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主治医が見つかる診療所」(毎週木曜夜7時58分)は、第一線で活躍中の医師たちが、病院選びのコツや最新の健康法など、医療に関するさまざまな疑問に答える知的エンターテイメントバラエティです。

今回は、同番組のレギュラー・秋津壽男医師に、もしかしたら脳貧血?これって食物アレルギー?という視聴者の疑問に答えていただきました。日常の飲食後に起きた症状に注目してみましょう!

トイレ後は要注意!脳にも貧血がある?

Q:30代男性です。居酒屋で1~2杯飲んだ後にふらつきを感じ、トイレに向かう途中で倒れて気を失ってしまいました。しばらくして意識は戻りましたが、救急車を呼ぶ騒ぎに......。これまで飲酒中に倒れた経験はなく、酒量もあまり多くはありません。ネットで調べてみたところ「脳貧血」という病症があるようですが、どのような状態を指すのでしょうか。

―― 脳貧血とは貧血の一種ですか。

「貧血は"血が足りない"病気で、文字通り血液の量が足りない人と血が薄い人がいるのですが、ほとんどの場合は後者で全身に酸素を運べない状態をいいます。朝がつらいという女性や、走ったりすると体がすぐに疲れるという人によくみられるのが、こうした全身の貧血ですね。一方、相談者が気にしている脳貧血は、体は健康で貧血ではないけれど、一時的に脳に酸素がいかなくなる状態です。脳にはたくさんの酸素や糖が必要なため、普段は多くの血液が送られていますが、ある条件が重なると、手足には血液がいっても脳にはいかなくなるんですね。その状態が突然起こるのが脳貧血です。脳貧血は、血圧が急に低くなる、脈拍が急に遅くなるという2つの理由で起こります」

―― 脳貧血になる原因をもう少し教えてください。

「まず血圧が低くなるのは、血管が広がったから。お酒を飲む、お風呂に入って体が温まる、暖かい部屋に入る、座った状態から急に立ち上がって頭の位置が高くなるというようなことがあると、血圧はすっと下がります。本来私たちの体は、突然立ち上がっても一瞬のうちに血圧を上げ、脳に十分血液がいくようにできていますが、お酒を飲んでいたり、お風呂に入ったりして血管が広がっていると、それが数秒遅れてしまうことがあります。また、そうした調整自体がうまく機能しない人もいます。いわゆる自律神経系の起立性調節障害です。ゆっくり立ち上がれば問題ないのですが、急に立ち上がると血圧がついていけない。例えば、上の血圧(収縮期血圧:血液を送り出すときの圧)が120 mmHgくらいの人が立ち上がった瞬間90 mmHgくらいに落ち、3~5秒経つとゆっくり脳に血流が追いつく、というのが一番多い脳貧血のパターンです」

―― この相談者も気をつけたほうがよさそうですね。

「そうですね。今回はトイレに向かう途中だったようですが、むしろトイレの帰りに倒れることが多いんですよ。特に排便時にしゃがんでいきんだ後、すっと立ち上がった瞬間に血圧は下がりやすいんですね。排便失神といいますが、立ち上がってズボンをはきかけたときに倒れるので、鍵がかかった状態で対応ができず大騒ぎになることもあります。ただ、脳貧血が回復したのは倒れたおかげでもあるんですね。先ほども話しましたが、脳貧血は頭に血液がいってない状態なので、横になることで頭の位置が低くなり、血流が戻って自然に回復したわけです。一番よくないのは、脳貧血になったままどこかにもたれかかっている状態。これでは脳の血流が戻るまでに時間がかかります」

―― もう一つの原因、脈拍とはどんな関係があるのでしょうか。

「小学生の朝礼などでよく見かけますが、迷走神経反射といって、いきんだり、急に立ち上がったり、呼吸を我慢したりしたときに迷走神経が過剰に反応して脈が遅くなるんですね。立ち上がった瞬間に脈拍のコントロールがおかしくなって、普通60回打つ脈拍が20とか30という具合に遅くなり、脳にいくトータルの血液量が減るわけです。3~5秒くらい止まったままの場合もあり、こちらは生命に関わる怖い病気です。この状態を繰り返す人はペースメーカーをつけて予防する必要があります」

―― 他にも脳貧血に似た症状の病気はありますか? また、脳貧血はどう予防したらよいのでしょうか。

「脳貧血に似た症状の病気として、シャイ・ドレーガー症候群という血圧をコントロールする自律神経そのものが障害を受け、起立性低血圧を起こす特殊な病気もあります。徐々に自律神経障害が生じてくる進行性の病気です。脳貧血の予防については、血圧の急な低下を防ぐためにゆっくり立ち上がることですね。自分はそういうタイプなのだと自覚し、あわてずに1拍置いて行動する、自宅の浴室には手すりをつけるなど、予防策をとるといいでしょう」

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突然発症?知っておきたい大人のアレルギー

Q:夕食後、首のあたりに違和感があって鏡を見ると赤い蕁麻疹が出ていて、しばらくすると気分も悪くなってきました。子どもの頃から特に食べ物のアレルギーはなく、その日の夕食では生モノなどは食べておらず、和食に食後の果物といったメニューでした。今後同様の症状が出た場合、どのような対処をするべきでしょうか。また、大人になって突然食べ物アレルギーになることはあるのでしょうか。

―― 「これまで大丈夫だったのに、突然アレルギー反応が出た」というケースをよく耳にするようになりました。

「アレルギーは、体内に入ってきた異物に対して体が反応し攻撃しているもので、一種の防衛反応です。一番わかりやすいのが、本来はどうでもよい花粉に対して必死に涙や鼻水を出し、入ってきた花粉を洗い流そうとする花粉症です。しかし、もともとアレルギーになりやすい体質はあっても、ほとんどは後天的に起こります。例えば、外国人も5年くらい日本に住んでいると花粉症になったりする人が多い。毎年毎年花粉に感作され、刺激されているうちに体が学習して悪者だとスイッチが入ってしまうわけです。食べ物も同じで、食べ続けるとアレルギーになりやすくなるので、好きなものにアレルギー症状が出ることも結構あります。ところがさらに摂り続けていると、それほど悪いものではないと再学習してアレルギーが収まることがあります。40年、50年とつらい思いをしていた花粉症も70歳くらいになると治ったりするのはそのためなんですね。これを脱感作といいます。ちなみに、最近保険適用になった舌下免疫療法も仕組みは同じで、普段からスギ花粉を体内に吸収させ、スギ花粉はどこにでもあって怖くないものだということを体に覚えさせる治療法です」

―― ということは、この相談者の蕁麻疹もやはり食事が原因でしょうか。

「たまたま相性の悪いものが食事の中にあったのでしょう。何らかの食物アレルギーが考えられますね。ただ、一概に食材の何が原因と言い切れない場合もあります。例えば、エビを普段から刺身でも天ぷらでも問題なく食べているのに、あるとき急にアレルギーが出てしまったとします。調べてみると、反応するのは芝海老だけで、しかも冷凍ではなく生のものに反応していた。××湾のものは大丈夫でも△△湾のものはダメ、というようにデリケートな違いがあるものもあります。

最近では『アニサキスアレルギー』も話題になっています。今まで鯖のアレルギーだと思っていたらイカでもときどき症状が出るようになり、血液検査をしてみると、鯖にもイカにもアレルギーはなく、イカやイワシ、鯖に含まれるアニサキスに対するアレルギーだったというものです。これは昔と違って新鮮な魚が流通することで、鯖やさんまを刺身で食べるようになったのが原因です。アニサキスも元気なまま届くわけで、この方もそれがアニサキスアレルギーの始まりになっている可能性があります。また、果物も要注意です。実は、花粉症の人は果物に対して交差耐性といって間違った(混乱した)アレルギーが出るんですね。スギ花粉の人はトマトを食べると、イネ花粉の人はサクランボを食べると喉がかゆくなるなど、特定の果物と特定の花粉の反応性がよく似ていると、体が捉えて口腔アレルギー症候群(OAS)を引き起こします。食後に果物を食べたとあるので、もしかするとその可能性もありそうですね」

―― アレルギーの症状にはどのようなものがあるのでしょうか。

「一番多いのはやはり皮膚の症状ですね。それと口の中のかゆみ。胃のむかつきや下痢になる人も稀にいます。ただし、これらは生命に関わる緊急性の高い症状ではありません。病院に行くのはゆっくりでも間に合います。血管が拡張するとかゆみが増すので、お風呂に入らない、お酒は控える、掻いたりこすったり刺激を与えずに冷やすといった対応をしましょう。

それとは反対に怖いのが喘息です。アレルギーの最悪なパターンで、そばなどで喘息が起きると呼吸ができなくなります。さらに、スズメバチで有名なアナフィラキシーを起こすと、体内に入った異物に過敏に反応して血圧が急激に下がり、数秒で生命に危機を及ぼします」

―― 今後はどうしらたよいのでしょう。

「食物アレルギーが出たら、今後のために何が原因かを突き止めることが大事です。先ほどのエビのように血液検査ではわからない細かいパターンもありますから、発作が起きたら必ずその日(24時間以内)に食べたものをメモしておくこと。何を食べたか、どんな食材だったか、どんな症状が出たのか、蕁麻疹ならどこに出たのかなどを記録しておきましょう。ノートでもスマホでも構いません。それが5つくらい集まれば、何となく原因も見えてきますよね。これが一番たしかな検査の材料になり、医療機関を受診したときの診断の助けになります。大人になっても突然アレルギーになることはあると、心にとめておくことも大切ですね」

――秋津先生、ありがとうございました!


【秋津壽男医師 プロフィール】
1954年和歌山県生まれ
1977年大阪大学工学部発酵工学科卒業 1986年和歌山県立医科大学卒業
1998年秋津医院を開業
日本内科学会認定総合内科専門医 日本循環器学会認定循環器専門医
日本医師会公認スポーツドクター 日本体育協会公認スポーツドクター
日本禁煙学会認定禁煙専門医
著書に「病気にならない新常識72」(法研出版)、「がんにならないのはどっち?」(あさ出版)など。

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今回お話を伺った中山先生も出演する「主治医が見つかる診療所」。明日3月7日(木)の放送は、「あなたもすでにやっている!?知らないと命を落とす、我が家のキケンな習慣」と「痩せる!肩こり&関節痛解消!超人気ストレッチの極意」の二本立てSP! 家庭に潜む危険な病気にならないための回避法や、「短時間で驚きの効果がある」いま話題のストレッチの極意をご紹介します!

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