島に”元組長の親分”と”ウエディングドレス姿の女性”が現れた!「東京放置食堂」をプレイバック!

公開: 更新: テレ東プラス

・「東京放置食堂」第3、4話をプレイバック!
・人を裁くことに疲れた元裁判官の日出子は、大島で居酒屋を手伝うことに。
・日出子は店で、自分が裁いた元ヤクザの親分やウエディングドレス姿の女性と交流し、彼らの心を癒していく。

「島が好き。青い空、海、時間がゆっくり流れていく所...日々の喧騒を忘れられる。ドラマを観ていたら、久しぶりに島へ行きたくなりました」「いま人々が求めているのは、正体や本名は聞かないけど、本当のことを打ち明けたりする場所なのでは? と思ってしまう。その場所は食堂でもスナックでもTwitterでもいいんだろうな、きっと...」など、SNSでも話題。毎週水曜深夜1時から好評放送中の水ドラ25「東京放置食堂」。

「テレ東プラス」では、第3話、第4話をプレイバックする!※第1、2話のあらすじはコチラ

都心から120キロ南にある、もうひとつの東京「大島」。主人公は元裁判官で53歳の真野日出子(片桐はいり)で、島で生まれ育った小宮山渚(工藤綾乃)と出会い、小さな居酒屋『風待屋』を手伝っていた。風待屋は、渚が祖父から受け継いだ店。大島にはコンビニもファミレスもショッピングモールもなく、あるのは火山、海、ゆっくりと流れる時間。これはそんな大島の片隅にある、小さな居酒屋の物語だ。

【第3話】

半年前、渚に連れられて風待屋にやってきた日出子。財布を出そうとポケットや鞄を探るが、なぜか見つからない。どうやら裏砂漠で落としてしまったようだ。渚は「お代はいいよ。もう夜になるし、見つかるわけない」と言うが、日出子は働いて返すことを申し出、積極的に皿洗いをする。渚はそんな日出子に「ここにいれば?」と呟く。

「ここは風待ちの港。好きなだけ休んで、風が吹いたらまた出て行けばいい」

こうして日出子は風待屋を手伝うことになったのだ。

ある日、砂の浜(さのはま)で日出子がボーッとしていると、少年・太郎(柳下晃河)が走ってきて「おばさん、悪い奴いっぱい牢屋に入れたんでしょ。恨まれてない?」と言う。「夜道に気をつけて」と言って去って行き、急に不安になる日出子。

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朝になり、港にジェット船が到着する。降りてきたのは、ボストンバッグを持った強面の男・山中正平(竹中直人)。「あのやろう、こんなところに住んでるのか」と呟き、南波(与座よしあき)のタクシーの窓を乱暴にノックすると、温泉に向かうよう指示する。只者ではない正平の様子に、南波はビクつきながら運転するのだった。

温泉にやって来た2人。正平の背中には大きな入墨が入っており、「15年分の垢が取れたよ」との発言に、戦慄する南波。この島に来た理由を尋ねると、正平は鋭い眼光で「ケジメをつけに来たんだよ、あの女に」と答える。

その頃、日出子は、西浦(梅垣義明)がいる店に魚の仕入れに来ていた。選んだのは、夏が旬のタカベ。値切ろうとするが、応じない西浦。「いいよ。その代わり、今日からウチの飲み物も3割値上げします」という日出子の言葉に、西浦はしぶしぶ値下げし、「あんたいつか刺されるよ、こんなことばっかりしてると」と告げる。

日出子が風待屋へ向かっていると、後ろに人の気配が...。振り返ると、サングラスに帽子をかぶった正平が立っていた。ゆっくりと日出子に向かってくる正平と、立ちすくむ日出子。追いかけてきた南波が正平を止めるも、「邪魔すんじゃねぇ!」と強引に振り払われる。

しかし次の瞬間、正平は帽子とサングラスを外し、「戻ってまいりました」と日出子に深々とお辞儀。日出子も「お勤めご苦労様でした」とお辞儀を返すのだった。

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風待屋のカウンターに座る正平と南波。正平は元ヤクザの親分で、刑務所に入っているうちに組が潰れてしまったという。それを聞いた北野(松川尚瑠輝)と西浦(梅垣義明)は驚愕。刑務所に入っていた理由を聞くと「ちょっと揉めてな」と話す正平だが、日出子は「住居侵入、器物損壊、傷害、恐喝、銃刀法違反。ちょっとなんてもんじゃないでしょ」と苦笑いする。

「もしかして、その時の裁判官が...」

「日出子姐さんだ」

「何が姐さんよ。法廷で暴れるわ、証人恫喝するわ、メチャクチャだったくせに」

「...あの時は、本当にすまなかった」

そう詫びると、ボストンバッグから大量の手紙を取り出す。それは正平が刑務所にいる間、日出子が書いた手紙で、『自分の罪と向き合って、それから外で何をするべきか考えて』『ちゃんとご飯を食べて、米一粒、汗一粒残しちゃダメ』『あなたはきっと変われるはず』などと書かれていた。

「俺みたいなハンパ者を、姐さんは人間扱いしてくれたんだよ。俺もちゃんと堅気になって、もう一度人生やり直そうと思った。ここに来たのは手紙の礼を言うためだよ」

「そんなの書いたっけ? 全然覚えてない」

とぼける日出子だが、出所祝いに焼酎をご馳走すると、正平は喉を鳴らして15年ぶりの酒を味わい、「ぶちうめぇよ」と大きく息をつく。

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和やかな雰囲気になり、正平が美味しそうに料理を食べる。日出子が今後について尋ねると、正平は「堅気の仕事に就く。大道芸人」と言い、ボストンバッグから細長い風船を取り出した。北野に何を作って欲しいか聞くが、レパートリーが少ないのか、プードルをリクエストするよう圧をかける。出来上がった風船は、とてもプードルには見えなかった。その後も次々風船を作るが、どれも完成度が低い。しかし北野はひたすらヨイショし、正平もそれに気を良くする。

「親分、これはもう風船じゃないです。男の魂です!」

「分かってるな、兄ちゃん! この風船はよ、俺だよ。風に吹かれてフワフワ彷徨って、最後は呆気なく割れちまう。俺の人生そのものだよ...」

格好良く語っていた正平だが、店の中にあの煙が漂い始めると、「くせぇよババァ!」と日出子を怒鳴りつける。日出子がくさやを焼き始めたのだ。くさやが焼き上がるとさらに怒鳴り散らす正平だが、日出子は動じず、「変わってないね、親分さん」とまっすぐ睨む。

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「堅気になるとか立派なこと言ってるけど、全然15年前と変わってない」

「ああ!?」

「弱い人間脅して調子に乗って。今のが大道芸!? バカにすんじゃないよ。シャバはそんなに甘くないよ!」

日出子の説教に、泣きながら崩れ落ちる正平。日出子はくさやを置き直すと、

「くさい物に蓋をする世の中でしぶとく生き残ってる。あんたにそっくりでしょ」

と温かい言葉をかける。「くさい」と文句を言いつつ食べ進める正平に、「慣れてるでしょ?くさい飯は」と皮肉を言う日出子。北野から「なんで大道芸なんですか?」と聞かれた正平は「子どもの頃、母親と観に行った大道芸で、風船で剣を作ってもらったことが忘れられない」としみじみ答える。

閉店時間になり、客は酔い潰れた正平だけに。「うるさいから奥に放り込んどこう」と、日出子は奥の貯氷庫で正平を寝かせる。「母ちゃん...」と呟きながら眠る正平だった。

翌朝、二日酔いで起きた正平を、日出子は砂の浜(さのはま)へ連れ出す。

「なんだ、この黒い砂浜は」

「あんたの人生みたいでしょ」

「嫌なこと言うなぁ」

すると太郎が駆け寄ってきて、ワクワクしながら「おじさん、芸人なの?」と聞く。戸惑う正平だが、日出子は「これから凄いの見せてくれるよ。ね? 子どもは正直だよ」と焚き付ける。観念して風船を取り出した正平は、次々と風船を作るが、完成度の低さにしらける太郎。それでも正平はめげずに、なんとか不格好な剣を作る。「ごめんな、ヘタクソで」とそれを渡すと、「もらってもいい?」と太郎の目が輝く。風船の剣で無邪気に遊ぶ太郎と正平を、日出子と渚は眩しそうに見つめるのだった。

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船が出る時間になり、港にやって来た日出子と正平。「仕事なかったら戻っておいで。居候で雇ってあげる」という日出子に、正平は「あんな豚箱みてぇな所で寝られるかよ」と笑う。

「姐さんはなんでこんな辺鄙な島にいるんだよ」

「くさやに出会っちゃったから。私にもくさい飯が必要なの。元気でね」

「姐さんもな」

正平は本土へ帰って行った。

桟橋で釣りをする渚の近くで、六法全書を読んでいる日出子。渚が「たまには仕込み手伝ってよ」と言うと、「生きてる魚は怖くて触れない」と返す。「ヤクザは平気なのに...」と呆れる渚。すると、桟橋の一角で太郎が剣のオモチャを振り回して遊んでいるのが目に入る。

「割れちゃったのかな? 風船の剣」

「うん。でもいつか思い出すよ。変なおじさんと遊んだこと」

日出子は太郎を見ながら微笑むのだった。

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