ワキの悩み、気にし過ぎ?ワキガ、汗染み対策を専門家に聞いた

公開: 更新: テレ東プラス

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過ごしやすい気候になってきましたが、まだ暑さがぶり返す日も。暑い時期に気になるのが、自分の臭いや、ワキ汗による汗染み。人には言えないデリケートな部分、悩んでいるのは自分だけ? 「ワキに関する悩み」についてアンケートを行い、実態を調査。結果を基に専門医に話をうかがいました。

約半数が悩む「ワキ汗」「ワキの臭い」

Yahoo!ニュースの協力を得て、全国10代~50代の男女2000人にアンケートを実施(2021年8月)。まず、「ワキに関する悩み(複数回答可)」については、「ワキ汗が多い、洋服の汗染み」が最も多く47.7%、続いて「ワキの臭い」が44.0%、「毛穴のボツボツ」18.5%、「ワキ毛が多い」14.8%、その他「黒ずみ」「かゆみ」「ワキ毛処理による肌荒れ」などの回答があり、半数近くが「ワキ汗」「ワキの臭い」を気にしているという結果となりました。

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「ワキの臭い」に関して「"ワキガかも?"と思うことがあるか」という問いには、「はい」36.2%、「いいえ」63.8%と、3~4割が気にしているという結果に。「はい」の理由は、「汗をかいた時に臭う」「ストレスを感じた時に臭くなる」「人から指摘された」「耳垢が湿っている」「親がワキガ」「ワキ汗で服が黄ばむ」「ワキ汗が多い」などの回答が。「昔は臭わなかったが50歳すぎてから気になる」という年齢による変化や、「ダイエットしてからワキガになった」などのお悩みもありました。

しかし、「実際に人から臭いを指摘されたことがあるか」との問いでは、「はい」はわずか5.1%。他人の臭いを指摘しづらい点を考慮しても、実は自分の臭いを気にし過ぎている一面もあるのかもしれません。

また「ワキ汗・汗染み」に関しては、「夏場の暑い時」「スポーツをした後」「緊張した時・ストレスを感じた時」などに気になるという回答に加え、「永久脱毛をしてからワキ汗が増えた気がする」との見解も複数見られました。

「ワキのお悩み対策(複数回答可)」として行っていることは、「制汗剤を使う」48.1%、「ウェットシートなどで拭く」33.8%、「汗染みしにくい、目立ちにくい服を着る」21.9%、「ワキ汗パッドなどで汗を吸収」「消臭効果の高い服を着る」「香水で臭いをごまかす」などの回答が。また、「専門家に聞いてみたいこと」として、「ワキガかどうか判断する基準は?」「ワキ汗を抑える方法を教えて欲しい」「治療の方法、費用を知りたい」などのご意見をいただきました。

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専門医がワキの悩みを解決

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アンケートの結果を踏まえ、日本形成外科学会専門医として多数のワキガ・多汗症の治療を手掛ける「日本橋形成外科」網倉良安院長にお話をうかがいました。

Q.ワキガかどうかは、どのようにチェックすればいいですか?

網倉院長(以下同)「基本的にはワキガ(腋臭症)は遺伝によるもので、"アポクリン腺"という汗腺の数や大きさが影響しています。【家族にワキガの人がいる】、またアポクリン腺はワキだけでなく耳の中や乳輪などに多いため【耳の中が湿っている】ことなどから診断します。耳垢が湿っているかどうかは、耳かき棒ではなく"綿棒でなければ耳かきができない"というラインが基準になります。また、ワキ汗の色については、ワキガの人はそうでない人より衣服が黄色くなる度合が早く、淡い色のものはワンシーズンもたない場合もあります」

Q.「50歳すぎてから」「ダイエットをしてから」など、何かをきっかけにワキガになることはあるのですか?

「生まれ持った体質なので、ワキガの人は思春期(小学校高学年~高校生くらい)には自覚しているため、成人が急に臭いが気になり始めたという場合はワキガでない可能性が高いです。体調の変化、食事(動物性たんぱく質や脂質が臭いの原因に)、臭いが増強する化学繊維(ポリエステル、レーヨンなど)の衣服を着ている、など何らかの理由で体臭や加齢臭が強くなっていると考えられます。また年齢による変化については、"アポクリン腺"は性ホルモンに相関するため、男女ともに50歳くらいになるとワキガ自体の臭いはやや減ります。しかし、中年以降は加齢臭が混在してくるため、以前より臭いが気になることもあります」

Q.アンケートでは3~4割の方が「ワキガかもしれないと思うことがある」と回答していますが、実際に他人から指摘されたことがある人はわずかでした。臭いを気にし過ぎている場合もありますか?

「日本人は臭いに敏感ですよね。白人や黒人はほぼ100%ワキガなので腋臭があって当然ですが、日本、韓国、台湾、中国など全人類の極一部の人だけが腋臭がないのです。日本人は元々臭いが少ないので、ワキガの人も海外では臭いは気にならない程度だと思います」

Q.ワキの臭いの対策、ワキガの治療法を教えてください。

「皮膚の表面を清潔にすることで臭いの原因となる雑菌の繁殖を抑えられるので、アンケートの回答にある、制汗剤で汗を抑えること、ウェットシートなどで拭きとること、ワキ汗パッドで汗を吸収することなどは有効ですし、また同じく清潔にする観点から脱毛も効果的です。
ワキガは病気ではないので必ずしも治療が必要ではないですが、本人が悩んでいたり、日常生活に支障が生じていたりする場合は専門医に相談してみてください。診断により保険適用の場合の手術(剪除法)は両方で約4万~5万円。ただし、ワキガの手術はワキガ以外の体臭や加齢臭には効果がありません」

Q.ワキ汗や汗染みの対策や治療法を教えてください。

「多汗症には"全身性"と、ワキ汗などの"局所性"があり、"局所性"には、神経疾患など病気からくるものと、原因がわからない"原発性"のものがあります。原因があればそれを取り除けばいいですが、原因がわからない場合は発汗を促す交感神経を興奮させないようリラックスするしか対策はありません。
悩んでいるのであれば、保険適用の塗り薬や飲み薬から、ボトックス注射、手術まで症状にあった治療法があるので、専門医に相談してみてください」

気にし過ぎるのもよくないですが、悩むようであれば専門医に相談してみることで解決の一歩になりそうです。

※この記事はテレ東プラスとYahoo!ニュースによる共同企画で、Yahoo!ニュースが実施したアンケートの結果を活用しています。アンケートは8月27日、全国のYahoo! JAPANユーザー(10代~50代)を対象に行い、2000人から有効回答を得ました。

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網倉良安(あみくら・よしやす)
日本橋形成外科」院長。医学博士/日本形成外科学会専門医/日本美容外科学会正会員。大学卒業後、昭和大学形成外科の医局員として大学病院、関連病院にて10年間、診療、研究に携わり、2011年「日本橋形成外科」院長に就任。保険適用が可能なワキガ治療、多汗症などの形成外科の他、皮膚科、美容外科の診療も。

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