人里離れたコロラドの地で衝撃の自給自足...裏に潜む壮大な計画

公開: 更新: テレ東プラス

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世界で活躍する知られざる日本人を取材し、ナゼそこで働くのか、ナゼそこに住み続けるのかという理由を波瀾万丈な人生ドラマと共に紐解いていく「世界ナゼそこに?日本人~知られざる波瀾万丈伝~」(毎週月曜夜9時)。「テレ東プラス」では、毎回放送した感動ストーリーを紹介していく。

今回スポットを当てるのはアメリカ合衆国・コロラド州の人里離れた一軒家で自給自足生活をしている日本人女性。日本からダラスまで12時間、乗り継ぎ4時間とアメリカの国内線でのフライト1時間半を合わせると、計17時間半かかってロッキー山脈の麓にあるコロラド州に到着。するとスタッフが気づいたことがあった。持ってきたお菓子の袋がすべて破裂しそうなほどパンパンに膨らんでいたのだ。

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それもそのはず、ここコロラド州はアメリカ合衆国の中でも最も標高が高く、都市部でも標高2,000mもある。都市部から車で1時間も走れば、辺りは何もない荒野。そしてさらに1時間走ると、今回注目する日本人女性が住んでいるところに一番近い町、フォート・ガーランドに着いた。

早速聞き込みを開始すると、日本人は1人しかいないとのことで、みんなすぐどこに住んでいるか教えてくれた。中でも1人の住民は、帰る途中に彼女の家があるからと、近くまで車に乗せてくれた。「あそこだよ!」と教えてくれた場所に目をやると、かなり遠くの本当に何もないところにポツンと赤い屋根の家が見える。

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近くまで行ってみると、上半身裸のがっちりした男性と、日本人らしき女性、そして2人の子どもたちが家の外で何か作業をしているところだった。声をかけると、にこやかに挨拶をしてくれたのが、ここで自給自足生活を送る島田圭さん(32歳)。男性はご主人のジョシュワ(34歳)さん、そして2人の子どもたちはイズィキエルくん(2歳)とサムソンくん(1歳)。

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彼らが暮らすのは、店も病院もない荒野の一軒家。果たしてどんな生活をしているのだろうか?

島田さんは家族4人が生活していくために小さな畑を作り、大根、トマト、ピーマンなどの野菜を15種類も栽培している。今回採れたキャベツは小ぶりだったが、「ぬか漬けにする」と話す島田さん。ジョシュワさんが「ブロッコリーもそろそろ食べられそうだよ」と声をかけてきたので島田さんと近くに行くと、ブロッコリーの葉っぱを手渡された彼女は、その場でムシャムシャ食べ始める。「その場でよく食べるんですか?」と聞くと、当然という表情で「食べますよ! もちろん。採れたてが一番おいしいんだから」と島田さん。

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寒波が厳しい今年は、野菜が不作で食べられないものが多いとのこと。遠くに見える山脈に雪が積もったら、1カ月後には島田さんの家の周りにも雪が降る目安だそうで、それまでにいろいろ準備しないといけないらしい。一度雪が降ってしまえば、ここは8カ月間も雪の中だという。

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あと1カ月もすれば雪が降り始め、あっという間に北海道のような冬景色になるという。平均気温が氷点下の厳しい冬が訪れる前に、野菜はすべて収穫しなければならない。

取材中、突然雨が降ってきた。島田さんたちは子どもたちを家の中に入れ、急にジョシュワさんと大量のバケツを軒下に並べ始めた。屋根を伝って落ちてくる水を溜めるそう。実はコロラド州は全米でも雨が少ない地域だそうで、水道が通っていない島田さん一家にとって、雨水は貴重な生活水になる。バケツで集めた雨水は貯水タンクに入れて蓄えており、使う時は浄水器を通して飲めるようにしていた。島田さんの家は電気もガスも通っていないため、電気は自家製ソーラーパネルで発電、ガスはプロパンガスを使用している。

島田さんはなぜこのような人里離れたへんぴな場所で自給自足生活を始めたのか...。その謎を探るべく日常生活に密着させてもらった。ある朝、島田さんに付いて行くと、家の外にはニワトリ小屋があり、17羽のニワトリを飼っていた。これも大切な食糧だと言う。イズィキエルくんと一緒に小屋の中に入ると、産みたての卵が8個あった。寒いので、最近は産む数が少ないらしい。

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今度はサムソンくんを抱っこしながらおもむろに近くに立てかけてあった銃を手にする島田さん。そして、どこかに向かって銃を撃つ!

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「逃げられちゃったみたい」と島田さん。何を撃ったのか聞いてみると、「コヨーテだったり熊だったり、昼間でもいないとは限らないので...。この辺では人から身を守るのではなく、野生動物から身を守るんです」と答える。どうやら危険な野生動物の気配を感じて銃で威嚇したようだ。車の上にも熊の爪でひっかかれた跡が残っていた。毎年熊に襲われて亡くなる人もいるというコロラド州。家族を守るために島田さんはショットガンのライセンスを取ったそう。

今度は森に行き、エルク(鹿)の足跡を見つけた島田さん。その付近にジョシュワさんと監視カメラを設置していく。2~3日カメラを置き、鹿の姿が写っていれば、1カ月後、猟が解禁になった時に鹿を狩りに来るそう。家に帰ると、冷凍保存してあった鹿肉を、保存食用エルクジャーキーにする作業にとりかかる。休む間もなく、寒い冬に向け、着々と準備を進めていく。

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実はもう2年間も無職の島田夫妻。そこには意外な理由があった。彼らは2年前に東京ドーム半分にもなる広大な敷地を90万円で購入し、土地の開拓から自宅の建設まで素人ながらすべて自分たちで行った。そこには彼らの壮大な計画があるのだが、その前に、2人の数奇な境遇から紐解いてみよう。

もともと19歳の時に語学留学でアメリカにやってきた島田さんは別のアメリカ人男性と結婚していた。

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しかし夫はブラブラするばかりで働こうとせず、生活は困窮。働かない夫の代わりに島田さんが介護士として不眠不休で仕事をする羽目に。ケンカが絶えなくなった2人は、結婚から6年後に離婚。精神的に追い詰められた島田さんはうつ病を患い、入院生活を余儀なくされた。

一方のジョシュワさんも、別のアメリカ人女性と幸せな家庭を持っていた。長距輸送トラックの運転手だったジョシュワさん。不規則な生活でなかなか家に帰れなかったことから妻に愛想をつかされ離れ離れに。大切な家族を失ったショックから自殺を図ろうとして病院に入院した。心に同じ傷を負った者同士がたまたま同じ病院で出会い、同じような境遇に共感し、その後島田さんが30歳の時に2人は再婚。

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人と関わらずに済む場所で静かに暮らしていきたい、という共通の思いを持った2人は、今暮らしている土地を購入。だが、仕事にも就かず、自分たちで家を建てている裏には普通では思いつかない大きな計画があった。

ある日、1人の女性が島田さんの家を訪ねてくる。彼女は不動産屋で、島田さんの家のチェックをしているという。何のためのチェックか尋ねると、この家を売ったとしたらいくらで売れるかチェックしているとのこと。一から作った家を売る!? 一瞬ワケが分からなくなったが、島田さんの話を聞いて納得。

実は島田さんとジョシュワさんの夢はアラスカの湖がある広大な土地を買い、ソーラー発電と風力発電を使って自給自足生活をすることだという。そのために家を建てては売り、また次の家を建てては売り、ということを繰り返して資金を貯め、最終的にはアラスカに住みたいのだそう。まさに体が成長する度に引っ越しをするヤドカリのように家を移っていくリアルヤドカリ計画。

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アラスカは、アメリカに残る最後の自由なフロンティア。そんなアラスカを自分たちで開拓し、100%自給自足でのんびり暮らしたいという夢を叶えるため、コロラドで暮らす日本人がここにいた!

あまり人と関わりたくない、という島田さんがナゼ今回取材に応じて下さったのか。実は島田さんは、昔から番組MCを務めるユースケ・サンタマリアのファンだったとのことで、「ユースケさんに会える!」と思ったからだそう。実際の取材にはディレクターしか来ないと聞き、とても落胆したらしい。島田さん、ユースケさんの取材じゃなくてごめんなさい!(笑)

そして2月18日(月)の放送では、「世界ナゼそこに日本人 ここが非常識だよ!日本人&花田虎上の日本人探し旅2HSP」をお届け。

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【新企画満載の2時間SP!】
元横綱・若乃花が世界に住む「ナゼそこ日本人」を探して500kmのヒッチハイク旅へ。フランスの片田舎で家族5人と自給自足生活を送る40歳の日本人女性。移住のきっかけは、花田にも通じる"あの人"だった!? 過酷な自給自足生活も実体験!

その他、「世界7カ国で徹底調査!日本の常識は世界の非常識!?ここが非常識だよ日本人」もオンエア。果たして外国人から見た日本のイメージとは?

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