“お菓子のホームラン王”再び! 「新ナボナ」で復活に挑む亀屋万年堂<WBS>

公開: 更新: テレ東プラス

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シャトレーゼと共同開発された新ナボナ。普段から食べられるお菓子を目指した。

元プロ野球選手、王貞治さんのCMでおなじみの亀屋万年堂のナボナ。1963年に発売され、"お菓子のホームラン王"として親しまれてきましたが、亀屋万年堂は今年1月、洋菓子大手のシャトレーゼに買収されました。先月、これまでと趣を変えた新しいナボナが発売されました。一体どんな商品なのか。その舞台裏を取材しました。

30年ぶりとなるCMで王さんが絶賛した新ナボナ。亀屋万年堂がシャトレーゼと共同開発しました。亀屋万年堂は1938年創業の老舗和菓子店ですが、和菓子離れや客の高齢化で売り上げが年々減少。そこにコロナ禍が追い打ちをかけて行き詰まり、シャトレーゼホールディングスの傘下で再建を目指すことになりました。

看板商品ナボナの企画開発を10年以上を任されてきた亀屋万年堂マーケティング部の岡田修明部長は「亀屋万年堂というブランドや伝統から脱却できなかった。自分のふがいなさを感じました」と話します。

9月中旬、亀屋万年堂の横浜工場。新ナボナ発売3日前のこの日、工場を訪ねてきたのは、シャトレーゼ商品開発部の保坂充俊部長。新ナボナ量産に向けた製造ラインの最終確認にきました。半年かけて完成させた新ナボナに使うのがあんこ。ナボナに使うのは初めてで、保坂部長によれば「粒あんは、ナボナの皮と全体的な柔らかさに合うように豆の柔らかさにこだわりました」といいます。

あんこは山梨県にあるシャトレーゼの工場で作っています。北海道産の小豆を天然水で素早く炊き上げ、うま味を凝縮させました。そのあんこに合わせるのが、北海道産バターに沖縄の塩を加えたバタークリームです。さらに、あんことバターを包むブッセの製法も一から見直し、焼き時間を変えることでふっくらとした生地になりました。これまで贈答用に買っていく人が多かったナボナを、普段から食べてもらう商品にするのが新ナボナの開発の狙いです。新ナボナは素材にこだわっても値段は据え置きの162円です。

その日の午後、出来上がったばかりの新ナボナを10月1日に亀屋万年堂の社長に就任する広瀬好文氏が最終チェックします。シャトレーゼから出向してきた広瀬社長は、これまでグループの製造部門を統括してきた人物です。

広瀬社長からOKが出て、岡田さんもひと安心。その一方で「(亀屋万年堂は)変わらなきゃいけないので。変わるためには我々が愛してるものというものを変えて、より多くのお客様に喜んでもらう」と新ナボナに複雑な思いもあります。

一方、広瀬社長が新商品の開発とともに、再建の課題に挙げるのが製造部門の改革です。

「回ってないラインがいくつかありましたので、何か新しい商品を入れて、ライン稼働を充実させていきたい」(広瀬社長)

効率化の動きは既に始まっていました。亀屋万年堂の従業員が横浜工場で作っているのは、シャトレーゼのデコレーションケーキです。工場の稼働率を上げるため、シャトレーゼの商品も製造することにしました。シャトレーゼにとっても、山梨の工場で製造しているケーキを横浜で作れば、より鮮度の良い状態で首都圏で販売できるようになるメリットがあります。

発売から2週間。新ナボナは、全店で5万個以上を売り上げ、順調なスタートを切りました。シャトレーゼホールディングスの齊藤寛会長は「ナボナはシャトレーゼのルートを通じて、全国展開していく。亀屋万年堂というブランドを各地で展開していく」と話します。

亀屋万年堂では、シャトレーゼが得意とするシュークリームを抹茶や小豆を使って和風にするなど、これまでチャレンジしてこなかった生菓子やチルドの新商品も共同で開発していくといいます。

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