20年以上、今もトップランナーを続けているということはどういうことなのかと、まざまざと知ったというか。自分がやってきた世界がいかに狭かったというか。いろんなことを考えさせられます」

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――間もなく公開の『麻雀放浪記2020』についてもお聞きしたいのですが。1945年から2020年へとタイムスリップした主人公・ギャンブラー"坊や哲"を演じる斎藤工さんは、いかがでしたか?

「斎藤さんは最高です。黙々とやるんだけど、妙な色気を常にまとっていて。もっとポップなのかと思ったら、想像以上に"昭和感"があるんです。それもすごく良かった。本人も"坊や哲"をずっとやりたがっていたんですよね。超面白いですよ。これ以上に頭のおかしい映画はないんじゃないかな(笑)」

――公開前から早くもそのぶっ飛びぶりが話題ですが、ジャンルとしてはSFなんでしょうか?

「タイムスリップするからSFと言ってもいいんでしょうけど、だんだん、それもどうでもよくなっていくんです(笑)。『何見てるんだろうな?』という感じになると思います(笑)」

――またこれまでとは全く違った作品ですが、監督は以前からこういうものを作りたかったんですか?

「どうなんだろう?(笑)。『麻雀放浪記』でこうなるとは、僕も思っていなかったので。いろいろブレストかけるうちに、そうなっていって。むしろ、自分自身で『俺はこういうのも撮れるんだ』と自信になった映画ですね。ぜひ観ていただきたいです。頭をぶん殴られる感じです(笑)。ブルーリボン2年連続でもらって快挙!と言われて、その次がこれか、と(笑)。衝撃作です」

永遠の片思い?クリエイターを刺激する山田孝之の魅力

――今年公開の2つの新作は"今まで見たことがない"が共通ワードですが、これまで一緒にやってきた役者さんの中で、今まで見たことがないこの人のこんな姿を見せることができた、という方はいらっしゃいますか?

「役所(広司)さんですかね。『孤狼の血』で仕事できてよかった。終わった後、『写真撮ってください』とお願いしましたから(笑)。

僕が助監督を始めた頃はVシネマが盛んで、『シャブ極道』や『バウンス ko GALS』で、役所さんはヤクザの役を結構やってるんですよ。40代の頃の、ヤクザを演じる役所さんがキレキレで、僕は大好きだったんです。そこから還暦を過ぎた役所さんが、さらに渋みを増して、『どんなヤクザのおっさんになるんだろう?』と、それを見たいという願望ですよね。実際は刑事役なんですけど。すごく楽しかった」

――『孤狼の血』では、松坂桃李さんもこれまでにはない新たな一面を見せたような気がします。

「そう言っていただけるのはありがたいです。桃李くんは、これからスター街道を歩いていくと思いますし。役所さんとあんな形でバディを組む若い俳優はそうそういるもんじゃないから、『桃李くんはこれをやると、より大きい役者になるだろうな』、そして『なってほしい』という思いも込めました。すごく真面目だから、彼は」

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――今後、撮りたい題材や組んでみたい俳優さんはいらっしゃいますか?

「ずっと言ってますが、時代劇をいつか撮ってみたい。役者は、いろんな人とやりたいです。山田孝之さんとは『凶悪』以来、仕事をしていないので、彼とまた仕事をしたいというのが一番強いかな」

――山田さんは、いろんなクリエイターから「組みたい」と言われる存在ですね。

「毎回、恋愛が成就しない感じというか、抱きしめようとすると次に行っちゃっているという感じがあって。みんな"片思い"が続いているんでしょうね」

――そんな山田さんの役者としての魅力とは何でしょう?

「まずは、フォトジェニックということ。去年の僕のベスト1映画は『ハード・コア』なんですが、観ている間、幸せでしょうがなかったです。山下(敦弘)監督がうらやましいな、と。すばらしい映画だった。山田くんのアプローチもそうだし、本当に見ていて飽きないんです」

――現場での山田さんはどんな感じですか? 1を言えば10全て分かってくれるような役者さんだったりするのでしょうか。

「そんなことはないですね。むしろ不器用だと思います。ずっと部屋の隅にいて、ピエール瀧さんとリリー(・フランキー)さんがキャッキャしていても、静かにしてくれないかなという感じで(笑)。役柄も関係あると思いますが、『凶悪』の時は打ち込んでいるという印象が強かったですね」

――監督方をはじめとするクリエイターだけでなく、山田さんは役者仲間からも大人気ですよね。

「山田孝之の芝居を真似できている人は、いないんです。つかみどころがないからなんでしょうけど。そこをちゃんとつかんでみたいというのが、クリエイターにもあるんだと思います。僕もそうなんだろうな」

プライベートでは優しいパパ! 趣味は"万年初心者"の○○

――お仕事以外の姿もうかがいたいのですが。まず、趣味は何ですか?

「何もしたくないときは大体映画を観ちゃうんですけど、それもしたくないときは、"万年初心者"のアコースティックギターをポロポロやって、家族から『それ、いつまでやってるの!?』と言われます(笑)」

――"万年初心者"というのは、いつからやってらっしゃるんですか?

「ギターは18歳の頃から始めました」

――では20年以上! それはご謙遜で、きっとお上手なはず。人前で演奏することはないんですか?

「ないです。万年初心者なんだから(笑)。あと趣味というと何だろうな......だんだん娘も遊んでくれなくなっちゃって。春から小学校6年生なんです」

――家ではどんなパパなんですか?

「優しい優しい。あまあまです」

――娘さんと映画を観に行かれたりは?

「折々、映画館に連れていくようにはしています。アニメばかり見ていたから、実写を見せたいと思って。なるべく分かりそうなのを」

――娘さんは、白石監督の作品を観ますか?

「『止められるか、俺たちを』は、観たらしいです。あの年にしてはきついシーンがあったみたいで『怖いシーンもあった』と。あと『パパが出てた』と言われました。大人になってもう一回見たら、すごく残る映画になると信じているので、今、観せておいてよかったと思います」

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白石和彌監督Twitterより( @shiraishikazuya

――白石監督と言えば、帽子姿が印象的です。いくつぐらいお持ちなんですか?

「20個ぐらいじゃないですかね。特にこだわりはないんですが、スタッフとかいろんな方からもらうんですよ。地方ロケで地元の漁師さんにお世話になって一緒に飲んだりすると、撮影が終わるぐらいに帽子をもらったりして。『凶悪』の公開のときは、リリーさんからももらいました。チャップリンのような帽子です。まだ一度もかぶってないので、いつかぶそうかなと。日本アカデミー賞かな(笑)」

テレ東プラス

ワイドショーのアシスタントを2年間つとめた後、30歳を「女優元年」として新たなスタートをきった藤田弓子さん。念願だった映画にも『泥の河』(1981年・小栗康平監督)をはじめ多数出演し、大林宣彦監督『さびしんぼう』でキネマ

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