「美人の湯」「美肌の湯」って何?温泉で美しくなる三大美人泉質と入浴法

公開: 更新: テレ東プラス

"美人の湯""美肌の湯"って、一体どんな温泉のことを指すの? 長く入れば入るほど温泉の効果あり? 最後はシャワーで流した方がいいの?

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毎回さまざまな専門家がレギュラー出演中の生活情報番組「なないろ日和!」(毎週月~木 午前9時26分~放送中)から、温泉ビューティ研究家・石井宏子さんに、温泉で美しくなるための「美肌入浴法」をうかがいました。

"美人の湯""美肌の湯"って?

そもそも"美人の湯""美肌の湯"とは、どのような泉質、効能の温泉なのでしょうか? 石井さんによると、温泉は全てが"美人の湯""美肌の湯"。ただし、化粧品の中でもクレンジング、化粧水、美容液など役割に違いがあるように、温泉にも"石鹸のようにスベスベになる""クリームにようにしっとりする"など泉質によって効果が異なります。泉質分類10種類のうち、特に"美"に効果的な【三大美人泉質】を教えていただきました。

nanairo_20211219_02.jpg画像素材:PIXTA

【三大美人泉質】
スベスベ美肌になりたい!
炭酸水素塩泉...石鹸タイプの"美肌の湯"。古い角質を落として肌をスベスベに。
掃除や食材の灰汁とりなどに使う炭酸ナトリウム(=重曹)が温泉の中に溶け込んでいるので、肌の汚れを落としてくれる。単純温泉でも「アルカリ性」のものは同様の効果あり。

しっとり美肌になりたい!
硫酸塩泉...化粧水タイプの"保湿の湯"。温泉の中の水分を肌に集めてしっとり肌に。
肌は、保湿力が高まることで修復力も高まる。別名"傷の湯"といわれ、かつて武将たちが傷を癒したのはこの泉質の温泉。乾燥が気になる人にオススメ。

体の中から美人になりたい!
硫黄泉...インナービューティー"美人の湯"。血行促進により身体の中からキレイに。
硫黄は毛細血管を拡張する作用があるため血行を促進。身体の芯から温まり、体内に酸素や栄養を運ぶと同時に不要なものを排出するのを助けます。

温泉にはいくつもの成分が入っているので、どのような泉質なのかを知ることが大事。まずは温泉施設に掲示されている「温泉分析書」(成分の強い順に表記されていることが多い)をチェックすることから始めましょう。

また、同じ温泉地の中でも、泉質が違う場合も。例えば「箱根」は、玄関口の箱根湯本はアルカリ性の単純温泉や炭酸水素塩泉、山肌のあちこちから噴煙が上がる大涌谷の辺りは硫黄泉です。まずは、箱根湯本で角質を落とし、大涌谷周辺で血流を促し、最後に宮ノ下などの塩化物泉や硫酸塩泉で保湿......と、順序を考えて湯めぐりを楽しむこともできます。

より美しくなるための温泉入浴法

美人・美肌温泉についてわかったところで、より効果的な入浴のポイントをうかがいました。

nanairo_20211219_03.jpg画像素材:PIXTA

【ポイント1】入る前に水分補給
心身ともに流れを整えてから入浴することが大事。温泉旅館の部屋に用意されているお茶とお菓子には意味があります。入浴前に水分と糖分を補給しましょう。

【ポイント2】まずは「かけ湯」
温泉は、普段のお風呂のお湯とは成分が異なるため、まずはしっかりかけ湯を。これから入る温泉は、どのくらいの温度でどんな成分が入っているのかを肌と身体に知らせる準備運動の役目があります。

【ポイント3】ほどほど入浴の「分割浴」
キレイになりたい!たっぷり成分を取り入れたい!からといって、汗だくになるまで入るのは逆効果。自分の体調をみながら、少し汗ばんできたかなくらいの"ほどほど入浴"を3回程度繰り返す「分割浴」を。中までしっかり火を通し、外はカリっとさせるために二度揚げする"から揚げ"と同じことから、石井さんは「鶏のから揚げの法則」と呼んでいるそう。「分割浴」により、血の巡りがよく身体が温まった状態が長く続きます。

【ポイント4】「上がり湯」は状況によって
最後に温泉を流すか流さない問題は、自分の状況によって解決。温泉に入りすぎたな、泉質が強すぎて肌に刺激が残ってるな、と感じた時は、温泉から上がる際にシャワーで流して緩和しましょう。入浴中に肌から効能は取り入れているので効果は残ります。ちょうどいいと感じていれば、シャワーで流さなくても大丈夫。「少しお酒を飲み過ぎて翌日に残りそうだなと感じた時に水を飲むのと同じ感覚です」と石井さん。

【ポイント5】「湯上り30分」が大事
温泉から上がったあとの30分が、美肌を育て、免疫力や自律神経を整える大事な時間。しっかり水分を補給して、のんびり過ごしましょう。

日に日に寒さが増すこの季節、ますます温泉が恋しくなります。泉質や効能を知り、より効果的な入浴方法をすることで、心と体の美しさを目指しましょう!

取材協力:石井宏子さん。温泉ビューティ研究家として、温泉でキレイと健康を探求。 「温泉は地球がくれた"天然のビューティツール"」 という独自の視点で「温泉ビューティ」を唱えて活動中。また、トラベルジャーナリストとして雑誌、新聞など様々なメディアで執筆中。著書に「全国ごほうびひとり旅温泉手帖 いい湯、いい宿、旅ごはん!」(世界文化社)、「温泉ビューティ」(グリーンキャット)、「感動の温泉宿100」(文藝春秋)など多数。
オフィシャルHP

「なないろ日和!」は、様々な専門家が出演し生活に役立つ情報をお届けしています。毎週月~木曜9時26分からの放送をチェック!

(取材・文/伏見香織)

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