密着「ローソン」が出来たて弁当でデリバリー市場参入!その舞台裏:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

1月28日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは「激変のコンビニ!ローソンの逆襲」。独自路線で挑む「ローソン」に密着。店で作った出来たて弁当をデリバリーする新事業に挑むなど、他社にはないオリジナルのビジネスモデルを取材した。

独占密着!新戦略は店内で作った"出来たて弁当"のデリバリー

激戦のコンビニ業界でセブン-イレブン、ファミリーマートについで3位のローソン。毎週火曜日に出る新商品などで客を引きつけているが、最大の課題が、店舗が1日に売り上げる"日販"額。2021年3〜11月期における平均日版額は、トップの「セブン-イレブン」が64万7000円であるのに対し、「ローソン」は49万7000円と、15万円の差がついている。

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「ローソン」の竹増貞信社長は、「いろいろな生活の仕方がコロナ前と後ではガラッと変わっている。大きく変えることができれば絶対にチャンス」と話す。ピンチの今こそ"大変革"が必要だというのだ。そんな中、いまローソンが力を入れているのが「まちかど厨房」だ。

「まちかど厨房」は、店内に作ったキッチンのこと。既存の店も本部がお金を出して改装するなどして、今や「ローソン」全国約1万4700店のうち、すでに半分を超える8000店が導入している。弁当コーナーには店内で調理した「海鮮かき揚げ丼」や「海老カツバーガー」「三元豚の厚切りロースカツサンド」など約30品が並ぶ。お米も店内で炊くことにこだわり、客からは「お米がホクホクしておいしい」「今まで並んでいたものより手作り感がある」と好評。取材した店のオーナーは「弁当カテゴリーの売り上げが2倍になった」と手応えを感じていた。

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しかし、課題も。弁当作りのピークは基本、昼食前と夕食前の時間帯。他は活用できていない時間も多いのだ。この"遊休時間"を有効活用できないかと極秘で進めたのが、コロナ禍で拡大するフードデリバリー市場への参入だ。

デリバリー事業の担当者に抜擢されたのは、新規事業本部の舟橋龍太さん。元食品メーカー勤務で、もっと客との距離が近い業種で働きたいと、10年前「ローソン」に転職した。
「お客さんからみても、距離が近い所にこれだけの数の厨房があるのはメリット。最終的には喜んでもらえるサービスを作りたい」と意気込む。

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取り組んだのは、宅配専門のメニューの開発。客席を持たずデリバリーに特化した「ゴーストレストラン」と呼ばれる店と組み、コンビニの常識を打ち破るインパクトのある商品作りを目指す。デリバリー専門の21ブランドを持つ人気店「ゴーストキッチンズ」は、ニューヨークの屋台飯「チキンオーバーライス」を提案。

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しかし、「ゴーストキッチンズ」のスタッフが調理する工程を見た舟橋さんは渋い顔...。
食材を逐一計量しながら作る方法は、シフト制でさまざまなスタッフが担当する「ローソン」の店内厨房に合わない。誰が作っても同じ品質になるよう、作業をわかりやすく効率化できないか......。
生み出した秘策は、計量済みの食材を小分けにし、"キット"にする方法だった。しかも味は、デリバリー専門店のお墨付きだ。

いよいよデリバリー事業が始まった。まずは「ローソン 飯田橋三丁目店」で「チキンオーバーライス」を展開することに。フードデリバリー大手の「ウーバーイーツ」のサイトには「NY飯!チキンオーバーライス」の店名が。ローソンの看板を使わず、メニューで勝負する。

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トッピング別に3種類を用意し、値段はオープニング価格で割安にした。舟橋さん、厨房にタブレットを置き、注文が入るのを待つ。

するとさっそく注文を知らせる音が鳴った。スタッフが、まちかど厨房のこだわり、炊きたてご飯を容器に詰めたあと、食材を手際よく乗せて作る。舟橋さんが心配そうに見守る中、おいしそうなチキンオーバーライスが完成。厨房で手作りした初めての弁当が配達員によって運ばれていった。

後日、取材班が再び店を訪れると、今度は台湾出身のスタッフが担当。手慣れた様子で「チキンオーバーライス」を2つ同時に作っていた。これもきれいに完成。スタッフは「難しくない。問題ないです」と話す。

このデリバリー事業は来年2月末までに100店、2025年度に1000店に拡大することを目標に掲げている。そのため、舟橋さんにはまだ大きな仕事が。メニューをもっと増やさなくてはならないのだ。目標は20ほど。

舟橋さん、今度はゴーストレストラン「グロブリッジ」と協力し、新たな商品開発に取り掛かる。何とか目玉になるものが欲しい......。数ある候補の中から舟橋さんが目をつけたのが海鮮丼だった。

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コンビニではなかなか取り扱わない生ものの弁当を販売できれば大きな売りになる。しかし、時間がかかる盛り付けや厨房で魚の鮮度をどう管理するかなど、課題は山積みだ。
海鮮丼の実現に向けて動き出した舟橋さんは、食品会社時代のツテもフル活用する。課題をどうクリアするのか。

街に合わせて店を変える!地域の困りごとを解決する"コンビニの新たなカタチ"

「ローソン」の戦略は他にも。「マチの"変化"をローソンの"変化"に」をテーマにし、地域化に着目。竹増社長は「コンビニは北海道から沖縄まで、同じ商品・同じサービスという切り口で成長してきたが、どこも一緒では今後の成長はない。同じ街は全国に1つもない。その街にあった店をいかにつくっていけるか」と話し、地域に合わせた店づくりを進めている。

茶畑の隣にある「ローソン 狭山南入曽店」の店内奥には1万タイトルの本が並ぶ。去年、店の4分の1を本の売り場に改装。「本屋が近くにない街なのでとても助かっている」と客の心をつかみ、店全体の売り上げも上がっているという。

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「ローソン さいたまシティハイツ三橋店」では、介護福祉関連の企業とタッグを組み、店内の一角に介護の無料相談や体操、健康診断ができるコーナーをつくった。
この「ケアローソン」は地域の人たちの憩いの場になっており、体操に参加した女性は「みんなと話しながら体操できて一石二鳥。家にいたらあまり笑うことないから」と笑顔で話す。「ケアローソン」は高齢化が進む地域をターゲットにし、全国22ヵ所で展開している。

さらに「ローソン」が今、強化を図っているのが野菜販売だ。首都圏の郊外エリアを重点的に、近隣にスーパーが少ない店をターゲットにして青果を充実させていくという。

千葉の北部エリアを担当する「ローソン」の森彩華さんが訪れたのは、住宅街にある「ローソン 松戸久保平賀店」。店の半径1キロ圏内にスーパーが3軒あるが、大きな国道が通っており、住民の中には徒歩で20分以上かかる人も。日々の買い物は近くのコンビニが頼りだ。

森さんは店の駐車場にテントを立て、中には、近くの青果市場「柏市公設総合地方卸売市場」から仕入れた新鮮な白菜やキャベツ、イチゴやみかんなどが並ぶ。

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これまでにもオーナーが野菜を仕入れて売るコンビニはあったが、品数が限られていた。今回は全国に青果店のネットワークを持つ卸業者「髙上青果」と組み、地元の青果店を通じて、旬の新鮮野菜が店頭に並ぶ仕組みを構築した。「ローソン」は、売り上げの一部をもらい、仕入れ代を青果店に支払う。青果店は売り先が増えるメリットがある代わりに売れ残れば引き取る約束があるため、目利きも真剣だ。新たに始まった青果の販売は、どんな結果につながるのか。

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