有名作品が続々... 空港がオークション会場に 鍵握る「保税エリア」とは?

公開: 更新: テレ東プラス

txbiz_202109301200_01.jpg
羽田空港に設けられたアートオークションの会場

数々の絵画に彫刻。美術品が並んでいるのは羽田空港です。10月に行われるオークションのためなのですが、なぜ空港がオークション会場に選ばれたのでしょうか。そこには、意外な理由がありました。

28日から羽田空港で始まった美術品の下見会。広い会場には有名な作品から見覚えのあるデザインまで、多くの作品が並んでいます。これらの作品は10月1日にこの場所でオークションにかけられます。実はこのオークションにはある特徴があります。

「昨年、規制緩和があり、従来できなかった保税エリアにおけるアートオークションができるようになりました。規制緩和以降、日本で初の開催となります」(日本空港ビルデングの倉富裕さん)

一部の作品は、紹介する名札に「保税」という緑色のマークがついています。これは税金が留保されているという印です。通常、海外から物を輸入する際には、関税などがかかります。これを留保することで手続きを簡単にして、貿易や物流をスムーズにできるのが保税エリアです。

昨年から今年にかけて規制が緩和され、一部の保全エリアで美術品の展示や売買ができるようになりました。羽田空港は宴会場などとして利用しているこのスペースを保税エリアとして認可を受け、活用することにしたのです。

今回は海外から届いた33作品が、この恩恵を受け、税を留保されています。国を越えた移動が多いオークションでは、海外からの出品がしやすくなると言います。

ニューアートホールディングスの白石幸生会長兼社長は「(関税などが)オークション開催の壁になっている。高いものが自由に入ってくるから、従来の日本のオークションハウスと会場の空気が違う」と話します。

アジアでは香港が以前から保税エリアを活用し、美術品の売買を活発に行っています。起業家・アートコレクターの川崎祐一さんは「本来であれば海外に出品されてしまうような作品が、日本で見られるという意味においてはかなりコレクターにとってはプラス。正しい色合いや傷があるかなどは写真で見るだけでは分からない。実際に海外から出品された作品を日本でじかに見られる機会は大きいと思います」と利用者にとってもメリットは大きいと話します。

羽田空港は新型コロナで航空需要が激減する中、新たな集客の柱に育てる考えです。

「空港というインフラがあって、立地条件もいいので、エンターテインメントとして楽しんでもらい、アフターコロナに向け、強い体質になっていく。自ら需要を作っていけるような空港、高みを目指していきたい」(日本空港ビルデングの倉富さん)

ワールドビジネスサテライト

PICK UP