物流や飲食でアルバイトの時給上昇 経済再開で激化する人材争奪戦<WBS>

公開: 更新: テレ東プラス

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求人サイトでは「時給200円アップ」や「採用祝い金4万円」など、人材を集めるのに懸命な姿勢をうかがわせる数字が並ぶ。

経済活動の再開に伴い、いま、アルバイトの争奪戦が激しさを増しています。

今年9月、千葉県流山市に完成した国内最大級の物流施設「GLP ALFALINK 流山8」。入居する運送業の「GBテクノロジー」は今、クリスマス用の配送がピークでした。コロナ禍の巣ごもり需要も引き続き堅調で、通常月と比べ約1.5倍ほど荷物が増えているといい、既存の従業員だけでは人手が足りず、毎日80人ほど派遣会社のスタッフを雇い、何とか回している状況です。しかし人手は他の業種との取り合いで、簡単に確保できるわけではないと言います。

「スタッフの単価を上げ、他業種から雇用できるよう努力をしています。単価自体が120%に上昇ですから、月の人件費は数千万円の上昇で非常に厳しい」(GBテクノロジーの黒瀬忠欣社長)

人手の確保に苦戦する現場もあります。東京・渋谷区の「お肉屋けいすけ三男坊」は、山口県産の希少なブランド牛「高森和牛」が売りで、緊急事態宣言の解除後は売り上げが昨年の8割まで戻りました。支配人の伊藤生人さんは、書き入れ時となる年末にさらなる期待を寄せる一方で、人材の獲得に悩みを抱えています。今年の3月には100件近く来ていたアルバイトの応募が、宣言が解除された10月以降は10件程度と減少し、全く応募が来ない時期もあったといいます。

現状のスタッフの数では接客が十分にできないことから、1日の予約数を減らすなどの対応を取らざるを得ない事態に。そこで伊藤さんが決断したのは、アルバイトの時給アップです。夜7時から9時まで働く人の時給を今月から1200円から1300円に100円アップしました。反応は上々で、今日までに2人の採用に繋がりました。アルバイトの時給アップは負担になるものの期待感も大きいといいます。

「どうしてもお客様に直接サービスする部分が多いお店なので、働いてくれる人は必要です。人件費は重くなるのはつらいですけど、今まで本当につらい時期だったので、ようやくお客様を笑顔で迎えられるようになったから、時給100円アップしてでも迎えたい」(伊藤さん)

飲食業界は昨年と比べて来店者数がプラス45%(予約管理サービス「トレタ」調べ)と増加傾向で、人手不足が顕著になっています。こうした中、大手居酒屋チェーンでもアルバイトの時給アップに取り組んでいます。「ユナイテッド&コレクティブ」は運営する焼き鳥居酒屋「てけてけ」の都内の直営店でアルバイトの時給を最大300円引き上げました。また、ワタミも「ミライザカ」や「鳥メロ」など首都圏の約140店舗で既に雇用しているアルバイトの時給を50〜100円引き上げました。

深刻なアルバイト不足は、飲食業界に限ったことではありません。先月、アルバイトの求人掲載サイト「バイトル」に掲載された求人件数は約25万7000件。昨年と比べると1.6倍に増えています。

バイトルを運営する「ディップ」の北里友宏執行役員は「全体で平均時給が1191円と前の同年と比べて約7%アップしています。飲食のみならず、軽作業・物流系の仕事も前年比10%ぐらい増えている」と話します。

こうしたアルバイトの待遇改善の流れから、ディップでは待遇の良さに絞って検索できる特設サイトを今月オープンしました。

実際に、東京エリアの高収入の仕事を選んでみると、物流拠点での仕事などヒットした求人は3万件を超え、平均時給は1610円。さらに「時給200円アップ」や「採用祝い金4万円」など、人材を集めるのに懸命な姿勢をうかがわせる数字が並んでいます。

広がるアルバイトの待遇向上。この流れは今後も続くのでしょうか?

「まだまだ給与アップの仕事が増えてくるかなと実感しています。採用力向上や、定着に向けて処遇改善に向けて動くようなサービスを展開していきたい」(ディップの北里執行役員)

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