都会に別れを告げ、田舎暮らしをスタートさせた人、家族の移住生活に密着!:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

11月19日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは「都会にサヨナラ 移住生活に密着!」。新型コロナによって、都会生活を捨て、地方に移住する人が増えている。大きな決断の背景と、新たな移住生活から"コロナ時代"に生きるヒントを探る。

移住生活で激変! 社長と社員、家族は今...

石川県珠洲市は、金沢から車で2時間かかる"さいはて"の地。人口約1万3000人、年々住民が減り続ける過疎の町に、今年1月激震が走った。東証一部の企業で、東京・日本橋にある「アステナホールディングス」が、本社を移転するというのだ。

医薬品の原料調達から製造・販売まで手がけ、あのタイガーバームも扱う「アステナホールディングス」。年商650億円、従業員1300人のトップに立つ4代目社長・岩城慶太郎さん(44)は、旅行で訪れた珠洲を気に入り、新たなビジネスの拠点にすることを決意した。

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岩城さんは「ビジネスの取っ掛かりは課題から来る。珠洲のような過疎地は、ある意味で社会課題がたくさんあり、我々の次なるビジネスを立ち上げるのに適した場所」と話す。

「アステナホールディングス」珠洲オフィスは、元々自動車修理工場の倉庫だった。
岩城さんと共にやってきたのは、6人の社員。企画総務部長の杉浦稔彦さん(59)は、定年まで残り1年で珠洲への転勤を決めた。「アステナ」一筋35年。最後のご奉公のつもりでやってきたのだ。

杉浦さんは、埼玉に妻と2人の子どもを残し、町で一番大きなホテル「珠洲ビーチホテル」に仮住まい中。初めての転勤で単身赴任とあり、帰宅後、埼玉に住む奥さんと電話することが何よりの楽しみだ。「食事とか洗濯とか大変だなというのは1ヵ月経って感じた。本当に(妻には)感謝しています」と話す。

そんな杉浦さんは、11月~休館していた「珠洲ビーチホテル」の総支配人に抜擢された。珠洲の第三セクターが運営するこのホテルは、3年連続で赤字。岩城さんが市長直々に頼まれ、「アステナホールディングス」が運営することに。冬に大規模改修を行い、来春のリニューアルオープンを目指す。杉浦さんは「与えられているミッションをこなしていくしかない。今は楽しみになっています」と前向きだ。

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熊本出身の今井比井呂さん(26)は、東京のIT企業で働いていたが、「アステナ」が本社を珠洲に移転すると聞いて転職した。地方の課題を解決しようという岩城さんの想いに共感し、新天地に飛び込んだのだ。

岩城さんは今井さんに「オンライン診療プロジェクト」を任せることに。おじちゃんおばちゃんにiPadを配って、ポチッと押すと先生出てきますよと言っても絶対使わない、高齢者が簡単に利用できる「オンライン診療所」を作って欲しいと託す。へき地医療は多くの地方が抱える問題。今井さん、この大仕事をどうやり遂げるのか。

岩城さん本人も、珠洲で新たなビジネスに乗り出していた。珠洲市から借りた温室で"霊芝(れいし)"というキノコを育てているが、「漢方キノコを乾燥して粉砕し、健康食品の原料にしようとしている」とのこと。霊芝は日本での生産量が少なく、国産は1kg1万円以上の値がつくのだ。

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収穫した霊芝を手に、岩城さんが訪れたのは、100年以上の歴史を持つ「櫻田酒造」。日本酒で漬けた自家製梅酒に育てた霊芝を漬け、新たな商品を作り出そうとしていた。

「スイデンホテル」の町に移住希望者が殺到! やりたい仕事が見つかる

山形県庄内地方。日本有数の米どころで、移住者が増えているという。キッカケとなったのは「スイデンテラス」。山形県鶴岡市の田んぼの中に突如現れるこのホテルを設計したのは、世界的建築家・坂茂さんで、天然温泉があり、庄内の豊かな食材を存分に堪能できる。お値段は1泊2食付きで1万5000円ほど。

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このホテルを作ったのは、ベンチャー企業「ヤマガタデザイン」社長・山中大介さん(35)。東京で生まれ育った山中さんは、大学卒業後「三井不動産」に就職し、地方で大型商業施設の開発を担当。7年前、「人口減少で疲弊する地方の課題を解決したい」との理由から、縁があった庄内に移住した。

鶴岡と酒田を中心とする庄内は、約27万人の人口が毎年3000人ペースで減少。そこで山中さんは、地元企業などから資金を募り、41億円かけてホテルを建設した。大人気の宿になったものの、新型コロナウイルスの感染拡大によってピンチに。8月には、1日70件近くキャンセルが出てしまうことも。

しかし、この苦境の裏で山中さんが期待している事業があった。移住希望者と庄内の企業をマッチングする転職情報サイト「ショウナイズカン」だ。適正な給与が支払える企業を厳選して掲載し、移住者の増加につなげる。山中さんは「今までは仕事がないから地方に移住しないという人が多かったが、それは掘り起こせてないから。地方には魅力的な企業がいっぱいあるので、きちんとマッチングできれば人は動くと思う」と話す。

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1月に埼玉から移住した児玉晴哉さん(33)は、スーパー「マルエツ」で惣菜を担当していたが、「ショウナイズカン」で「惣菜の商品開発ができる人材」という求人情報を見つけ、8店舗を展開するスーパー「ト一屋」に転職。惣菜が安くておいしいと評判の店だ。

この日の開発室では、児玉さんが新商品をプレゼン。定番の人気商品「ペンネサラダ」の売り上げを伸ばすために量を増やし、黒コショウを加えて味付けも一工夫。試食した上司は、「ある程度のスキルを持った人が入社してくれるのは本当にありがたい」と話す。

鉄骨の製造から施工までを行う「成澤鉄工所」も、「ショウナイズカン」に期待を寄せる企業のひとつだ。思うような人材が確保できず悩んでいた専務の成澤拓さんは、「ショウナイズカン」で建設現場に詳しい人を募集。すると、大学の工学部を出て、二級建築士の資格を持つ転職希望者が現れた。面接の日に現れたのは、山形県鶴岡市出身で栃木県の建設会社に勤務する村上勇樹さん(28)。果たして、採用となるのか。

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