「相場格言」を読み解く 寅相場、本当に株価上昇?<WBS>

公開: 更新: テレ東プラス

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十二支別の株価成績では寅年が最も負け越している。

今年の干支は、トラですが、証券業界に伝わる「相場の格言」では、寅年は「寅、千里を走る」と言われています。勇ましく、株価が上昇しそうなイメージですが、果たして、今年の株価はどうなりそうでしょうか。

年初から2日連続で上昇した日経平均株価。まさに虎が勇ましく走り始めたかに見えますが、相場格言に詳しいピクテ投信投資顧問の糸島孝俊さんは、寅年には注意が必要だと指摘します。

「相場が上がるイメージがありますが、実はこの格言は『寅は千里を往って千里を還る』という『いってこい』の相場、往来相場の可能性がある」(糸島さん)

実際、朝鮮戦争が勃発した1950年の寅年には、日経平均がマイナス7.3%と大幅に下落。さらに、世界が核戦争の危機に直面したキューバ危機の1962年、当時の橋本総理が参議院選挙での大敗を受けて辞任し、不良債権を抱えた日本長期信用銀行が破綻した1998年など、1950年以降の寅年で日経平均が前年を上回ったのは1度しかなく、十二支の中で最も負け越しているのです。

果たして今年はどうなるのでしょう。

「日経平均3万円前後で、1月に高値だと思う。地政学的リスクやショックが起きると2割ぐらいは覚悟する必要があり、そうすると2万4000円ぐらいもあり得る」(糸島さん)

アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)の金融政策の動きも、大きなリスクになり得ると指摘します。

「インフレが年前半で終わるならいいが、年後半、11月の中間選挙に向けても続くようであれば、当然ながら利上げのピッチを速める。もしくは回数を増やす」(糸島さん)

WBS解説キャスターの原田亮介さんは2022年の株式相場について次のように語ります。

「まず上昇要因としては好調な企業業績と株式の高い配当利回りがあります。企業業績は3月期の増益予想が68%で、これは8年ぶりの数字です。もう一つは配当利回りで、日経平均の採用銘柄では2%に達している。10年物国債の利回りは今1%を割ってますから、相対的には有利な投資先であると言えます。一方、下落要因としてはアメリカの利上げが待ち受けている。物価が6%を超える上昇がアメリカでは続いており、FRBは年内に3回の利上げを予想しています」(原田さん)

そしてリスク要因として挙げられたのが、日米の選挙です。

「日本は夏に参議院選挙があり、自民党が勝てば、岸田総理の長期政権の道が開けるが、どうなるか。アメリカでは11月に中間選挙があり、今、与党の民主党が上下両院の過半数を持っていますが、バイデン大統領の支持率が低いので、負ける可能性がある。共和党が両院を取った場合、2年後に大統領選挙もありますから、アメリカの国際社会でのリーダーシップの低下、それが地政学リスクを招く恐れもあり、マーケットには心配の材料になるかもしれません」

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