ワカコ行きつけの名店! 上質な魚に希少な鯨、山形の名物料理にも舌鼓:ワカコ酒

公開: 更新: テレ東プラス

ライターS藤、四十歳(男性)。20年前に初めてお酒に触れ、以後、竹馬の友のように親しみ、酩酊の海におぼれた時もあった(最近もある)、そんな典型的なお酒愛好家。左党とも言いますね。私S藤ですが。

「ぷしゅー」でおなじみOLワカコが"ひとり酒"を楽しむ人気ドラマシリーズ最新作「ワカコ酒 Season4」が、BSテレ東にて毎週月曜深夜0時から放送中。
「テレ東プラス」では、「私もひとり酒を楽しみたい!」と名乗り出たライター12名がワカコの訪れた店をレポートする連載「12人のワカコ」をお届け。今回は番外編として初の男性ライターが、ワカコファンの聖地ともいえるあの店を訪れます。

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呑兵衛歴だけは5分の1世紀と長く、ひとり酒もベテランとはいえるけれど、でもやっぱり初めての店は緊張するもの。今回は、ワカコ行きつけの店「逢楽」のモデルとして毎シーズン登場している「魚貞」に、「男性も楽しめるひとり酒」というテーマを掲げ、お邪魔します。ワカコさんが通っているお店なら、新参者ひとりでもきっと温かく迎えてくれるはず。根が楽観的ですみません。

「魚貞」の最寄り駅は新宿から2駅、京王新線の幡ヶ谷駅。北口から地上に出ると目の前に首都高の高架がある、甲州街道の大通り。お店は脇道に入り30秒ほどの近距離です。この路地、お店が連なるレトロな密集感が実に良い。歳のせいなのか、最近はノスタルジー漂う街並みにグッときてばかり。

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店の前に到着すると、年季の入った藍色の暖簾がお出迎え。いわゆる「名店オーラ」が、ビシビシと伝わってきます。

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引き戸を開けて中をうかがうと、カウンターを中心に、小上がりの座席も複数備えた、居心地よさそうな家庭的な空間が広がります。すると、「いらっしゃい」とご主人の石川宏之さんがさっそく声をかけてくれます。「初めての店でひとり酒」の緊張、あっという間にほぐれました。

せっかくなのでということで、ワカコさんの指定席、カウンターのほぼ真ん中に着席。カウンターは手元に丸くカーブした肘置きの部分があり、フィット感がなんとも心地良い。接客の女将さんの「お飲み物は何にしますか?」の声に、まずはビール大瓶を注文。早くも「ぷしゅー」。頼んだのはサッポロラガー。最近はラベルのデザインから「赤星」とよく呼ばれています。風情ある酒場によく似合う一本。

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聞けば「魚貞」がお店を構えたのは1981年のこと。今のご主人は2代目。先代の娘さんと結婚し、この店を継いだのだそう。

「先代の名前が石川貞夫で、魚料理が看板だったのでこの店名に。カウンターの上にある額は開店祝いに築地の仲卸さんからいただいたものなんですよ」と、ご主人は言います。これは魚の質、間違いないでしょう。

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1品目にいただいたのは、この時期オススメの魚料理「わかさぎの南蛮漬け」。北海道から届いた新鮮な生のわかさぎに片栗粉をまぶして素揚げし、甘酢につけ味付けしてあり、酢の塩梅がなんとも絶妙。「自分はもっと酢を強めにした方が好きなんですけどね」と、ご主人は優しい笑顔で話しかけてくれます。

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さて、ここらへんで魚に合わせ、ワカコも飲んだ日本酒「農口尚彦研究所 本醸造」を注文。冷やでいただきます。「お酒の名前にもなっている農口さんは、もともと石川県の『菊姫』で杜氏をやられていた、現代の名工にも認定された方なんですよ」と、ご主人。舌の上に広がる優しい酸が特徴で、「これは南蛮漬けと響き合いますね」なんて、生意気なことを口走る自分。早くも良い気分になってきたかな。

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数ある名物の中でも、鯨料理は「魚貞」が誇る逸品。「この霜降り、すごいでしょう」と、ご主人が見せてくれたのは鯨のあごの部分の、かのこ。なかなか入荷しない希少な部位なのだそう。これを薄く切り、生姜やにんにくなどを添え、「鯨のかのこ刺」でいただきます。

クニッとした食感で、かむと舌の上に脂の甘みがじんわり。けれどしつこさはまったくなし。ああ、これは完全においしいやつ。しばらく日本酒とかのこ刺、交互に口に運ぶ時間が続きます。

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そうしているうちに、カウンターの向こうから芳しい香りが。今この時季が一番旨いと、ご主人が明言する「寒鰆の柚子醤油焼き」が登場。「サワラは魚へんに春と書くから、春が旬と言われることも多いけれど、身が締まり、脂乗りも良い12月から2月ぐらいの寒い時期が最高。特製の柚子醤油に1日漬け込んで、じっくり焼き上げています。熱いうちにどうぞ」と、ご主人。

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はちきれそうな身に箸を入れると、みっちりとした感触。口に含むと、ぎゅっと詰まった身から旨みがしみ出してくる。ほのかに香る柚子の香りとも相性抜群。これまた日本酒が進んでしまいます。

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「次はこの日本酒、『尾根越えて』はどうでしょう? 愛媛の酒蔵のもので、都内でも置いている店はうちぐらいといわれています」と、ご主人からうれしいリコメンド。味わってみると、「農口尚彦研究所」とはがらりと変わり、さっぱり。程よいお米の旨みが感じられ、食中酒にぴったりです。

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うまい肴と酒を楽しみつつくつろいでいると、メニューに気になる一品を発見。それは「玉こんにゃく」。山形の名物で、丸いこんにゃくを串や割り箸に刺し、串だんご状にし、醤油などのつゆで煮上げた、おでん風の料理のこと。実は私、ライターS藤は東北、宮城県の出身。山形はお隣の県で、玉こんにゃくは子どもの頃から食べていました。不思議に思ってたずねると、ご主人はなんと山形出身とのこと。

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「この玉こんにゃくは老舗の『千歳山こんにゃく店』から仕入れています。ちなみに通っていた高校が千歳山のふもとにあるんです(笑)」と、ご主人。この玉こんにゃくはかなり大ぶりで、歯切れよく、味がよく染みた一品。地元そのままに、干しスルメからとっただしをベースに、醤油で味付けし、戻したスルメのゲソも具に。「山形はイカの食文化が豊かなんですよ」と言う、ご主人の話も興味深い。

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他にも夏は山形名物の「だし」をのせた冷奴、秋は「芋煮」なども作るそう。特に芋煮は、「ワカコ酒」で大将を演じる俳優・野添義弘さんも大のお気に入りで、予約のたびに「芋煮ない!?」とお問い合わせが。約30席ある2階の座敷で、大勢で宴会を開いたこともあるそうです。

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ところで、芋煮といえば私の故郷の宮城でもおなじみ。よく晴れた秋の日に、河原やバーベキュー場で大人・子どもが大勢集まり、「芋煮会」を開くのが年中行事でした。ただ、山形が牛肉・醤油味なのに対し、宮城は豚肉・味噌味。ご主人は「山形でも庄内地方は味噌なんですよ。でも味噌味ってもう豚汁だよね(笑)」と話し、私は「僕もずっと思ってました!」と返す。こういう地元トーク、楽しいよなあ。

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シメの食事は、今作第1話でワカコさんも食べた、「鉄火巻き」を頼みます。「ワカコ酒 Season4」の第1夜で、野添さん演じる大将がワカコを元気づけるため、ワサビを利かせた一品。つんと鼻にくる辛味がなんともたまらず、締めにぴったり。ライターS藤も少し視界がぼやけてくる。ワサビなのか、郷愁なのか...

ライターS藤、四十歳。自分にとっての男ひとり酒の醍醐味は「人との出会いと、自分を省みる時間」。スマホや文庫本を覗き込むのもいいけれど、お店の方と少し話してみたり、自分のことを考えたり。ひとり酒ってそもそも豊かな時間だよなあと、あらためて感じ入りました。

【取材協力】
魚貞
住所:東京都渋谷区幡ヶ谷2-8-13
営業時間:11:30~13:30、17:00~22:10
定休日:日曜日・祝日
※「逢楽」のメニューは取り扱いの無い場合があります。

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次回2月18日(月)の放送は...?

酒飲みファンにはたまらない、ワカコ酒×吉田類の奇跡のコラボが実現! 「酒場詩人」としてマルチに活躍する吉田類さんが、本人役としてゲスト出演! ワカコとどんな出会いをするのか!?

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第7夜「素敵な出会い」
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