物言う株主 村上世彰が再び...ホリエモンが語る村上氏の二面性:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

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3月5日放送のガイアの夜明け(毎週火曜夜10時)は、かつて"物言う株主"の異名で知られた投資家・村上世彰氏に密着。インサイダー取引による逮捕から13年、表舞台に舞い戻ってきた村上氏は、意外な姿でカメラの前に現れる。

海外を拠点に投資活動 東京ドーム8個分の不動産開発も

村上氏が率いていた「村上ファンド」がその名を轟かせていたのは2000年代初頭から中盤。5000億円にも上る資金を運用して莫大な利益を上げ、大株主となった企業に対しては厳しい態度で変革を迫った。

経営陣が恐れるほどの存在感を示していた村上氏。しかし2006年、インサイダー情報をもとにニッポン放送株を買い増したとして逮捕・起訴され、2011年に有罪判決が確定。2014年に執行猶予の期間を終えた。

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59歳になった現在、村上氏はシンガポールに移住していた。午前6時、約束の場所には、スポーツウェアを身にまとった健康的な姿で現れた。朝6時過ぎから8時過ぎまで10〜15キロ歩くのが日課だという。

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日本を離れて10年、投資家から預かった資金を運用するファンドマネージャーは辞めたものの、個人投資家としての活動を続けている。

村上氏が現在手がけているのは、マレーシアにある経済特区での不動産開発。東京ドーム約8個分の敷地にマンションや商業施設、オフィスなどが入る大規模な計画だ。完成は年内の予定で、販売会は大盛況となっていた。村上氏の資金は、他にもベトナムやカンボジアなどの大規模な不動産投資へ、そしてさらに日本の株式市場にも投入されている。

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かつて5000億円を動かしていた村上ファンドについて、村上氏は「(あのまま進めば)たぶん5兆円、10兆円になるとわかっていた。このビジネスモデルは鉄板」と、事も無げに振り返る。

シンガポールで悠々自適な生活を送る村上氏だが、心の中にいくつかのわだかまりを抱えていた。ひとつは、日本の"金儲け"に対する感覚。村上氏を有罪とした判決文には「安ければ買うし、高ければ売るのは当たり前と言うが・・・徹底した利益至上主義には慄然とせざるを得ない」と書かれていた。村上氏はこうした捉え方に違和感を抱き、「安く買って高く売る以外の商売があったら教えてよ。これがビジネスじゃないか」と憤る。

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そしてもうひとつ、村上氏が気にかけているのは「自分は今、何のためにシンガポールにいるのか」ということ。有罪判決を受けた後、シンガポールに活動拠点を移したが、その行動について「逃げていた、逃避していた」と自己分析する。村上氏の目は、すでに日本へと向き始めていた。

かつての盟友 ホリエモンが語る村上氏のA面とB面

昨年7月、日本の石油業界で出光興産と昭和シェル石油の経営統合が発表された。村上氏は、経営統合に反対していた出光の創業家を説得するなど、交渉をまとめるキーパーソンとなった。さらに昨年10月には、東京で「子どもの投資教育・実体験プロジェクト」の立ち上げを発表。村上氏が、中学1年生~高校3年生までの100人に、1人あたり10万円を提供。若い人たちに投資を実体験してもらうという内容だ。

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自身も小学5年生の時に投資を初体験。貿易商で投資家でもあった父親の背中を見ながら、投資のイロハを学んだ。村上氏は、そんな自身のキャリアについて「宿命」と言い切る。その宿命をなぞるかのように、村上氏の長女・絢さんもまた、投資家の道を歩み始めている。

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取材班は、村上氏のかつての盟友・堀江貴文氏にインタビュー。堀江氏は、現在の村上氏の姿を「変わらない。生命力がある」と表現した。さらに「投資家・村上世彰のA面とB面」という切り口で、コーポレート・ガバナンス(企業統治)を熱く語る"A面"も、カネ・カネ・カネの"B面"も、どちらも村上氏なのだと分析。

「村上さんに狙われている企業はアンダーバリュー。村上さんに投資されたら"ダメな会社なんだ"と思わないと...」とも語り、今も衰えない村上氏の嗅覚の鋭さを指摘する。

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村上氏は、出光、昭和シェルの経営統合と並行し、海運業界最大手である日本郵船の動向に注目していた。子会社の日本貨物航空に航空機の整備不良や隠ぺいが発覚し、国から業務改善命令を受ける事態になっていたためだ。

日本郵船の株式のうち約7%を保有する村上氏は、株主への配当を減らす「減配」に踏み切った経営陣に異議を唱え、取締役会に書面を送付。そこには、かつての"物言う株主"を彷彿とさせる厳しい態度で、減配の見直しや改善策を迫る内容が記されていた。

村上氏は書面の中で「政策保有株式、いわゆる持ち合い株を売却し、株主に還元すること」と強く要求。実際、昨年10月に行われた日本郵船の決算発表では、前期比で5倍という大量の有価証券売却益が明らかになった。
持ち合い株や内部留保について「本当にいっぱい持っているから、日本企業。溜まりきっている」と指摘する村上氏。さらに、「それがぐるぐる回ると経済は絶対に良くなる。これは僕の役割だと思っている」と力強く宣言した。

番組の終盤では、村上氏が、日仏が駆け引きを繰り広げている日産自動車・ルノー問題にも言及。日産、ルノー、三菱グループ、そして日仏の両政府が主導権争いを繰り広げている現状を、「株主が無視されて内輪の問題になったり、政府の問題になっていることに違和感がある」と危惧。「誰が主導権を握るのか...それは株主が決めることだ」と断言し、"物言う株主"の揺るがない信念を垣間見せた。

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