17年連続の市場縮小も反転攻勢へ 大手ビール4社今年の戦略は?

公開: 更新: テレ東プラス

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大手4社は、2022年のビールの売り上げで大幅な増加を見込んでいる。

ビール大手の4社が6日、2021年の販売実績を発表しました。緊急事態宣言などの影響で、各社ともビール類は前年の実績を下回り、市場規模は17年連続の縮小となりました。ただ今年は、各社ともプラスを予想していて、特に発泡酒などを含まないビールの売り上げで大幅な増加を見込んでいます。一体、どんな商品で巻き返そうとしているのでしょうか?

都内にある量販店の酒コーナー。在宅需要でビールが好調に推移しているといいます。糖質ゼロやアルコール度数0.5という微アルコールのビールなどが人気で、コロナ禍における家飲み需要は今年も堅調のようです。ビールの中でも特に人気があるのが、クラフトビールです。新潟県や富山県など地方のものを買い求める客が増えています。

このクラフトビール人気で巻き返そうとしているのがキリンビールです。6日の会見でキリンビールの堀口英樹社長は「今年はクラフトビールの『スプリングバレー豊潤496』を中心としたクラフトビール戦略にも拍車をかけていきたい」と話しました。昨年3月に発売したスプリングバレーを早くもリニューアル。今年は昨年の1.5倍の売り上げを目指します。さらに会員制の生ビールサービス「ホームタップ」は2月以降、国内のクラフトビールメーカーに協力してもらい、ラインナップを増やす予定です。

キリンビールは2021年、ビール類全体の販売量は前の年に比べ4.1%減少。今年はクラフトビールの販売拡大で巻き返しを狙い、ビール類全体では昨年に比べ6.6%のプラスを目指します。

一方、アサヒビールも好調な家飲み需要を狙った新戦略を発表しました。昨年大ヒットした「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」の生産体制を、約5倍に強化。3月の出荷分から、開栓してから泡が立つ速さをスピードアップしたものに刷新します。

さらに看板商品のアサヒスーパードライを1987年の発売以来初のフルリニューアル。缶には、従来品との味の違いをグラフを使ってアピールします。2021年、ビール類の売り上げは前年より4%のマイナスでしたが、2022年は12%のプラスを目標としています。アサヒビールの塩澤賢一社長は「業務用はわかりません。オミクロン株がどうなるのか。スーパードライは屋台骨ですので、必ず成功させなければいけない」と話します。

2026年にはビール、発泡酒、新ジャンルの税率が一本化される予定で、ビールは350mlあたり15円以上安くなり、各社、ビールの商品力を強化しています。

サッポロビールも、主力商品の「サッポロ生ビール黒ラベル」を2月製造分から順次リニューアルします。2021年は、前の年より4.4%のマイナスだったビール類の売り上げを今年は10%を超えるプラスにする計画です。サッポロビールの野瀬裕之社長は「骨格は大きく変えないでシャープに研ぎ澄ましていく。物語性のある商品をたくさん持っているので、チャンスの年」と話します。

そして、大手4社のうち、サントリービールだけが、他のライバルと異なる戦略を打ち出しています。サントリービールの西田英一郎社長は会見で「まずは業務用。未曾有の危機から立ち上がろうとしている料飲店、または業務用流通の皆さまとともに、回復に向けて全力で取り組んでいく」と話しました。

その具体的な戦略の一つとして、消費者の健康志向の高まりを受けて、昨年発売した糖質ゼロのビールを3月から飲食店向けの樽詰めのビールとして新たに発売します。コロナで大きな打撃を受けている飲食店向けの商品を充実させることで、飲食店の売り上げも一緒に伸ばしたい考えです。サントリービールは2021年は前年比で8%のマイナスだったビール類全体の売り上げを、2022年は4%プラスにする計画です。

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