【この記事の3行まとめ】
・声優の阿部敦と井口裕香が「消したい過去」をテーマにした朗読劇を。
・男は彼女と冬山で遭難。助けを求めに一人で下山している間に、彼女は帰らぬ人に。
・その後男は結婚し、自宅が火事に。逃げようとすると何者かに足を掴まれ......?
あなたには、消したい過去があるだろうか。人間は、誰もが失敗を犯し、後悔をする生き物。だから、過去の失敗にとらわれて、いつまでも苦しみ続ける必要などないのだ。いつまでも辛気臭い顔をしていると、ほら、また不幸が寄ってきた......
"Mr.都市伝説" 関暁夫がMCを務めるストーリーテリングバラエティ「Mr.都市伝説 関暁夫のゾクッとする怪感話」(毎週金曜深夜0時放送/BSテレ東)。巷でささやかれる都市伝説、人智を超えた超常現象、人間の悪意と狂気......様々なゾクッとする話を人気声優の朗読劇でお届け。
10月29日(金)の放送では、前回に引き続きアニメ「とある魔術の禁書目録」で共演していた阿部敦(上条当麻役)と、井口裕香(インデックス役)が登場。養成所時代、様々なアルバイトをしたという阿部。井口も学生時代アルバイトをしていたそうで、その帰り道に改造自転車に乗った人から「乗ってく?」と声を掛けられ断った話を披露すると、関は大爆笑だった。
怪感話#44
「一緒に連れてって」
休日の夜、男(阿部)は妻(井口)と映画を観ていた。負傷したヒロインが、私のことはいいから早く逃げてと主人公に叫んでいる。
「もしも本当にこういう状況になったら、どうする?」
妻の言葉に、男は「助ける」と答えた。だが、男には置き去りにした経験があった。
妻と出会う前、男は彼女(井口2役)と冬山で遭難したことがある。天気が急変し、方向感覚を失ったのだ。極度の低温で携帯も使えず、彼女はついに動けなくなってしまう。
このまま待っていても、吹雪が止まない限り発見してもらえない。男は動けるうちに、助けを呼びに行くことに。
「一人にしないで! 一緒に連れてって!!」
不安そうに見つめる彼女。だが、彼女を背負って山を降りる体力はない。何とか麓に着き、捜索隊が彼女を発見した頃には、彼女は帰らぬ人となっていた。
この事件を妻に話したことはないが、罪の意識からか、今も夢に彼女が出てくることがある。この日も、彼女の夢を見て目を覚ました。すると、吹雪のように目の前が白く霞んでいる。焦げ臭い匂いが漂い、炎が......
「火事だ!」
昨晩、男は妻が外泊したのをいいことに寝タバコをした。その不始末が原因だ。ベッドから逃げ出そうとすると、女の手が足を掴む。
「一人にしないで......一緒に連れていって......」
死んだ彼女が最後に言った言葉が聞こえる。男は、やはり彼女は自分を許していなかったのだと感じた。
「連れてって......」
ここで死ぬことが贖罪になるなら......煙を吸ってぼんやりした意識の中、そう思ったが、不意に妻と息子の姿が頭に浮かぶ。
「もう僕は、あの時の僕じゃない。一人だけの命じゃないんだ! お願いだ、助けてくれ!」
手の力が緩んだ隙に、男は手を引きはがした。なんとか家から脱出すると、消防車のサイレンが。助かった......安堵した男は意識が急に遠のいていった。
病院で目を覚ました男は、近くにいた看護師に尋ねる。
「妻は、どこですか」
すると看護師の顔が引きつる。その顔を見て、男は昨晩のことを思い出した。
あの時、男が引きはがした手は......!?
関、阿部、井口によるスタジオトークでは、子供の頃の話に。野生児で走ることが大好きだったという井口は、陸上部に所属。走り幅跳びで記録を出したこともあるそう。関に「井口さん跳ぶんですね」と言われ、思わず「とびますとびます」と、懐かしのフレーズが飛び出す一幕もあった。
次回11月5日(金)の放送は、以前放送し大好評だった、寺島惇太とファイルーズあいによる番組史上初のコメディタッチの怪感話をお届け。二人の掛け合いは必見!