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「コアラのマーチの絵柄を消すマシン」、「プリンをプルプルさせるマシン」、「二度手間サイコロ」......。

意味不明ながら、詳細を知らずにはいられない魅惑的なプロダクトを次々製作しているてらおか現象さん。漫画家であり機構設計師として、製作の過程を漫画にする独特な手法も話題を呼んでいます。

今回は、新作を作るときのアイディアの生み出し方や、企画も設計もひとりでこなすてらおかさんの物作りへの思いを伺います。

SNSの反響は気にせず、作りたいものリストをひたすら消化

――てらおかさんの発明品は、よくSNSでバズっていますよね。例えば道で野菜がすりおろされながら走る映像は、5万3000リツイートと16万近くのいいねを獲得しています。

「ありがとうございます」

――たくさんの感想が届くと思うのですが、やはり新作を作るときの参考になっているのでしょうか?

「(Twitterの)通知はオフにしているので、あんまり見てません。そういえば僕、リストがあるんです。作りたいものリストが。そのリストをただ消費していっているだけなので、別に『これが受けたから次は――』というのはないです」

――リストになるほどたくさんあるんですか?

「いっぱいあります。去年の10月にやった鳩時計の鳩を監視するやつ(※1)も、大学生のころからずっとリストにあったものですが、配信方法など工作以外のやり方がわからなかったのでずっと保留になっていて。でも、手伝ってくれる方に出会えて実現することができました」

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※1「鳩時計の鳩を監視する」

――仕事内容とリストを照らし合わせながら「今ならこれが実現できる!」というものを実際に作っていくわけですね。

「そうです。リストにはさらに『たぶん一生できないな』みたいなアイディアを入れている保留リストもあって、もともとは鳩時計の監視もその保留リストに入っていたんです。ただ、5案ぐらい提案したとき、入れておいたら、会議で『鳩でいこう』と」

――まさかの保留リストからの実現。

「はい。『やらせてもらえるんだ!』って感じでした」

企画も設計も両方知りたい。全部知りたい。

――おもちゃを設計する会社で働いていたとのことですが、実際、設計ができるようになってからのほうがアイディアの幅は広がりましたか?

「それはそうだと思います。『何が可能で何ができないか』みたいなことが、作らない段階で想像できますから。それが実現可能かっていう判断ができているというのはあります。

もちろん、わからなくても作業できるんです。会社でおもちゃを作るときは、企画する人は企画だけしていて、そこから例えば金型を使って樹脂を流す、みたいなことは専門の職人がそれぞれ担当しています」

――でもてらおかさんは企画も製作も両方やられています。

「僕は、全部知りたかったんです。企画もしたいんですけど、最終的にモノとしてできるからには、それがどう作られてるかわかんないのはダメだなって。ちゃんとギミックを知りたかったから、技術のほうに来ました」

「何の役に立つの?」と言われるとすごく困ります......。

――てらおかさんの作品は、身近にあるものをモチーフにしていることが多くてとても親しみ深いです。製作する上でテーマとなっているものや、作品を通して伝えたいことなどはありますか?

「よく訊かれるんですが、すごく困ります。『これなんで作ったの?』とか、『これが何に役立つの?』とか......。例えばプッチンプリンをプルプルさせるマシン(※2)でも、僕は、プリンのお皿が揺れてプリンがものすごく揺れてる瞬間がゴールなんです。

作りたいと思うものって、まずその一番かっこいいカットが浮かぶんです。コアラのマーチの絵柄を消すマシン(※3)だったら、出口から一切絵柄のないコアラがバー!って次々出てくるっていう、そこが一番。これが完成したときに出せる一番かっこいい瞬間がそこなんです。

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で、実際に作ってそれがその通り達成できればそこで満足なんです。でも、『作りたいから作りました』だと、あんまり答えになってないですよね」

※2「プッチンプリンをプルプルさせるマシンパワーアップバージョンのプレゼンテーション...!」

※3「コアラのマーチの絵柄を消すマシンを作る」

――でも、実際はそれが答えなんですよね。

「そうです。だってプリンをプルプルさせるとか、そんなにたいしたものじゃないじゃないですか! 何を作ったっていいんだし、だからこそアイディアもぱっと浮かぶんだと思います。

――それこそ、リストになるぐらいたくさん。ちなみに、どんなアイディアがあるか教えていただくことはできますか? 絶対に実現不可能だから口外しても大丈夫というものなど、言える範囲で......!

「(スマホの画面を覗きながら)うーん、絶対不可能なもの......。いや、もしかしたらこの先実現できる機会があるかもしれないので!」

――失礼しました、了解です! これからも楽しみにしています。


プロフィール:
てらおか現象
漫画家・機構設計師。おもちゃ会社での設計の仕事を経て、現在は3Dプリンターなどを駆使した独創的なプロダクトの製作を手がける。2015年、既存の企業ロゴをアニメーションにする取り組み「LOGOMOTION」で「CREATIVE HACK AWARD」グラフィック部門賞受賞。
[HP] http://teraokagensyou.com/
[Twitter] @radioduct

テレ東プラス

マイナビニュースでテレビ部門を担当する中島優氏。後編では令和を迎えたテレビのあり方、方向性について聞いた。多い時は1日十数本のテレビ関連の記事を書く中島氏ならではの、テレビに毎日接するライターの感覚で語ってくれた。気負いもてらいもない、ただテレビを愛するひとりの男としての言葉が、奥行きがあり興味深い。途中に出てくるネットとの関係の話は、テレビ制作者にも大いに参考にしてもらえると思う。

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