<アンケート>「気圧の変化による頭痛」半数以上が悩んでいた!専門家が対処法を伝授

公開: 更新: テレ東プラス

yahoo_20211016_01.jpg画像素材:PIXTA

天気の悪化とともに頭が重くなり、こめかみもキリキリと痛む。そんな経験はありませんか。原因の一つと言われるのが気圧の変化。低気圧が繰り返し襲ってくる梅雨時や、短期間に大きな気圧の変化が起こる台風シーズンなどの到来に、多くの人がため息を漏らしています。そもそもなぜ気圧の変化が頭痛と関係するのか、コントロールができない天気とどう上手に付き合っていけばよいのか。「気圧の変化による頭痛」についてアンケートを行い、実態を調査。結果を踏まえ、専門医に話をうかがいました。

過半数が悩んでいる

Yahoo!ニュースの協力を得て、全国の10〜60代以上の男女2000人にアンケートを実施(2021年9月)。「気圧の変化で頭痛が起きることがある」と答えたのは53.3%と過半数を占めました。頭痛の頻度は、「2週間に1回程度」が最も多く31.6%、「週1日以上」が22.6%、「週2日以上」が14.2%という結果に。
「事前に頭痛になることがわかるときはありますか?」との設問には、41.6%の方が「はい」と回答し、事前の予防法として「たくさん睡眠をとる」「カフェインをとる」などが挙げられました。

また、「年々悪化している」と回答したのは40.7%で「年々軽減している」18.6%を大きく上回る結果に。「頭痛が妨げになり、日常生活に影響している」と答えた方は56.2%で、多くの人が悩みを抱えています。

Yahoo_kiatsu_10_1.jpg
一方で、「改善のため病院へ行ったか」との質問には63.6%が「ない」と回答。アンケートのその他(自由記述)には「頭痛だけのために行かない」「病気ではないと諦めている」などの意見が並び、気圧の変化による頭痛を"病気以下"の扱いと捉える人も多く見受けられました。

Yahoo_kiatsu_12.jpg
では、多くの人は頭痛にどう対応しているのでしょうか。「薬を飲む」が最も多く、57.6%。「寝る」が48.8%、「我慢する」が36.0%と続き、なかには「体質なので諦めている」16.6%という悲痛な声も......。その他(自由記述)では「水分を取る」「マッサージに行く」「湿布を貼る」など独自の対策をする人もみられるなかで「予防策はない」と諦めの答えがずらりと並んだのも印象的でした。

Yahoo_kiatsu_03.jpg

対処法や予防策は? 専門家に聞く

yahoo_20211016_05.jpg画像素材:PIXTA

多くの人にとって、まだまだ謎が多い気圧と頭痛の関係。アンケートの結果を基に、天候と不調の関係に詳しい「せたがや内科・神経内科クリニック」久手堅(くでけん)司院長を取材。対処法や予防策について伺いました。

Q.気圧の変化による頭痛はどうして発症するのでしょうか?

「気圧というのは、地球の表面を覆っている空気の圧力のことで、この『大気圧』が私たちの体に負担を与えています。普段、私たちは体内から同じ圧力で大気圧を押し返していますが、急激に大気圧が変わると、耳の奥にある『内耳』が、外圧と内圧のズレを調整しにくくなります。そこで頭痛をはじめ、めまいや吐き気、倦怠感や関節痛などが起こるのです。飛行機で離陸した後に耳が痛くなる場合がありますよね、それがまさに気圧と体の関係です。こうした症状は、気象病(天気病)と呼ばれていますが、正式な病名ではないので、認識されていない場合が多いです。

ちなみに、気圧が変化したときだけ頭痛が起きる人は少ないです。元々頭痛持ちの人が天気の悪いときにひどくなる、つまり気圧の変化で痛みがブーストされるケースが多いですね」

Q.アンケートでは4割の方が「頭痛が年々悪化している」と回答しています。年を重ねると頭痛がひどくなるのでしょうか?

「理由はまだわかっていませんが、加齢による頭痛の割合は減っていく傾向にあります。すでに10代から頭痛持ちの人も数多く、当院の場合は、30〜40代の方がもっとも多く受診しています。むしろ加齢よりは、血縁関係にある家族に同一の症状がみられることが多いです。小学生の子が『天気が悪いと頭が痛くなる』と外来に来ると、付き添いのお母さんも頭痛持ちだったというケースもしばしばです」

Q.頭痛の対処法として6割近い方が「薬を飲む」と答えました。頭痛薬は用量さえ守れば、頻繁に飲んでも問題ないのでしょうか?

「月に10回を超えて鎮痛薬を服用している場合は注意が必要です。頭痛が出て薬を飲む、の繰り返しだと、そのうちに効果がなくなっていき、鎮痛薬の多用となる場合があります。同様の理由から『気圧が下がりそうだから』『頭痛の予感がするから』と、予防策として服用するのも控えた方がいいでしょう」

Q.では、どのような対処が望ましいでしょうか? 予防法や改善方法を教えてください。

「気圧の変化による頭痛なら、耳のマッサージがお勧めです。例えば、耳を引っ張って離す、前後に回す、斜めに押すなど。耳を痛めないように、優しくゆっくりと行ってください。耳のツボを押すのも効果的です。なんとなく触ってみて気持ちのいいところを探し、じんわり押さえてあげるだけでも、症状の予防や改善が期待できます。

最近はスマートフォンの見過ぎで猫背ぎみの人が多いので、歯の食いしばりが起きやすく、頭痛の悪化原因になっています。あご回りをもんだり引っ張ったりするだけでも、だいぶ症状が和らぐはず。ラジオ体操やヨガ、ストレッチも有効です。自律神経のバランスを整えるのも重要。生活のリズムを整えて十分な睡眠を取る、適度に運動をする、深酒を控えるなどにより症状の予防や改善につながります。

それでもつらいときは、脳神経内科や脳神経外科、もしくは頭痛の専門外来を受診してください。頭痛以上にめまいがひどい方は耳鼻科、首や肩の凝りがひどい方は整形外科に相談してください」

Q.「湯船に浸かる」という回答もありました。この対処法は正しいのでしょうか?

「頭痛のタイプによります。首肩のこりが原因なら改善策として十分ですが、血流が増えることで発生する片頭痛だった場合、痛みが悪化する可能性があります。自分の頭痛がどちらのタイプか見極めて、それに合った対処法を行うことが望ましいですね」

Q.頭痛を予防できる食材、サプリメントなどがあれば教えてください。

「片頭痛の場合は、カフェインも有用といわれます。カフェインの入っているアイスコーヒーは、冷やすことで拡張した頭の血管を整えるため、頭痛の際に飲むのは理にかなっていると言えます」

Q.今後、気象病はどうなっていくのでしょうか?

「地球温暖化の影響もあり、台風やゲリラ豪雨などの異常気象は、今後どんどん起こりやすくなると考えられます。それに比例し、気象病もより多くの人の悩みのタネになっていくと考えられます。さらに、コロナ禍での精神的なストレスやIT技術の発達による目の酷使なども頭痛に直結するので、その後、気象病が起こる可能性があります。

これから先、気象病が減っていく材料はあまりないと言っていいかもしれません。いま頭痛がない方も他人事と思わず、規則正しい生活を送るなどし、気をつけていただければと思います」

※この記事は「テレ東プラス」と「Yahoo!ニュース」による共同企画で、Yahoo!ニュースが実施したアンケートの結果を活用しています。アンケートは全国のYahoo! JAPANユーザー(10代~60代以上)を対象に行い、2000人から有効回答を得ました。

yahoo_20211016_06.jpg【久手堅司(くでけん つかさ) プロフィール】
せたがや内科・神経内科クリニック院長。医学博士。日本内科学会・総合内科専門医、日本神経学会・神経内科専門医、日本頭痛学会・頭痛専門医、日本脳卒中学会・脳卒中専門医。
1996年北九州大学法学部法律学科卒業、2003年東邦大学医学部医学科卒業。東邦大学附属医療センター大森病院等での臨床経験を経て、2013年せたがや内科・神経内科クリニック開業。
「自律神経失調症外来」「頭痛外来」「肩こり・首こり外来」など複数の特殊外来を立ち上げ、中でも天候と不調の関係にフォーカスを当てた「気象病・天気病外来」「寒暖差疲労外来」は、テレビ・新聞・雑誌・ウェブなど各種メディアで話題を呼んでいる。著書に「最高のパフォーマンスを引き出す自律神経の整え方」クロスメディア・パブリッシング、監修本に「面白いほどわかる自律神経の新常識」(宝島社)がある。

(取材・文/森田浩明)

PICK UP