コロナでも”すし人気” 二極化が進む中で新店舗が狙う「空白地帯」とは?

公開: 更新: テレ東プラス

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「廻転鮨 銀座おのでら本店」のすし

ぐるなびが今年の上半期にどんな外食を利用したかアンケート調査をした結果、そばやうどん、ラーメンといった麺類やファストフード、ファミリーレストランなど手軽に食べられる飲食店が上位を占めました。そんな中1位に輝いたのがすしでした。コロナ下でも人気のすし業界で、今ある「空白地帯」を狙った新たな店舗が続々オープンしています。

千葉県浦安市にオープンした居酒屋「スシとツマミ シチフク」。緊急事態宣言が明け、大勢の客で賑わっています。同店では手品のようにすしを登場させる「びっくりサーモン親子寿司」、いくらや山芋がどっさりと乗った「シチフク寿司」などを提供し、客単価は約3000円です。

なぜこのようなすし居酒屋を作ったのか。「エー・ピーホールディングス」魚事業本部の横澤将司さんは「回転ずしと高級ずしの二極化が進む中で、使い勝手の良いすし店がすごく減っている。団体、宴会、サラリーマンはだいぶ少なくなってきてる中で、より多くの人が楽しめるのではないか」と、アフターコロナも見据え、高価格でも低価格でもないすし業界の「空白地帯」を狙ったと語ります。

他にも、このすし業界の空白地帯を狙おうとする店があります。東京・表参道に10月8日にオープンした「廻転鮨 銀座おのでら本店」です。「おのでら」は銀座に総本店を構える高級すし店。ニューヨークなど世界で9つの店舗を構え、その内3店舗がミシュランガイドの星を獲得している名店です。そんな高級店がなぜ回転ずしなのでしょうか。

「ONODERAフードサービス」長尾真司社長は「高級店ですと、コースでの提供が一般的になりますが、これを1皿1貫から食べられるのは非常に魅力的ではないか」と話します。

総本店の客単価は約3万円ですが、回転ずしは約5000円。総本店で築いた仲卸との関係を生かし、品質が良い魚を安く仕入れることができるのです。回転ずしだけではなく、立ち食いずし「立喰鮨 銀座おのでら本店」も併設し、高級店の味をさらに気軽に楽しめます。客からも「高級店は予約しなければいけない。たまたま立ち寄ることができないので、入りやすくていい」と好評です。

さらに会社全体の人材育成にも繋がっています。

「おのでら」では2017年に、すし職人を育成する「GINZA ONODERA 鮨アカデミー」を開校。これまでに約100人を育成しましたが、すぐに高級店で活躍できるとは限りませんでした。そこで、こうした新業態の店で腕を磨いてもらうというのです。

「育成イコール=事業展開といったところが、一番の目的です。(新業態の)2号店、3号店の店長をこの店から出していきたいという狙いがあります」(長尾社長)


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