カップヌードルにビール...復刻商品 続々発売のワケ<WBS>

公開: 更新: テレ東プラス

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いま、復刻商品が続々と発売されている。

今、過去に売られていたものが、復刻商品として再び発売されるケースが増えています。その理由を直撃リサーチしました。

横浜市にある新横浜ラーメン博物館。ラーメンの歴史と名店の味を楽しめる施設ですが、その中に駄菓子を売る「夕焼け商店」があります。売れ筋は初代の復刻版のベビースターラーメンです。この店では1973年の初代パッケージと現行のパッケージの2種類が売られていますが、復刻版の方が10倍も多く売れているといいます。なぜ復刻版が圧倒的に人気なのでしょうか。

おやつカンパニーの髙口裕之取締役は「コロナで精神的にも皆さん、不安定な状況だと思います。そういう状況だからこそ、かつて安定していた、日本が成長し活気のあった時代に対して、深層心理的に興味を持っていくという背景があるのではないか」と話します。

令和の今、各社が次々と「昔の顔」で売る復刻商品を誕生させています。ファミリーマートでは、サントリーのウーロン茶が1981年の発売当時の姿で復刻販売されています。この限定販売のウーロン茶、ラベルだけでなく味わいまで昔と同じだと話題になっています。

セブンイレブンでも、日清カップヌードルの昭和の売り上げNo.1「ポークチャウダーヌードル」、平成の売り上げNo.1「ブタホタテドリ」という復刻商品が限定販売されています。中高年世代には懐かしさを感じさせる一方、若い世代には全く新しい商品として受け入れられ、人気となっています。

そんな中、アサヒビールが28年ぶりに復活させたのが「アサヒ生ビール」、通称マルエフ。約1ヵ月で年間計画の半分が売れるほどのヒットになったため、一時休売となってしまいました。その味はアサヒスーパードライの対極にあるといいます。

「人と人とが疎遠になっていて、人のぬくもりや人情味を求めている。アサヒ生ビールマルエフという商品こそがまろやかな味わいで今の時代にぴったりなのではないか」(アサヒビール新商品開発部の渡邊航太郎さん)

さらにバンダイが復刻したのが、2007年に発売し300万個販売のヒットとなった「∞(ムゲン)プチプチ」。今年8月に「∞(ムゲン)プチプチエアー」として復刻発売しました。

「緊急事態宣言が初めて発令されたタイミングで、ストレスが溜まっていた時期があり、今の時代に∞プチプチが復刻したら面白いのではないかと思ったのが、開発のきっかけです」(バンダイの真野瑛子さん)

本物の感触に近づけるため、今回は空気を閉じ込める構造に変更。リアルさが受け、約1ヵ月半で3万個を売るヒットになりました。

企業が復刻商品を続々と売り出す理由について、ニッセイ基礎研究所の久我尚子上級研究員は「企業としては強迫観念のように、世の中にどんどんどんどん新しいものを出していかないといけないと考えていたかもしれないですが、今の消費者の需要からすると古いものの方が響きやすい」と説明します。

新商品が次々と生まれては消えていく、消費大国日本。古いブランドを掘り起こす復刻商品にこそ、新たなビジネスチャンスが隠れているのかもしれません。

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