大阪で50年愛され続けるポン酢、門外不出の極秘レシピ:世界!ニッポン行きたい人応援団

公開: 更新: テレ東プラス

寒い季節、鍋料理に欠かせない「ポン酢」。海の幸はもちろん、しゃぶしゃぶ、ハンバーグなど肉にも合うニッポンの万能調味料です。「ポン酢」とは、柚子やかぼすなどの柑橘果汁にお酢を加えたもので、定番の醤油を加えたポン酢醤油をはじめ、味噌を使ったみそポン酢、洋食にも合うトマトポン酢など、その種類は3000以上。

その歴史は古く、江戸時代に誕生。オランダ人が「ポンス」という柑橘系の食前酒を持ち込むと、日本人は酒の代わりにお酢を入れ調味料として使うように。近年は減塩ブームもあり、ポン酢を使う家庭も増えています。

ニッポン愛がスゴすぎる外国人をご招待する「世界!ニッポン行きたい人応援団」(毎週月曜日夜8時~)。今回は、「ポン酢」を手作りするほど愛するカナダの主夫がニッポンへ!

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本物の柚子が見たい! ポン酢を愛するカナダ人がニッポンへ

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《今回ニッポンにご招待するのはこの人》
カナダ人のショーンさん、36歳。主夫として家事と育児をこなす。
かつては学校の先生をしていたが、台湾出身の奥さんの妊娠をきっかけに退職。しかし、慣れない子育てに悩み鬱状態となり、それを救ったのが日本料理だった。それ以来、日本料理に魅了され、現在のレパートリーは30種類以上。中でも、「酸味と甘さ、そして味に深みのある完璧な調味料ですよ!」とポン酢に夢中。ポン酢のおかげで、子供たちも苦手な魚を食べるようになったそう。

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《ショーンさんの手作りポン酢は?》
アジアンマーケットで購入したご覧の材料を使い、自己流でポン酢を作っているショーンさん。しかし、一つ問題が...。カナダでは栽培していないため柚子を見たことがないそう。代わりに果汁100%ではない柚子ジュースと使っているのですが、これではどうしても香りが弱い。

「もし本物の柚子が手に入ったら、理想のポン酢に近づけると思うんです」とショーンさん。「本物のポン酢と柚子を学びたい!」ということでニッポンにご招待!

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《大阪でニッポンのポン酢を満喫》
ニッポンにやってきたショーンさんは、まずは大阪屈指のグルメストリート・黒門市場へ。
さっそく目に入ったのはカナダにもあるという松茸...ですが、ショーンさんは松茸よりもすだちに大興奮! 「手に入らなかったすだちが...、一緒に並んでいますよ!」

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ふぐ消費量の6割を占める大阪では、ふぐ料理にかかせないポン酢が広く親しまれているそうで、早速、活ふく料理「かみいし」へ。新鮮なトラふぐを、念願のニッポンのポン酢でいただきます。

てっさ(ふぐの刺身)に合わせるのは、すだちと柚柑(ゆこう)をブレンドしたポン酢。味見したショーンさんは「出汁、旨味、後から柑橘の香りが追いかけてきました!」と美味しさを表現。続いて、昆布だしの鍋には、すだちと濃口醤油のポン酢。ポン酢をたっぷりつけたふぐを口にした「食べた瞬間に醤油の香りが広がります」と感激。

その他、「大阪アメリカ村甲賀流本店」で、たっぷりの刻みネギをのせてポン酢をかけた熱々のたこ焼き「ねぎポン」、「とんかつ吉兆」で、卵黄を混ぜたポン酢にとんかつをつける「ヒレおろしとんかつ定食」を...と、さまざまなポン酢を堪能し、大満足。

夫婦2人で手作り!大阪で50年以上愛されるポン酢

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《50年以上愛されるポン酢の専門店》
続いて、大阪で50年以上親しまれているポン酢専門店「勝貴屋」へ。
ご主人の田中勝さんと奥様の貴子さん、2人の名がついた「勝貴屋」のポン酢は、口コミで評判が広まり全国から注文が来るほど。

その香りをかがせてもらったショーンさんは、「柚子の香りが鼻を通りぬけました。ワンダフル!」。そしてその味は「1秒ごとに味が変わります。まずは柚子、そして塩、醤油、わずかな酸味、そして出汁の旨味が長く続きます」と絶賛。

カナダから持参した自作のポン酢をご夫婦に試してもらうと、貴子さんから魚介の臭みを感じるとの指摘が。そこで、特別にポン酢作りを見せてもらえることに。「勝貴屋」のポン酢には、様々なこだわりがありました。

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《「勝貴屋」のポン酢のこだわり》
【こだわり1】出汁から出る旨味!
まずは、ポン酢の出汁をとります。「勝貴屋」のポン酢がこだわるのは、出汁から出る旨味。昆布は上品な甘さが特徴の北海道産の真昆布、椎茸は品質にこだわり原木栽培のものを、さらにサバとイワシの削り節を入れ、24時間置いてから煮込みます。

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「鰹節を入れたらすぐ火にかけていました」というショーンさんに、「灰汁が出すぎると思います」と貴子さん。その言葉にショーンさんは「それが魚の臭みの原因だったんですね」と納得。

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【こだわり2】高価な柚子果汁をふんだんに使う
出汁がとれたらいよいよポン酢作り。10年の歳月をかけ、ようやく完成させたというレシピ! ショーンさんは、真剣にメモを取りながら見学します。

「勝貴屋」で使うのは、高知県産、果汁100%の柚子果汁。香りが命の柚子を収穫後すぐに絞汁することで、その香りを保っています。本物の柚子の香りに、ショーンさんは「ハァ~柚子~」とうっとり。果汁量が少ない柚子は高価ですが、「勝貴屋」ではふんだんに使います。

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【こだわり3】洗濯機を改良した自作の攪拌器で混ぜる
そしてすべての材料を混ぜ合わせます。その機械にもこだわりが! まんべんなく混ぜ合わせるために、洗濯機を改良し一定時間で左右反転する撹拌器を自作したのだそう。

そして鮮度を落とさないよう、すぐに瓶詰めして完成!

このポン酢作りを二人三脚で50年間続けてきた2人。その苦労がたたったのか、勝さんは一昨年、大病を患い、貴子さんは店の看板を下ろすことも考えたそう。しかし、孫の智章くんに「ポン酢の作り方教えてもらってないのに死んだらあかん!」と励まされ、勝さんも元気に復帰。話を聞いたショーンさんは「お2人のポン酢は将来安泰ですよ」と、勝さんたちとともに喜びました。

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その夜、夕食に招かれたショーンさん。貴子さん特製のお好み焼きをいただきます。

【貴子さん特製「ポン酢 お好み焼き」の作り方】
1.生地はキャベツ、とろろ、コンニャク。よく混ぜる。
2.豚肉、セロリ、ネギの3つの具材をポン酢で味付け。←ここがポイント!
3.フライパンで焼く。生地を焼き、上に具材をのせ、さらに生地ではさみ、バターで風味付け。
4.マヨネーズとポン酢を合わせた特製ソースをたっぷりかける。

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お好み焼きに大満足したショーンさんは、「具は何を使ってますか?」と貴子さんに質問。貴子さんはお好み焼きの具材をほじくり出しながら、説明してくれました。

別れのとき。お孫さんたちからお土産に自分のお小遣いで買ってくれたという野球チームのお箸をいただいたショーンさんは、自作のポン酢と、手作りふりかけをプレゼント。ショーンさん特製ふりかけは、ポン酢を濾して残った鰹節や昆布を乾燥させて粉末にし、ゴマ、塩、ケシの実を入れて作ります。「いろんな工夫して作ってるんや」と関心する勝さんとしっかり握手し、ショーンさんは「勝貴屋」を後にしました。

樹齢200年以上!幻の柚子を収穫

続いては、柚子の生産量全国1位の高知県へ。
和食文化には欠かせない柚子。その歴史は古く、奈良時代に書かれた文献にも記載されています。しかし、柚子は種を植えてから実になるまで、なんと15年以上かかるのです。そこでみかんに接ぎ木をする方法が開発され、わずか3年~5年で収穫できるようになりました。

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《幻の柚子》
そんな中、今回ショーンさんが訪ねたのは、今はほとんど栽培されていない、種から育てる実生(みしょう)柚子にこだわる川島弘明さん。川島さんが育てているのは、昨年亡くなったフランス料理界の巨匠ジョエル・ロブションも認めたという、世界でも類を見ない特別な柚子なのです。

ショーンさんが、実がなるまで15年はかかる実生柚子にこだわる理由を尋ねると、「全然違います。別物ですね」と川島さん。種から育てた柚子は、接ぎ木して育てた一般的な柚子より香りが良いといわれています。

地中から吸い上げるミネラルが栄養となる柚子は、樹齢が経てば経つほど根が伸び多くのミネラルを吸収して香りが増します。そして樹齢100年を超える枯木(こぼく)になると、芳醇な香りを放つ幻の柚子となるのです。今回、特別にその幻の柚子を見せてもらいました。

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《枯木柚子を求めて山奥に》
傾斜の厳しい山道を歩くこと30分。一体どこに柚子があるのか見回すと...ありました! はるか高いところに、樹齢200年を越える柚子の木が!川島家は江戸時代からこの山を守っているのです。

斜面に切り立つように立つ高さおよそ15メートルの柚子の木にハシゴをかけ、鋭いトゲに気をつけながら柚子を収穫。川島さんをお手本に、高い所が苦手なショーンさんも挑戦。自ら収穫した柚子の豊かな香りを満喫します。

柚子の香りの秘密は皮。油胞と呼ばれる無数の点に精油(香りの成分)が凝縮されているため、柚子は皮ごとしぼることで香りが一層引き立つのです。

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《柚子の一番うまい食べ方》
ここで川島さんは、柚子の一番うまい食べ方を教えてくれると、樹齢100年以上の枯木柚子に案内。その食べ方とは!?

まず枝についたまま柚子を揉み、中に果汁がたまるのを感じたところで皮をかじって吸い口を作り、そこから一気に果汁を吸い込む!

「こんな贅沢な柚子の食べ方があるなんて驚きました!果汁も皮も絶品です」と、夢中で吸い続けるショーンさんに、川島さんも思わず笑みが。最高の鮮度でいただく柚子に大満足!

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《絶品!高知の郷土料理》
その夜、ショーンさんの歓迎会には高知の郷土料理がずらり。戻りガツオのたたきには、枯木柚子を使った川島さん特製のポン酢をたっぷりと。柚子果汁で酢飯にした土鍋ごはんにみょうがをのせた田舎寿司なども振る舞われました。

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《枯木柚子への思い》
「今日、枯木柚子を採った時、私がずっと追い求めていた素材に出会えた気がしたんです」というショーンさん。実は、収穫量の少ない枯木柚子は市場に出しても値がつきません。それでも川島さんは枯木柚子を守り、柚子本来の味を知ってもらおうと全国を回りその存在をアピールしてきました。

ショーンさんみたいな人が来てくれてよかったという川島さんに、「とても幸せです。こんな情熱を持った方に出会えたのですから」とショーンさん。2人はかたい握手を交わしたのでした。

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別れのとき。川島さんから、特製枯木ポン酢と柚子Tシャツをお土産にいただきました。そしてショーンさんからもプレゼントが。昨晩ホテルのキッチンを借りて、川島さんへの感謝を込めて作った柚子チーズケーキ。大喜びの川島さんは、指ですくって食べ始め、みんなも笑顔に。

「この旅で学んだ美味しいポン酢を家族に振る舞ってあげたいです」と語るショーンさん。もうすぐ生まれてくる新しい家族にも、ポン酢の味を伝えてあげてくださいね!

松尾芭蕉「おくの細道」を愛する女性がニッポンへ!

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今夜1月14日(月)夜8時からの放送は、まだ番組への応募がない中米ホンジュラスで、ニッポン好きを捜索! 出会ったのは、松尾芭蕉を愛する17歳の女性。独学で芭蕉の句を英語で書き写したりしているという彼女は、「実際に芭蕉が訪れた場所を歩きたい。自分でも俳句を詠んでみたい!」というのでご招待。

「おくの細道」出発の地、東京の千住から、栃木県黒羽、宮城県松島、山形県立石寺などへ。芭蕉ゆかりの地を訪れ、句碑を巡ったり、地元の料理でもてなしを受けたり、一緒に俳句を詠んだり、地元の方々とふれ合う旅を!

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