ライターS恵、三十ウン歳。仕事もプライベートも一通りの刺激は経験済みだけど、実は未経験なことが...。それは、常連客となってフラ~ッと立ち寄れる行きつけのお店を持つということ。20代のころ、一人でカウンターに座り、マスターと談笑しながらお酒を楽しんでいる大人の女性に憧れたものでした。結局一人で暖簾をくぐる勇気が持てず、今に至ります...。
「ぷしゅー」でおなじみOLワカコが"ひとり酒"を楽しむ人気ドラマシリーズ最新作「ワカコ酒Season4」が、BSテレ東にて毎週月曜深夜0時から放送中。
「テレ東プラス」では、「私もひとり酒を楽しみたい!」と名乗り出たライター12名がワカコの訪れた店をレポートする連載「12人のワカコ」をお届け。
ワカコの姿を見るたび、もっと若さ弾ける頃からひとり酒を楽しむべきだったと後悔しきり。今からでも遅くない...!?と思った私は、ドラマ第5夜でワカコが訪れた「浅草じゅうろく」の暖簾を、一人でくぐってみました。
つくばエクスプレス浅草駅からは徒歩8分、東京メトロ・都営・東武線の浅草駅からは徒歩15分くらい歩くでしょうか。多くの人がにぎわう浅草の中心地から少し離れたエリアに「じゅうろく」はあります。
浅草といえば、100年以上続く老舗菓子店から行列のできる名物料理店まで揃う、日本を代表する観光地。飲食の激戦区でもあるこの地で2015年7月にオープンした『じゅうろく』は、「若き美人女将がうつ蕎麦が絶品だ」と、舌の肥えた通の間で認知されています。
ワカコが食べた「とうもろこしの天ぷら」を注文したいところでしたが、季節は冬。
「ごめんなさいね~、あれは撮影が夏だったから...」と女将。
ですよね...(涙)。ショックを隠せないでいると、大将から神の声が!
「カキフライ、食べて行ってよ」
「はい、ぜひ! ぜひぜひ!! お願いします!!!」
実はカキフライが大好物の私。揚げている油の音すらも愛おしく聞こえます。
「揚がったよ~」という大将の声とともに、香ばしさが広がる店内。そして、運ばれてきたカキフライを見た瞬間、驚いたのは、なんといってもその大きさ!
こちらが「カキフライ」。1粒15~20㎝くらいはありそう。
「岩手県釜石市平田湾で獲れたもので、最上級の牡蠣を使っている」とのこと。ますます期待が膨らみます。
ソースも付いてきたけれど、まずは女将の勧めるままに、何もつけずにパクリ。
噛んだ瞬間、思わず「う~ん♡♡♡」。口の中にあふれ出るカキのミルク、半端ない! 歯ごたえはプリっぷりでトロっとろ。これはもう、たまりません!!!
カキの旨味を逃さない絶妙な力加減でつけられた衣が、美しい黄金色に揚がった様はまさに職人技! しかも撮影時間を考慮し、揚げ置きの余熱で中までじんわり仕上げているとの大将の言葉に、もう心はわしづかみ。ありがとうございます!!!
当然、ワカコと同じく瓶ビールを注文。
幸福感いっぱいの口内を、しゅわしゅわの泡で洗い流していくこの感じが、また更なる幸せを呼ぶ瞬間なのです♪
さて、カキフライを注文したらぜひお試しいただきたいのが、常連さんの口コミにあった"めんつゆ"でいただく食べ方。
サクサクの衣の間にめんつゆがササっと入りこみ、カキの旨味と一緒にじゅわっと口の中に広がるのです。これはクセになりそう。
「じゅうろく」は、基本はおまかせメニューのお店。大将による厳選食材をふんだんに盛り込んだコース料理を、完全予約制で提供。「鴨鍋お任せコース」(8500円・税抜)では、先付、八寸、酢の物、揚げ物など8品が堪能できます。
せっかくなので、「じゅうろくの八寸」も注文しちゃいましょう。
この日は、ニシンの棒煮、丹波の黒豆、京都の板わさ、厚焼き玉子、対馬のアナゴの煮こごり、明太子の燻製、秋田のレンコンのきんぴら、鴨の燻製、鰻の肝の山椒煮の9品。
全国各地から取り寄せている食材選びにもこだわりが。
「魚が水温変化に合わせて海を移動していくのと同じように、食べ物の本当においしい産地も動いていると思うんです。例えば、冬のヒラメは青森産がおいしいけれど、夏はとなると、違う産地がベストかもしれない。そうやって、おいしい産地を追いかけるのが"じゅうろく流"」と女将。産地を固定しない分、手間もコストもかかりますが、最上級のものをお客様に届けたいという2人の気持ちが伝わってきます。
香りと艶やかな盛り付け...目の前に運ばれてきただけで、「酒のあてにしたい!」という欲望がムクムクと...。
「すみません、おすすめの日本酒をいただいても...?」と控えめにうかがうと...。
「おかあさん~、どうやらこの記者さん、全然仕事しに来てないみたいだから(笑)、お酒出してあげて」と大将。
うっ、すみません...。いえいえ、しっかり仕事中です!(汗)
女将さんが選んでくださったのは、栃木県益子町の蔵元「外池酒造店」の銘柄「望 bo:」。スッキリまろやかな甘味が味わい深く、とっても飲みやすい。
また、用意された九谷焼の酒器もステキ! 器好き女子のテンションも一気に上がります。
食材から器までこだわりのある「じゅうろく」ですが、大将・伊勢谷忠促さんの前職を聞いてビックリ! 実は株のアドバイザーだったとか。仕事で全国を巡りながら、各地のおいしいものを食べ歩くのが趣味で、次第にその料理を自宅に帰って再現するコピー活動をやり続けた結果、現在の調理の腕を手に入れたというのです。
また女将の留衣さんも、"エステティシャン"だったというから驚き。大将のすすめで蕎麦打ちの学校に通ってみたところ、手先の器用さも相まって才能が開花。大将が惚れこんだ蕎麦は、瞬く間に口コミでその旨さが広まることとなりました。
見てください、この蕎麦の艶!!
私自身、かなりの蕎麦好きで、いろいろなお店へ出かけては食べ歩いてきましたが、過去1、2を争う旨さだと断言できます。蕎麦の醍醐味は喉ごしと香り! ほどよい歯触りの蕎麦が食道へ滑り落ちていく時の小気味いい感じ、さらにその時、口から鼻へ流れる蕎麦の香り、「じゅうろく」の蕎麦はそのバランスが絶妙なのです。
「こんなにうまい蕎麦を打てるなら、店を持たせてあげたいと思った」という大将の言葉にも大きく納得。
実は年の差20歳というお二人。カウンターに座っていると、一触即発、丁々発止な会話がしょっちゅう聞かれるとか。
「お互いの悪口を言ってるだけ」と微笑む女将は本当に幸せそう。
駅から少々の距離はありますが、足を運ぶ価値は十分にあり! ほっとひと息つきたいけれど、求める料理へのクオリティは落としたくない...そんな時にぜひ訪れたい「浅草じゅうろく」。
ライターS恵、三十ウン歳。私にとっての女ひとり酒の醍醐味は「深い話ができるほど大将&女将と仲良しになる! 」。次回はプライベートでうかがいますね。
【取材協力】
浅草じゅうろく
住所:東京都台東区浅草4-37-8
営業時間:18:00~23:00、日曜日のみ11:30~14:00、18:00~21:00
※蕎麦が売り切れ次第終了。
定休⽇:月曜日(祝日の場合営業、翌日定休)
ビルの屋上のビアガーデンで昼間から飲む生ビール!
次回2月11日(月)の放送は...?
第6夜「ビアガーデンで乾杯」
繁忙期で殺気立つ社内。オカダ主任(しおつかこうへい)がみんなにノンアルコールビールと宅配ピザをご馳走してくれる。ピザを囲んでワイワイ。折しも花火大会が始まり、小さい花火をみんなで眺める。妊娠中のため先に帰ったみぃさん(山田キヌヲ)はその話を聞いて、少し疎外感を感じているよう。部長(森下能幸)が飲みに行く話をしているのを聞いたワカコ(武田梨奈)はビアガーデンを提案する。青空の下飲むビール。ワカコが注文したのは...?