AI婚活の最前線を追う!出会いのきっかけは本...「チャプターズ」の全貌:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

新型コロナの影響で人との関係が希薄となり、異性と出会う場や機会がなくなってきているという。それを裏付けるデータとして、2020年の婚姻数は53万件余り、前の年から12.3%減少し、戦後最低水準となった。

9月17日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)では、コロナ禍で"新たな出会いの場"を作ろうとする試みを取材。地方自治体のAIを使った婚活事業と、ベンチャー企業がインターネット上で立ち上げた"新たなサービス"を紹介し、さまざまな出会の形とビジネスに完全密着した。

AI婚活の最前線を追う!

埼玉県川口市に住む角田健太郎さん(仮名。38)は、いままさに出会いを求めている一人。「コロナになってから人と会わなくなってしまったので、出会いは本当になくなりました。チャンスを少しでも多くと思い、マッチングアプリを・・・」と話す。

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最良の相手を探すために始めたのが、ネットを使った婚活。スマホさえあればお手軽に登録することができる。「埼玉県がやっているというところに安心感がある」と話す健太郎さんが登録したのは、埼玉県が主催する「恋たま」。AIを活用しているのが特徴だ。

今年度、政府は少子化対策として、AI婚活事業の補助金を拡充。全国23の県がこれを採用している(※2021年9月1日時点 番組調べ)。その中で最も成功していると言われるのが「恋たま」だ。

9月1日、番組が「恋たまサポートセンター」(さいたま市)を訪ねると、この日は月初めとあり、電話やネットで新規登録希望者からの申し込みが殺到していた。現状、4300人がアクティブに活動しているそうで、2018年10月にサービスを開始して以来、135組が成婚し、退会に至ったという。

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「AIマッチング」の良さは、年齢、収入、身長などのありがちな条件だけで候補者を絞り込まず、"ビックデータから本当に相性のいい相手を導き出せる"ところにある。

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これに対し健太郎さんは、「私の価値観が反映されていると思います。やっぱり相性がいいと言われると、ちょっと試してみようかな、話してみようかなという一歩踏み出すきっかけになりますね」と話す。

この「AI婚活システム」を開発したのが、「タメニー」(東京・品川区)という会社。佐藤茂社長に「運営するにあたり、何を一番気にしているのか」聞いてみると、「お客様の情報そのものが商品なので、個人情報をしっかり守っていくのが企業として必要不可欠」との答えが。最も気を使うのは登録者の裏づけで、本人確認のための運転免許証などはもとより、学歴を証明するための卒業証明書、収入を確かめる源泉徴収票の提出なども行っているという。「タメニー」のマッチングシステムは埼玉県だけでなく、すでに茨城県、福島県、福井県、秋田県で導入され、9月から新たに宮城県も採用している。

大切なのは写真の第一印象。プロによるアドバイスも

しかし、期待して婚活すること8ヵ月。「私の場合、お見合いまで行っていないのが現状です」とがっかりする健太郎さん。なかなか思うように進んでいない。

そこで訪れたのは、「恋たま」のサポートセンター。「8ヵ月活動して、マッチングしたお相手が1人なので・・・」と相談すると、プロフィールの写真についてダメ出しが。「Tシャツ1枚とかカジュアルすぎると、結婚に対する本気度が見られないと思われがち」とのこと。他の男性の写真を見せてもらうと、ほとんどがジャケットやスーツ姿。正装の方が本気度が感じられるという。「恋たま」の登録料は2年間で1万6000円。こうした的確なアドバイスや手厚いサポートも受けられる。

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果たしてこのアドバイスで健太郎さんの婚活は上手くいくようになるのか?

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「親に楽をさせてあげたい...」専業農家の長男がAI婚活

秋田県大潟村。専業農家で「あきたこまち」を作る菅原大地さん(35)も、AI婚活を始めようとしていた。

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大地さんは菅原家の長男で、受け継ぐことになる田んぼは、広さ約30ヘクタール、東京ドーム6個分に相当する。

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家族の前で結婚の話になると気まずそうな大地さんだが、「いままで頑張っていなかったわけではないが、自分なりに頑張って(両親に)楽をさせられたら...」と話す。

大潟村も婚活支援に力を入れている。「ポルダー結婚支援センター」の佐々木鶴代さんは、「農業が忙しくてなかなか出会いの場に外出することができない。35歳以上の独身がとても多い」と話す。実は秋田県、出生率は26年連続、婚姻率は21年連続、全国で最下位だという。

佐々木さんに背中を押された菅原さんは、独身証明書など必要な書類を揃え、AI婚活に登録、婚活を始める。

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さらに番組では、案内人の松下奈緒が、「恋たま」をきっかけに出会い、この秋、結婚するカップルを訪ねる。

出会いのきかっけは...「本」

AIに頼る婚活とは、全く違う出会いを求める人がいる。IT会社に勤務する外山友香さん(27)。

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コロナの影響で外出は近所の散歩程度。出社も減り、一人で過ごす時間が増えたという。

そんな外山さんが出会いを求めて始めたのが「チャプターズ」という会員制のオンライン書店だ。登録すると毎月テーマに沿った本が4冊用意されるが、タイトル・著者名は隠されたまま。会員はその中から直感で1冊を選び、同じ本を買った人と出会うことができる。偶然の本との出会い...その先に人との出会いも待っている。

今回、外山さんと同じ本を買ったのは、20代の男性。相手のお気に入りの本や読書への思いも知ることができ、希望すればネットをつないで話もできる。

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まずはお互い、顔が隠れた状態で挨拶。外見にとらわれることなく話ができる。同じ時期に同じ本を読んだ2人は会話もとても楽しそう。話が進むと、徐々に相手の顔が見えてくる仕掛けだ。

「恋愛もあればいいなと思いつつ、友達が増えれば同性でもいいと思って。普段はなかなか会えない人と普通にお互いのことを話すだけだけど、新しい発見があったりしたので良かった」と外山さん。

一風変わった出会いのサービスは、2020年12月からスタートした。「チャプターズ」をひとりで立ち上げ、運営する「ミッションロマンチック」代表・森本萌乃さん(31)は、大学卒業後、大手広告代理店に就職。「好きな本を通じて出会える会社を作りたい」と考え、起業した。

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2020年秋、「ガイアの夜明け」はオンラインでイベントを開催し、視聴者の皆さんから番組で放送する企画を募集した。森本さんはイベントで「本棚で手と手が重なるような出会いを作りたい。出会いたいから出会うんじゃなく、出会ってしまうということをテクノロジーの力でできないかということで、いま書店としてオープンしようという段階です」とプレゼン。200を超えるアイデアの中から大賞に選ばれたのだ。

ようやく開いたオンライン書店「チャプターズ」、もちろん本選びにもこだわる。この日、森本さんが訪ねたのは「光文社」。本のセレクト協力をお願いしにやって来たのだ。編集長2人を相手に、「出版社との取り組みの中で期待しているのは、4冊の選書」と話す森本さん。「本のプロが選ぶからこそ一番熱を持って勧められる...一緒にやっていきたい」と熱くプレゼンする。

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すると「光文社文庫」「知恵の森文庫」の小口稔編集長は、森本さんのために、すでにおすすめの本を用意してくれていた。その理由について、小口さんは「新しい取り組みにはなるべく協力したいし。新しいヒット作が生まれる可能性があると思う。厳しい中でも希望は捨てずにやっている。希望は必ずある・・・」と話す。 森本さんは、他にも「文藝春秋」や「講談社」など、大手の協力を取り付けていた。

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一度会員になった人はほとんど辞めないそうで、現在の会員数は919人。「チャプターズ」で出会い、一緒に書店を巡ったという声も届いている。さぞや順調かと思いきや、「いくばくかのお金が入らないと倒産しちゃう」と告白する森本さん。会社の存続をかけ、とある雑居ビルを訪れるが、果たして「チャプターズ」の行く末は...? 森本さんの熱い想いは届くのか。

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