米IT見本市に “ウイルス抑制”技術で挑んだ日本ベンチャー<WBS>

公開: 更新: テレ東プラス

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CESで展示されたカルテックの空気清浄機。

アメリカ・ラスベガスで現地時間7日まで開かれていた世界最大級の家電と技術の見本市「CES」に日本の家電ベンチャー「カルテック」が初出展しました。会場でアピールするのは新型コロナウイルスを抑制する効果があるという技術を取り入れた空気清浄機です。カルテックはCESを足がかりに北米市場進出を目指します。

5日、一般公開が始まったCES。超高精細の8Kテレビや、ドローンなど最新の製品や技術が展示されています。世界中からおよそ2200の企業が出展する中、今回初めて参加したのが家電ベンチャーのカルテックです。ブースに並ぶのは、新型コロナウイルス対策で注目される光触媒技術を使った空気清浄機。光触媒のフィルターにLEDの光を当てると、化学反応が起き、細菌やウイルス、悪臭などの原因物質を水と二酸化炭素に分解します。日本で発見され、日本が誇る技術の一つです。

カルテックではメード・イン・ジャパンをアピールしようと漆塗りや金箔など、日本の伝統工芸を用いた製品を展示しました。来場者の反応を心配そうに見守るのはカルテックのクリエイティブディレクター酒井裕典さんです。伝統工芸仕様の製品の展示に強い思い入れを持っていました。

2021年12月29日、大阪市内。アメリカへの出発を3日後に控えたカルテックの本社では、出展に向けた最後の打ち合わせが行われていました。

「従来の家電っぽい商品よりも、やはり日本独自の技術であると。ビジュアルとしてもインパクトが欲しい」(酒井さん)

会場で注目を引くために、急遽仕上げた伝統工芸仕様の製品を展示したいという酒井さん。デザインではなく、技術をアピールすべきという意見もありましたが、カルテックの染井潤一社長は「日本の伝統工芸だから、ぜひカルテックから発信していこう」と決断を下しました。

染井社長は家電メーカー「シャープ」の元技術者で、2018年にカルテックを創業しました。創業4年目で世界最大級の見本市CESに出展する理由について「我々はまだベンチャーの域を出ていない会社なので、費用面でも大変だった。ちょっと背伸び感はあるが、今回は、頑張ってやっていこうと思いました」と話します。

アメリカ・ラスベガスのCES会場。酒井さんたちが日本から持ち込んだのは、あの伝統工芸仕様の空気清浄機です。

「CESは5年ぶりぐらい。2002年からはずっと来てましたから」(酒井さん)

実は酒井さんもシャープの元社員。シャープの社員として、CESの出店にも長年携わっていたため、今回の出店には特別な思いがあります。

「欧米は予防する文化、習慣がない。大手企業の空気清浄機でも、なかなか欧米に進出するのは難しかった。ただコロナ禍で意識が少し変わってきているので、今回はチャンス」(酒井さん)

一般公開初日、会場には光触媒による脱臭の効果を示すためブルーチーズを置いた環境で、その違いを比較する展示も用意しました。具体的な商談の申し入れもありました。

今回の出展で、北米市場に進出する足がかりを得たいカルテック。酒井さんはその手応えを感じていました。

「弊社は起業してまだ3年ちょっとなので、CESで皆さんにお披露目できることが技術者やデザイナーの夢、誇りでもある。いいスタートが切れた」(酒井さん)

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