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世界で活躍する知られざる日本人を取材し、ナゼそこで働くのか、ナゼそこに住み続けるのかという理由を波瀾万丈な人生ドラマと共に紐解いていく「世界ナゼそこに?日本人~知られざる波瀾万丈伝~」(毎週月曜夜9時)。「テレ東プラス」では、毎回放送した感動ストーリーを紹介していく。

他の医師が投げ出した難手術を何度も成功させている

今回スポットを当てるのは、アメリカで活躍するスーパードクター。向かったのはアメリカ合衆国の東海岸に位置するフィラデルフィア。ここはアメリカ最古の病院や多くの大学病院があり、アメリカ医療発祥の地とも言うべき場所。

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その日本人は、医療最先端のこの街でもトップクラスの大学病院に勤めているという。街を走っていると病院の宣伝の看板が目についた。

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この看板に写っている人物は元患者さんで、今回密着するスーパードクターによって命を救われたそう。実際に会うと、「私の肺は多くの医師からもう治らないと宣告され、諦めていたんだ。でもあの日本人ドクターが難しい手術をして治してくれたんだ。命の恩人だよ」と話してくれた。

多くの医師が投げ出した難手術を成功させ、3,000人以上もの命を救った奇跡のドクター! それが日本人医師・豊田吉哉さん(53歳)。

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豊田先生は、ペンシルベニア州立テンプル大学病院に勤める心臓外科のエキスパート。取材に伺った日も、他の病院ではリスクが高いと診断された高齢患者が、豊田先生のもとに送られてきた。手術を受けるのはウィリアムさん(79歳)。ウィリアムさんの心臓の血管の一部は血の塊によって狭くなっていた。そのためうまく血液が送られず、心臓に異常をきたしていたのだ。ウィリアムさんは数カ月前から締めつけられるような心臓の痛みに苦しんでいた。

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今回行われるのは大動脈弁置換手術と冠動脈バイパスの手術。なんと2つの手術を同時に行うという。まずは狭くなっている血管の代わりに別の血管をつなぎ、血液がスムーズに流れるようにする冠動脈バイパス手術。さらに、老化によって硬くなり正常な心臓に比べて十分な血液を大動脈に送ることができなくなっていた大動脈弁を人工弁と交換する手術を行なう。このままでは、全身に血液をうまく送ることができなくなってしまい、血圧低下や最悪の場合、心不全を招く恐れがある。

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手術が始まると、豊田先生から驚きの言葉が! 「心臓を動かしながらやるよ」。

バイパス手術の多くは心臓を一時的に停止させ、人工心肺を使って行うが、心臓を止めることは大きな負担となり、合併症を起こすリスクも高まる。そのリスクを避けるため、豊田先生はなんと心臓を動かしたまま手術を行うというのだ。

そしてわずか30分...太ももから取った血管で新たな血液の通り道を作り上げる。休む間もなくわずか10分で大動脈弁の切除に成功。そこに、柔軟性があり、人の身体に馴染みやすい豚の弁を加工した人工弁を移植する。通常5~6時間以上かかる大手術だが、豊田先生の手にかかれば、その半分の3時間ですべてを終了。合併症のリスクを極限まで減らすことに成功した。

3日後...豊田先生がウイリアムさんのもとを訪れると、「私が今生きていられるのは先生のおかげです。感謝の言葉しかありません」と心からの感謝の言葉を述べられた。

「感謝されると一生懸命働きがいがありますね」と笑顔で話す豊田先生。午後3時、病院の自室に戻った先生は遅い昼食を取る。

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愛妻弁当を片手にパソコンの前に座る豊田先生は、昼食時も仕事の資料とにらめっこ。先生はこんな生活を年間350日以上送っているそう。

同僚の医師は、「豊田先生はどんな難しい手術も失敗しないゴッドハンドの持ち主なんだ」と称賛を惜しまない。「他の医師が投げ出した難手術を何度も成功させている。まさに重症患者が行きつく最後の砦だよ」と語る医師も。

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年間400件もの手術を行う豊田先生は、医療先進地域であるフィラデルフィアで最も優秀な医師に贈られる称号「トップドクター」に2016年から3年連続で選出されている。

豊田先生がスーパードクターを目指したワケ

午後7時。一日の仕事を終え、帰宅の途につく豊田先生。帰る時もスクラブ(手術着)のままだったので理由を聞くと、「もう普段着がスクラブみたいなものですね。患者に急変があってもすぐに駆けつけることができますから」と片時も患者のことが頭から離れない様子。

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この日の夕食はすき焼きだったが、食事中も仕事モードで、患者さんのレントゲン写真を見ていた。

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奥様によると、結婚当初から朝ご飯を食べながら手術のビデオを見て勉強していたとのこと。
なぜ豊田先生は、患者を救うためにわずかな時間をも惜しみなく費やすようになったのだろうか...。

幼い頃、おばあちゃん子だった豊田先生は、中学生の頃、最愛の祖母を心臓病で亡くしてしまう。しかもそれは、心臓の手術の後だった。その時から「もし自分が医者になれれば、患者さんのために何かできる可能性があるんじゃないか」と考えるようになったという。

そこからの修業は、常識では考えられないほどの努力の積み重ねだった。「手術がある」と聞けば、「自分にも手伝わせてほしい、手伝えないのであれば見学だけでもさせてほしい!」と休日返上。1日18時間も研究と実践を繰り返し、自らの技術を高めていった。

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時間さえあれば、縫合の練習をしていたそう。「手術では1秒でも早い方がいい」と話す豊田先生は、白衣に糸をくくりつけて練習し、車の運転中も、信号待ちの合間はハンドルにつけた糸で早く縫合できるように練習を続けていたとのこと。

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基礎の繰り返しで縫合の正確性とスピードを早めることができ、その結果、手術の成功率も大幅に上がっていった。

取材中、豊田先生に1本の電話が入る。肺移植を待っている患者のためのいい肺がドナーから届くことになったという。

今回の患者はスコットさん(59歳)。長年肺気腫で呼吸が苦しく、9カ月間ドナーを待っていた。実は豊田先生は心臓だけでなく肺移植の名医でもあるのだ。

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ドナーの肺は今はまだ330km離れた隣の州であるニューイングランドにあるが、届いたらすぐに移植が出来るよう時間を逆算。先にスコットさんの手術を始めておく。

摘出後の移植用臓器は時間と共に機能が衰え始め、時間がかかり過ぎると移植後機能しないこともある。そのため、移植完了までの時間は1分1秒でも早い方がいい。まさに時間との勝負なのだ。
肺移植の際に気をつけるのは、気管支、肺動脈、肺静脈をちゃんとつなぐことだそう。

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開胸すると、長年スコットさんを苦しめてきた肺が見えてきた。肺気腫に見られる特徴だが、スコットさんの肺は色が悪く、表面がデコボコしている。

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弱くなった血管を丁寧に切り離していると、緊急連絡が入る。交通渋滞により肺の到着時間が遅れるというのだ。順調に行っているはずの手術だったが、緊急事態が発生してしまった。豊田先生は、ドナーの手術をした病院に電話をして状況を確認。到着の遅れは1時間ほどだという。

しかし、こんな時も豊田先生はあわてず、患部に細菌が入らないよう冷静に対策を施す。そして肺の到着時間に合わせて手術を再開。肺の到着10分前に無事肺を摘出し、そこにちょうど新しい肺が到着した。届いた肺の血管や気管支をスコットさんに合わせて調整、正確に手早く縫合しなくてはならない。そして新しい肺にスコットさんの血液が流れ始めると、美しい血色が蘇った。

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通常、肺を取り出してから新しい肺を入れ、縫い終えるまでにかかる時間は1時間半。しかし豊田先生は、その半分以下のなんと38分で終了! 何十万回と繰り返した縫合の練習が手術時間の短縮につながり、このスピードが、また一人の人間の命を救ったのだ。

次の日スコットさんを訪ねると、「とても楽で自分の身体じゃないみたいだよ。先生にはいくら感謝しても感謝し足りない」と話す。

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豊田先生は「僕の専門は心臓と肺。心臓と肺というのは人が生きるために一番大事な臓器だから、患者さんは僕たちに命を託してくれているんです。自分の知識と技術が少しでも患者さんの役に立つのであれば続けようと思います。そこにやりがいがあります」。若い頃と変わらぬ熱意で語ってくれた。

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医療大国・アメリカには、たゆまぬ努力で培った知識と技術で3,000人もの命を救った日本人スーパードクターがいた。

そして、2月11日(月)夜9時放送の「世界ナゼそこに?日本人~知られざる波瀾万丈伝~」では...。

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標高2000m、危険なクマも出没するアメリカ・ロッキー山脈の麓の人里離れた一軒家で、ナゼか家族と自給自足する、32歳ワケあり女性のトンデモない生活に密着! 夫婦揃って無職で収入はゼロ。電気・ガス・水道はなく、畑で育てた野菜や野生のシカが食料源。夫婦は荒れ果てた土地を自分たちで開拓し、素人ながら一から家を建てている。その裏には普通では考えつかない超壮大な計画が! ある境遇が結びつけた、夫との数奇な出会いとは...?

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