ディズニーランド ウィズコロナ見据えた1人当たりの客単価を上げる新戦略<WBS>

公開: 更新: テレ東プラス

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「ハロウィーンモーニング・パスポート」では通常ではできない園内でのコスプレも可能となる。

東京などの飲食店に出されていた時短営業の要請が25日、解除されました。11月からはイベントの人数制限が緩和されます。経済再開の動きが本格化する中、東京ディズニーランドなどを運営するオリエンタルランドはウィズコロナ時代を見据えた新たな戦略を打ち出しました。いったいどんな戦略なのでしょうか。

JR神田駅の駅前。午後6時半ごろ、駅に向かう人も多い一方、飲食店街のあるエリアに向かう人の姿も見られます。1都3県と大阪府が25日、飲食店に要請していた時短営業解除。東京の全域での解除は約11ヵ月ぶりです。東京都では新型コロナ対策の認証を受けた店で午後8時以降の酒提供が可能に。またワクチン接種を証明すれば、5人以上で1つのテーブルに座ることも認められます。

東京・千代田区にある居酒屋「神田っ子」では制限下では客の回転が落ち、採算が取れなかったといいます。同店の長谷川店長は「金曜日は間違いなく"2回転"するんじゃないか。少しは盛り返すことができるかな。料理だけ提供していても原価率は半分以上。アルコールを提供できないと、利益はほとんどない」と話します。店では、取り分けやすい料理を増やすなど、感染対策をしながら、客数や売り上げを回復させていく狙いです。

しかし、気になるデータもあります。東京商工リサーチの企業へのアンケート調査では、企業の70.4%が忘年会、新年会を開催しないと回答。宴会を控える企業はまだ多いようです。

この数字に長谷川店長は「びっくりしました。会社の組織として『忘年会などをやろう』というのは、徐々になくなる傾向にあるかもしれません。コロナ前に戻るとは全く思っていません。コロナ前の8割ぐらいを目指して営業していきたい」と話します。

一方、JR新大阪駅。新幹線を待っているのは、ビールを詰め込んだんワゴンです。JR東海は、東海道新幹線車内でのお酒の販売を1月21日から休止していましたが、約9ヵ月ぶりに再開しました。販売員は「『弁当と一緒にアルコールを飲みたかった』というお客様の声はかなり頂戴していた。その要望にお応えできるようになりうれしい」と語ります。

特別チケットで一般客の2時間前に入園可能に

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一般客よりも2時間前に入れるため、園内は空いている。

さらに来週緩和されるのが、イベントに関する制限です。現在は入場できる人数が最大1万人までとされていますが、数万人規模の会場では収容定員の50%以内に引き上げられます。これまで、その基準をもとに、入場人数を制限してきたテーマパークなども対応を急いでいます。大阪のユニバーサルスタジオジャパンや埼玉の西武園ゆうえんちなどは来月から入場者数の上限を引き上げる検討を始めました。

一足先に25日から段階的に、入場者数を1万人以上に引き上げることにしたのが東京ディズニーリゾートです。25日から始まったのがハロウィーン特別プログラム。しかし、園内の建物にはハロウィーンの装飾はありません。コロナ前のイベントでは、園内のいたるところがハロウィーン仕様でしたが、今年はかなり控えめです。

また園内にはディズニーの人気キャラクターの仮装をする人たちが大勢いました。実はディズニーランドでは通常、大人が仮装することは認められていません。今回は、ある特別なチケットを持っていれば、大人でも仮装を楽しむことができます。

それは通常より4000円以上高い、1万3000円の「ハロウィーンモーニング・パスポート」(現在は完売)。このチケットを持っている人は、一般客より2時間早い、午前8時から入園可能。この時間限定の特別パレードも鑑賞可能です。一般客が入る午前10時までは園内はがらがら。人気アトラクションのビッグサンダーマウンテンの待ち時間も20分ほどです。

オリエンタルランドは新型コロナが収束しても、感染対策上、コロナ前ほど人数を入れることは難しいとみています。入園者数を追い求めるのではなく、今回のチケットのような形で特別な体験を提供することで、1人当たりの客単価を上げる戦略に舵を切ろうとしています。

「客単価においては、コロナ禍でも非常に順調ではあるが、引き続き新しい体験価値の提供で、向上を図りたい。と考えております」(オリエンタルランド マーケティング開発部の福崎昌廣さん)

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