心配性は才能がある人の特徴だった!成功する人がポジティブシンキングではない理由

公開: 更新: テレ東プラス

主治医が見つかる診療所」(月曜夜7時58分から放送 ※12月は明日18日土曜午前11時03分放送!)は、今話題の健康法から、いざというときの医師・病院選びのコツまで、医療に関するさまざまな疑問に答える知的エンターテインメント番組です。毎回テーマに沿った健康情報を第一線で活躍中の医師たちがわかりやすく解説します。

さて、今回WEBオリジナル企画「主治医の小部屋」で取り上げるのは、極度の心配性でいつまでも仕事が手放せないという会社員の方からの相談です。同番組のレギュラー・脳神経外科医の菅原道仁医師に思考の癖や対処法などについてお聞きしました!

不安材料を"見える化"して成功体験を積み重ねよう

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Q:20代会社員です。リリース記事を担当する部署で仕事をしています。名称や内容に間違いがあると致命的なため、仕事を辞めたくなるほど不安で仕方ありません。締め切りギリギリまで何度もしつこく確認するので、上司や同僚、クライアントから半ばあきれられています。

仕事に対してだけでなく、子どもの頃も行事や旅行があると忘れ物がないか不安で眠れなくなっていました。病的な心配性を何とかしたいと思っているのですが、どう対処すればよいのか教えていただければと思います。

―― 何度も確認したくなる気持ち、わかる人も多いと思います。

「皆さんの中にもそういう悩みがある人はいますよね。うまくできるか、完璧にできるか不安になるという人にまず知ってほしいのが、心配性はすごい能力のひとつだということ。心配できるのは、『先を見通せる力』が備わっているからで、決してネガティブなことではないのです。"こんなことがあったらどうしよう..." と先読みできる予測センサーが働くのですから、すごい才能の持ち主といえます。

このように物事を見る枠組みを変えることを『リフレーミング』といい、これまで短所だと思っていたことが視点を変えることで違う側面を見つけられるようになります。

ただし、不安感を過大評価しがちなところは変えたほうがよいですね。"まぁ、いいか" と一歩踏み出すことに注力できる人をポジティブシンキングというのですが、ある程度のところで "まぁ、いいか" と切り替えて行動に移すという癖をつけるとよいと思います」。

―― 行動に移すためのきっかけはどのようにつくればいいのですか?

「即効性のある処方箋というよりは、成功体験の積み重ねが大事です。例えば問題点が思い浮かんだら、それに対してToDoリスト(やることリスト)のような形でリストアップして一つひとつチェックする。重要なのは『見える化』することで、頭の中でぐるぐると考えるだけではなく、具体的に目に見えるようにメモに書いておけば、できていることが視覚で認識できるようになります。ですから心配事は全部、できるだけ細やかにリストアップするようにしましょう。

スマートフォンのタスクリストのようなアプリを活用して、想定問答集を作っておくというのも対策としておすすめです」。

―― 相談者にはなかなか仕事を手放せない、先に進めないという「こだわり」のようなものがあるようですが、そこから解放される方法はありますか?

「ひとつ言えるのは、"意外と他人は自分を見ていない" ということでしょう(笑)。自分のパフォーマンス、自分を過大評価している人にこういう癖はあったりします。『私はもっとできるはず、もっと評価されたい、これで評価されたらどうしよう』...そういう思いがあるから心配になるのです。できていない自分が心配になってしまうわけですね。失敗した自分が許せない、深層心理はそうなのです。

だからこそ一歩踏み出す勇気が必要なのですが、それはなかなか一朝一夕では学べません。先ほど提案したように、心配事をリストアップして視覚でチェックできれば漠然とした不安が明確になりますから、それをひとつずつクリアしていくという方法がいいと思います」。

「忘れて寝る」のも重要なポイント

doctor_20211217_02.jpg画像素材:PIXTA

――「できていること」を確認するということが大事なのですね。

「目的は、ミスすることなく記事をうまく書いて、それを成功させるということですから。私たち人間はミスをするものだと認識しないといけないのですが、そのミスを許せない自分がいるわけですよね。それにどう対策するかといったら、リストアップして視覚に落とし込み、できている自分を認識するか、忘れて寝るしかありません(笑)。

この "寝る" という方法は決してネガティブなことではなく、放り出すといった意味合いでもありません。私たちは寝ている間に脳が情報を整理するので、いったん寝ることによって新たなアイデアが浮かび上がったりするのです。ワインがおいしくなるには時間が必要なように、アイデアも1回寝たほうが熟成されることが多いんですね。

ただ、考えすぎるとどこが不安なのかがわからなくなり、眠れなくなる原因になるので、それを避けるためにも不安を見える化しておくことが大切です」。

―― 先生は『成功する人は心配性』という本を出されていますが、成功者にはポジティブな人が多いのだと思っていました。

「ポジティブシンキングって皆さん礼賛していますが、問題点にフタをするのがポジティブシンキングなんですね。一方で心配性の人は問題点が見えていて、解決すべきことがわかっている。だから経営者がポジティブシンキングな企業は倒産してしまう恐れがあります。『今年赤字だったけどまぁ、いいか』となる。イケイケになる。でも一般の経営者的な発想は赤字だったらどこが問題なのか、顧客なのか、単価なのか、製品なのか、いろいろと不安を感じながら問題点を挙げ、それをひとつずつ解決して乗り越えていく。それがいわゆる名だたる経営者たちです。

繰り返しますが、大事なことは、心配性の人は問題点が見える才能の持ち主だということ。だから怖がるのです。この方は問題点が見えることによってさらなるバージョンアップ、アップデートが期待できるのですから、いわゆるいい仕事ができるということにつながると思いますよ」。

―― 菅原先生、ありがとうございました!

【参考資料(菅原道仁先生・著)】
・『成功する人は心配性』(かんき出版)

【菅原道仁医師 プロフィール】
1970年埼玉県生まれ。杏林大学を卒業後、クモ膜下出血や脳梗塞といった緊急の脳疾患を専門とし、国立国際医療センター、北原脳神経外科病院にて数多くの救急医療現場を経験。外来診療は月に延べ1500人ほどを診察する時期もあったが、一人ひとり責任をもって診察をするために2015年、東京都の八王子市内で小規模ながら大病院並みの検査機器を揃えた菅原脳神経外科クリニックを開業。「病気になる前にとりくむべき医療がある」との信条で、新しい健康管理方法である予想医学を研究・実践している。元・日本健康教育振興協会会長。

※この記事は菅原道仁医師の見解に基づいて作成したものです。

今回お話を伺った菅原先生も出演する主治医が見つかる診療所(12月18日土曜午前11時03分)は【冬を乗り切ろうSP】!

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