タレントやアスリート、医療従事者の”生理あるある”、タンポンハラスメントって何?

公開: 更新: テレ東プラス

2020年8月、月曜深夜2時に放送され、Twitterではトレンド入り。有料配信イベントも開催された「生理CAMP」が待望の書籍化。「生理CAMPみんなで聞く・知る・語る!」(集英社)が発売され、話題となっている。番組を受けた「テレ東プラス」の記事も、2020年度第1位に輝く大ヒットを記録。書籍では、タレントやアスリートら著名人が自身の生理にまつわるエピソードを赤裸々に告白。さらに、LGBTQ+、シングルファザー、海外在住者、医療従事者など、それぞれの体験や悩み、本音を読みやすい漫画形式で紹介。一家に一冊、辞典代わりに置くことで、小学生から大人まで、幅広い層が生理についての理解を深めることができる。

「テレ東プラス」は、番組を立ち上げ、書籍の監修を担当した工藤里紗プロデューサー(テレビ東京)を取材した。

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タンポンをすればロケで温泉に入れるんじゃない?

――生理について様々な視点で書かれている「生理CAMP」。番組同様、斬新な切り口、軽快な漫画のタッチがとても面白かったです。工藤さんの中で、書籍化はどのタイミングで考えていたのでしょう。

「番組放送後、思いのほか反響が大きかったんです。ただ、深夜の30分番組でしたし、時間も全然足りなくて、私としては"伝えきれなかった"という思いがありました。テレビとは違う方法で、みんなで何かを作れたらいいなと考えていた中、ありがたいことに集英社さんから『書籍化したい』というお話しをいただいたので、ぜひ!と (笑)。集英社では、"体・心・性"をテーマにしたウェブメディア『yoi』を立ち上げていらっしゃいますし、ネットや書籍ではわりとこのような動きが見られますが、地上波のテレビに関して言うと、まだ、なかなか追いついていないところがあります。書籍化のお話をいただいて、確実に世の中は動いているなと感じました」

――他局の深夜でも、生理や体をテーマにした番組が放送されていましたが、たしかに生理だけをフィーチャーした番組は他に例を見ないかもしれません。やっと時代が追いついてきた...そんな実感はありますか?

「そうですね。SNS、YouTubeでは昔からコンテンツがたくさんあって、本や雑誌でも特集していたりするので、実は生理の話題は珍しいというものではなかったんです。ただ、地上波のテレビで取り上げることの影響は思いのほか大きかったですし、大々的にやることにこそ意味があると思いました。"たまたま深夜2時にテレビをつけていたら『生理CAMP』をやっていて、ものすごくためになった"と言われましたし、わざわざ生理に関する情報を探している人ではなく、ふらっと立ち寄ってくれた視聴者の皆さんにリーチすることができた...そこにこそ大きな意味があると思っています」

seiricamps_20211112_02.jpg▲左から、SHELLY黒沢かずこ(森三中)、バービー、書籍内「教えてドクター!生理のソボクな疑問や言いにくい悩み」の回答者・稲葉可奈子(産婦人科医)

――書籍では、番組にも出演したバービーさん、黒沢かずこ(森三中)さん、りゅうちぇるさん(※書籍ではぺこさんと夫妻で登場)、配信イベントでMCを担当したSHELLYさんほか、厚切りジェイソンさん、鈴木明子さん(フィギュアスケート)、川澄奈穂美さん(サッカー)も、ご自身のリアルなエピソードを告白しています。皆さんそれぞれの立場でのご苦労が伺えますが、工藤さんが一番衝撃的だったエピソードは?

「どれも印象に残っていますが、私の中の常識を覆されたという視点で言わせていただくと、やはり黒沢さんですね。『タンポンをすればロケで温泉にも入れるんじゃない?』『タンポンが絶対おすすめだよ』と言われるタンポンハラスメント。黒沢さんの"全員がタンポンを簡単につけられるわけではありませんから、タンポンは私にとっては辛いものですね"というコメントが、ドシンと自分に降りかかりました。黒沢さんの体験やインタビューはすごくリアルで、実はメディアや雑誌ではなかなか拾ってもらいにくい声だと思っています。

性的な経験や出産経験、自分の身体に対する親近感の有無、子どもの頃から自分の体にオープンでいたかどうか...その価値観は人によって全く違いますよね。そういった価値観を考慮せず、良かれと思っておすすめしたことでも圧に感じることがあるんだなと。みんな頭では分かっていても、どこか忘れがちだと思います。黒沢さんのコメントによって、タンポンを勧められることに圧を感じる人が一定層いることがわかり、『そうだよね。生理は千差万別で、色んな人がいるんだよね』と気づかされました」

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