素のままの自分に、町田啓太「ドキュメンタリーとしては成り立っているか心配です」:僕ドラ

公開: 更新: テレ東プラス

テレビ東京×めちゃコミックが送る、俳優・町田啓太さんが主人公のプロジェクト「僕を主人公にした漫画を描いてください!それをさらにドラマ化もしちゃいます!!」、通称「僕ドラ」。テレ東プラスでは、昨年3月のプロジェクト参加者を選出する段階から密着してきました。

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現在、原作となる漫画がどのように作られドラマ化されていくのかを追ったドキュメンタリー番組(毎週水曜深夜1時から)を放送中で、2月からはドラマがスタートします。本プロジェクトの審査委員長も務める町田さんに、企画の始動から大賞作品決定までのお話をうかがいました。

"心が動くものかどうか"を意識

――選考会議やリモート面談などずっと取材させていただいていましたが、町田さんはすべての漫画家さんと作品に真摯に向かわれていました。選考を進めていく中で、ご自身の中で軸にしたのはどういうところですか?

「とんでもなく魅力があって心ひかれたプロジェクトでしたが、選ぶ側の立場に立つのは初めてで、また、お芝居には経験値があるものの漫画については専門知識が全くありませんでした。そんな中で一番気を付けていたのは"周りの意見を聞く"ということ。漫画のプロであるめちゃコミックスのみなさんの視点だとどんな感想を持たれるのか、たくさん質問し、その都度説明を受けるようにしていました。そして、自分の気持ちも大事にして、"心が動くものかどうか"ということを常に気にしていました」

――モノ作りの初期から関わってみて、俳優としての価値観で変化したことはありますか?

「細かいことから大きなことまで、たくさんあります。俳優業は企画や台本がある程度出来ているところに参加させてもらうので常々"受け身"だと感じ、"いつかは企画の段階から作品作りに関わってみたい"と思っていたので、素敵な企画に声を掛けていただいてラッキーでした。実際にやってみると、大変ではあるけれど、その分楽しさも新たな発見もたくさんあって、改めて幸せだなと感じました。いつもは触れられない制作の過程を踏めていることは、すごく勉強になっています」

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――プロジェクト参加者の選考では、最初の会議で十数名の通過者を選んだ時点で「この段階ですでにすごく悩んだので、最後には自分の足では立てないぐらいになっているんじゃないか」とおっしゃっていました。実際、最後の1組を選ばれるのは苦労しましたか?

「本当に悩みました。嬉しいことですけれども、すごく悩みましたね」

――審査が進むにつれて求めるものがだんだん見えてきて、選びやすくなったということはなかったですか?

「それぞれ違った良さがあって難しかったです。皆さん素晴らしかったから、最後はもう何を取るのかというところだけでした。どの作品も『全部ドラマやりたいな』と、ずっと言ってました」

――確かにおっしゃっていましたね(笑)。会議を拝見していると、「ドラマにしたときにどうか」「漫画を連載する上でどうか」と、プロデューサーさん、編集者さん、それぞれの立場からのご意見があって。それらをすべて考えあわせた上で結論を出すというのは本当に苦労されたんだろうなと。

「そうですね。こっちの都合で作品自体が損するのはイヤだったんです」

――ドラマ化するにあたってスケールダウンしてしまったりとか。

「それだったら、ドラマ化を目指すこちらの意向や意図には左右されず、漫画として本当に作りたいものや表現したいものを描いてもらったほうがいいんじゃないか、と。そういう作品もたくさんありました」

ついに大賞作品決定

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――会議での町田さんは、こうして企画から関わられるのが初めてとは思えないほどフラットな目線ですべてをご覧になっていて。ご自身の主張もされつつ、皆さんの意見もしっかりくみ取って、というバランス感覚が見事だと思いました。

「自分としては、思ったことや感じたことをちゃんとお伝えしなきゃという思いがあって、そこだけに一生懸命でした。撮られていることも全然意識できていなかったです。素のままでずっとしゃべっていたので、ドキュメンタリーとしては成り立っているか心配です」

――いえ、見ているこちらとしてはドキドキハラハラで、ドキュメンタリーとしても見応え十分です。6組から3組になったとき、落選した参加者の方に町田さんが掛けた温かい言葉にはこちらまでグッと来るものがありましたし。

「その言葉が本当に合っていたのかなと、今でも思います。でも、判断に関しては、ドラマプロデューサーの太田(勇)さんをはじめみんなでたくさん話し合って決めましたし、間違いはなかったと思っています」

――本当に初めての試みで、正解が見えない中ですもんね。

「そうですね、本当に手探りでしたし、頭の中がぐちゃぐちゃになっていました。火噴きそうだなと思いながらやっていました(笑)」

――大賞作品が決定した後も、ドラマPや脚本家などによる本打ち(脚本打ち合わせ)にも参加され、いろいろご提案されているとか。

「はい、脚本の制作段階から提案はたくさんさせてもらっています。作品の方向性として、こういう流れのほうがいいんじゃないかとか、そういう細々したことを監督や脚本家とたくさん話しています」

1月12日(水)の放送で、ついに大賞作品が決定! 町田さんが「本当に僕をいい感じに料理してくれているなというのは感じました」という作品は、果たして誰のどんな漫画なのか!?

衣装協力:LEMAIRE(SKWAT/LEMAIRE)、Paraboot(Paraboot 青山店)

(取材・文/高瀬純)

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