ホンダが開発する「空飛ぶクルマ」の狙いは?<WBS>

公開: 更新: テレ東プラス

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ホンダが開発する「空飛ぶクルマ」の模型。

次世代の移動手段として期待される「空飛ぶクルマ」。自動車メーカーのホンダがこの新たな領域に参入する狙いは何なのでしょうか。

「われわれの既存事業につながる技術をコアにしており、モビリティーカンパニーホンダの本業の拡大と認識し、取り組んでいる」(本田技術研究所の大津啓司社長)

ホンダが開発を進めているのは、電動で垂直に離着陸するeVTOL、いわゆる「空飛ぶクルマ」です。モーターとガスタービンのハイブリッド方式で浮かび上がり、約2000メートルの高度を最高速度270キロ以上で飛行します。航続距離は約400キロで都市間の移動も可能になるといいます。これまで自動車やビジネスジェット機で培った技術が、いたるところに生かされているというこの機体。ホンダが新たな領域、空飛ぶクルマに参入する狙いはどこなのでしょう。

「ホンダはもともと人の役に立つための技術、技術によって人々の生活を豊かにしたいという考えがあって、二輪があり、四輪があり、空はホンダジェットがあった。移動の欲求がなくならないということは、モビリティーの進化も止まらないということ。今回の技術も、モビリティーの進化の新しい提案だと思っている」(大津社長)

米モルガン・スタンレーによれば、2040年までに世界で160兆円規模にまで成長すると予想されている空飛ぶクルマ。国内外で熾烈な開発競争が始まっています。

アメリカのジョビー・アビエーションは、トヨタ自動車から約430億円の出資を受け、すでに試験飛行に着手。国内ではベンチャー企業のスカイドライブが、大阪府・大阪市と連携協定を締結。2025年の大阪・関西万博での実用化を目指しています。ホンダは、早ければ2030年代初めに実用化したい考えで、2023年を目途に北米で実証実験を開始する予定です。しかし、なぜ北米なのでしょうか。

「認可を取るという観点でいうと、FAA(米連邦航空局)の動きの方が早いので、市場が形成されていくスピードと認可を取っていく環境が整うのは北米が一番先だと思っている」大津社長)

日本政府も、2030年代には、救急医療で空飛ぶクルマを活用することなどを盛り込んだ工程表を年度内にまとめる方針で、実用化に向けて動き出しています。

「今、日本の市場で検討は進んでいるが、早いのは圧倒的に北米。日本の市場においても、客に価値を提供したいと思っている。北米での実証実験で確実に技術を作った後に、日本の市場での対応はなるべく早く検討して広げていきたい」(大津社長)

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