「本屋を目当てに旅行する」ブックショップ・トラベルのすゝめ 長野県・上田篇

公開: 更新: テレ東プラス

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喫茶店や観光名所を目当てに旅することはあっても、本屋を目当てに旅する人はそこまで多くないのでは? 下北沢で本屋のアンテナショップを営む和氣さんに、本屋を目当てに旅する1泊2日のプランを提唱。長野県上田市を巡るブックショップトラベルを提案してもらいました。

こんにちは! 下北沢にある本屋のアンテナショップ 「BOOKSHOP TRAVELLER」の店主・和氣です。本屋を目当てに旅をするブックショップ・トラベルのすゝめ。連載一回目では群馬県高崎市のブックショップトラベルを紹介しました。もう訪ねてくださいましたでしょうか?

さて、二回目にあたる今回は、長野県上田市に行ってみたいと思います。皆さんは上田といえば何を思い浮かべますか? 多くの人は真田幸村と答えるかと思います。でも上田の現在の魅力はそれだけではないんです。上田にどんな魅力的な場所があるのか紹介していきましょう!

東京駅から北陸新幹線あさまに約1時間半揺られると着く上田駅。昼前に着いたとして、まずは腹ごしらえに「日昌亭」のあんかけ焼きそばを食べに行きましょう。

駅のお城口をまっすぐ北上して、中央2丁目の交差点を右に曲がって上田の歓楽街・袋町にある日昌亭を目指します。ここの「あんかけ焼きそば」は他の地域で食べるものとは一味違った独特なものなんですって! 残念ながらお店のお写真は掲載できませんが、味は絶品。ぜひ一度訪れてみてくださいね。

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選書と居心地の良さが素晴らしい古民家ブックカフェ「NABO」

次に向かうのは、本日のお目当て「BOOKS & CAFE NABO」です。「NABO」はインターネットで古本の売買や寄付事業を行うバリューブックスが運営するブックカフェです。大きな窓に高い天井、開放的な店内の壁にはバリューブックスの持つ200万冊の在庫から選びぬかれた古本が並びます。

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看板の小島紙店に騙されないように。しかも入り口は脇の中は状を入った奥にあります。

カフェでは京都の「FACTORY KAFE 工船」で焙煎された珈琲豆を使って淹れたエスプレッソやソフトドリンク、信州ワインをはじめとしたアルコール類。さらに、上田のパン工房で焼き上げられたパンや、ケーキなどの軽食も食べられます。新幹線で疲れた体をゆったりさせるのにちょうど良い感じです。

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築100年を超える古民家を再利用。2階のロフトにもたくさんの本があります。どれも良心的な価格です。

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BOOKS & CAFE NABO
住所:長野県上田市中央2-14-31
営業時間:10時~21時
定休日:火
お問い合わせ: nabo.books@gmail.com
HP:https://www.nabo.jp/l
SNS:https://www.facebook.com/nabobookscafe
@nabo_booksandcafe
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大正の香り残すミニシアター・上田映劇

次はすぐ近くにある「上田映劇」に行きましょう。「NABO」を出てきた道を戻ります。県道79号線を駅とは反対側にまっすぐ進み、2つ目の角を曲がった先にある古い建物が上田映劇です。

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雷門ホールと電飾で書かれた看板。映画『青天の霹靂』のロケ地になったときに作られたものが撮影後もそのまま残されたものだそうです。

およそ100年前の大正6年に建てられたというこの建物は元々「上田劇場」という名前の劇場でした。そのうちに映画が中心に上映されるようになり、「上田映劇」に名前が変わります。一時期には住み込みではたらく人が出るほどの人気劇場でしたが、時代の流れか、2011年3月には一度、定期上映が終了。しかしこの貴重な建築物を残そうと、すぐに上田映劇再生プロジェクトがスタートし、現在はミニシアターとして数々の映画を公開するほかに、ライブやイベント、トークライブなども行われています。

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舞台のつくりから当時の面影が伺えます。

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特別に見せていただいた映写室では、今となっては貴重なフィルム上映の際に必要な道具が並んでいました。

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ここにも「NABO」が選書した本が並びます。

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上田映劇
住所:長野県上田市中央2-12-30
営業時間::上映スケジュールに準ずる
定休日:月(休日の場合は開館)、年末年始、施設点検日(随時)
お問い合わせ: 0268-22-0269
HP:http://www.uedaeigeki.com/
SNS:@uedaeigeki
https://www.facebook.com/uedaeigeki/
https://www.instagram.com/explore/locations/303500272/

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まさかの劇場付きゲストハウス・犀の角

歴史に思いを馳せた後は、今日のお宿に向かいましょう。いったん国道141号線まで戻って上田駅側に向かいます。しばらく歩いて中央2丁目交差点を左に曲がると海野町商店街。この商店街の中に今日の宿・ゲストハウス「犀の角」があります。

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街中のゲストハウス。写真は大きな窓が特徴のカフェスペース。奥に宿泊でできる場所がある。

すぐにチェックインを済ませたいところですが、おそらくカフェスペースに入った瞬間に驚くはずです。なぜなら左手に真っ黒な空間が広がっているのですから!

そう、「犀の角」は劇場を併設したゲストハウスなのです! 全国各地に様々なゲストハウスがありますが、劇場付きのゲストハウスはさすがにここ以外ないのではないでしょうか。

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奥の黒い空間が舞台です。演劇に加え、ライブやトークイベントが公演されています。

去年(2018年)の秋には、「上田街中演劇祭2018」会場のひとつにもなったこの場所。ゲストハウスとしても素敵な場所です。ドミトリーに加えて個室もありますし、女性専用の部屋もいくつかあります。写真をお見せできないのが残念ですが居心地の良い空間でした。
「犀の角」のチェックアウトは午前10時です。できれば早めに起きてモーニングを食べましょう。

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犀の角
住所:長野県上田市中央2-11-20
営業時間:7:30~10:00/16:00~21:30
定休日:無月
お問い合わせ: info@sainotsuno.org
HP:http://sainotsuno.org/
SNS:https://www.facebook.com/pg/sainotsuno2016/about/?ref=page_internal
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チェックアウト後コトバヤに向かいます。国道141号線に戻って北上。中央3丁目交差点を左に曲がると石畳と古民家が立ち並ぶ旧北国街道柳町通りに出ます。

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江戸末期から明治時代以来の長い歴史を誇る街並み。

古本屋とは思えないカオスさが面白い「コトバヤ」

この通りに入ってすぐ右手に見えるのが「コトバヤ」です。

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古民家を改装した店舗。引き戸をガラガラと開けて入ります。

「コトバヤ」は古本屋です。ジャンルを問わず様々な古本が並びますが、面白いのが本と本の間に置かれた雑貨です。どんなものかと思って店主の高橋さとみさんに聞いてみると、手作り雑貨やアクリルたわし、さらにパクチーなど古本屋とは思えない品揃え。そのほとんどがお客さんが持ち込んだものがとのこと。カフェスペースもあり、珈琲やケーキも提供してくれます。

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ガチャで消しゴムはんこを販売。季節ごとに内容を変える。

ちなみに、高橋さんは上田映劇の消しゴムはんこを作った方でもあるのです! お店の方と話していると地域のつながりを知れるのも楽しいですね。

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コトバヤ
住所:長野県上田市中央4-8-5
営業時間:12:00~18:00
定休日:不定休
お問い合わせ: kotobaya.net@gmail.com
SNS:https://www.facebook.com/kotobaya.net/
@kotobaya_pe
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2日目のランチはオーガニックなパンを「ルヴァン信州上田店」

「コトバヤ」を出たら昼食に向かいましょう。すぐ近くにある「ルヴァン信州上田店」です。

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(旧北国街道柳町通りのお店はどれも趣がある古民家です。)

ルヴァンはオーナーの甲田幹夫さんが1984年に東京の調布で創業した天然酵母パンの先駆的なお店です。人気店だけあってその美味しさは折り紙付き。11:30~14:00のランチタイムに運良く席に座れたらじっくりパンの味を楽しみましょう。

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スープセット(スープ・パン3種・おそうざい)が1000円で注文できます。軽食と見られがちなパンですが、ここのパンは結構お腹に溜まるのが嬉しいです。

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ルヴァン信州上田店
住所:長野県上田市中央4-7-31
営業時間:9:00~18:00
定休日:水・第一木曜日
お問い合わせ: 0268-26-3866
SNS:https://www.facebook.com/pages/category/Grocery-Store/%E3%83%AB%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3%E4%BF%A1%E5%B7%9E%E4%B8%8A%E7%94%B0%E5%BA%97-193487528183931/
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旅の最後はお酒で締める「岡崎酒造」

昼食も終えて、さて、帰るかと思ったあなたに最後に紹介したいのがルヴァンの隣にある酒造直営酒屋の「岡崎酒造」です。

何を隠そう、お酒好きの和氣でありますが、ここで販売している信州亀齢が最高なのです。2015年関東信越国税局酒類鑑評会の吟醸部門で第一位を取り、純米部門でも優秀賞を取ったというこのお酒は芳醇な香りと旨味が特徴ですが、その中でも特に僕の推したいお酒が「小堺屋平助」です。

通常、辛口といえばスッキリさっぱりした味わいなのですが、この小堺屋平助はスッキリした後味でありながら濃厚なコクも楽しめる一品なのです。もう上田に行ったら買わざるを得ない! 最高のお酒なのであります!

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蔵元限定販売酒なので店に行かないと買えません。(税込1550円)

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岡崎酒造
住所:長野県上田市中央4-7-33
営業時間:8:30~17:00
定休日:無
お問い合わせ: okazaki@ueda.ne.jp
HP:http://www.ueda.ne.jp/~okazaki/
SNS:https://www.facebook.com/pages/category/Food---Beverage-Company/%E5%B2%A1%E5%B4%8E%E9%85%92%E9%80%A0-154049721316235/
@okazaki_syuzo
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というわけで、お土産に「小堺屋平助」を買って上田ブックショップトラベル、終了でございます。

いかがでしたでしょうか? ブックカフェにミニシアター、劇場に、パン屋に酒屋さんと盛りだくさんだった長野県上田市のツアー。週末にちょっと足を伸ばしてみると歴史と文化に触れることができると思います

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