「銭湯の富士山を描きたい」! 巨大壁画に挑戦するYOUの正体は... 伝説の銭湯絵師が助っ人に!:YOUは何しに日本へ?

公開: 更新: テレ東プラス

日本を訪れる外国人たちを、空港や街でアポなしインタビュー! そのまま密着取材を行う「YOUは何しに日本へ?」(毎週月曜夜6時25分~)。今回のテーマは、「YOUのジャパニーズドリーム一発撮りSP」。夢に挑戦する姿を一発で決めようとがんばるYOUが続々登場する95分で、はたしてどんな面白YOUに出会えるのか?

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空港を飛び出し、YOUの初体験を叶えるために番組が徹底サポートする「YOUが日本で初体験したいことは?」(取材日:2021年4月)。

東京・原宿で声をかけたのは、ベルギー出身で7年前から日本に住むスレイカさん(40歳)。日本で初体験したいことは、"銭湯の富士山を描くこと"。富士山は世界で一番キレイな山だとリスペクトするスレイカさんは、大好きな銭湯に描かれた富士山にも清められているんだって。

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そんなスレイカさん家(ち)にお邪魔すると、部屋中に富士山グッズ&銭湯の絵がズラリ! 食器、小物、銭湯の桶などの雑貨から漫画まで揃えていて、とにかく愛情がスゲーこともわかった。

そこで番組Dが、銭湯に富士山の絵を描く夢を叶えたいと申し出たところ、「まぁやりたいですけど~」と、微妙な回答が。じつは来日後は絵をあまり描いていないので、今の実力が不安らしいのだ。とはいえ母国ではグラフィックデザインを専門にしたり、現在はIKEAのショップデザインマネージャーとして空間デザイン系のお仕事も担う方。きっとできるはず...ということで、スレイカさんの夢を全力サポートすることに決定!

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【全力サポート①】富士山の絵を描かせてくれる銭湯を探す

必死で東京近郊の銭湯50軒以上に連絡したが、全部NG...。

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3カ月後、ついにご協力いただける銭湯が見つかった! ド緊張のスレイカさんだが、「やるからには銭湯のオーナーさんやお客さんのためにいいものを描きたい」と前向きだ。現場になる銭湯は、埼玉県の「鹿島湯」さん。まずは下見に行くと、創業64年、今どきレアな煙突もある風情たっぷりの老舗で、スレイカさんはひと目で気に入った様子。

店主の坂下さんに歓迎してもらい銭湯内に入ったスレイカさんだが、壁が予想以上に大きく思わずひるんでしまった。坂下さんによれば、描かれた絵はもう4年経つので、ちょうど描き替えの時期だという。肝心の絵の大きさは、男湯から女湯まで縦3m×横10mの壁一面で、夢のキャンバスはビッグサイズ!

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今回、坂下さんが依頼を快諾してくださったワケは、スレイカさんの銭湯愛をVTRで観て感激したからだという。そんなスレイカさんに描いてほしいのは、やっぱり縁起物の赤富士。「富士山で元気になるような絵にしたい」という坂氏さんに、スレイカさんは、今は男湯だけ富士山が見えているので、女湯からも見えるようにしたいと提案した。坂下さんは「今年65年目で初めて女湯からも見える富士山を描いてもらえたら」と、このアイデアに賛同。とにかくイメージの3倍も壁が大きかったので、どんなレイアウトにするかちゃんと考えたいと、いったん銭湯を後にした。

幼い時から絵が大好きで絵画教室に通っていたスレイカさんは、地元で観た映画「テルマエ・ロマエ」で銭湯の富士山に魅了された。根本を学ぼうと日本に留学し、銭湯絵師の丸山清人さんのイベントにも通った。今は富士山が描かれた銭湯が減って残念だが、描くことでもっと真髄を知りたいんだって。

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【全力サポート②】赤富士を見てもらうため車両を用意

数日後の雨の日、赤富士を見に行くため、午前3時前にスレイカさんと合流した。赤富士は8月~10月に数回だけ発生する現象で、雨で火山礫を表に出しているので、今が見られる大チャンスなのだ! が、意気込んで現場に着いたものの、富士山がどこかもわからない状態...ガビーン。

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【全力サポート③】最高の赤富士の写真を見て、インスピレーションを高めてもらう

それならばと、特別な場所にスレイカさんを案内することに。それは、富士山の写真がずらりと並んだ一戸建てのギャラリー。現れたオーナーの冨塚晴夫さん(通称トミー)は、富士山を33年間撮影し続けている写真家で、海外でも個展を開くパイオニアだ。飾ってあった赤富士をじっくり鑑賞し、インスピレーションは高まったのか!?

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【全力サポート④】練習のためスタジオを貸し切り、実物大の練習板も用意

続いて練習用のスタジオへ行くと、日本に3人しかいない銭湯絵師の1人で、描き続けて56年という中島盛夫さんが登場! 関東の銭湯を中心に富士山を描き、これまで計1万点以上も手がけたというスゴい人が指導してくださるのだ。特注品の筆を用意し、6時間も指導をしてくれた成果は!?

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【全力サポート⑤】絵を描くための足場と衣装を準備

いよいよ緊張の本番当日!足場もしっかり組まれた壁の前で、まずは富士山の位置を決めるため、チョークで下書きを始めた。しかし富士山の幅に注意したものの・・・あとで横幅が足りないことに気づいてパニック状態に。

ちなみに行程は、「全体の構図を下書き」→「空などの背景をペンキで塗る」→「富士山を描きあげる」。これをすべて銭湯が休みの日の1日で仕上げなくてはならないが、間に合うのか!?

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さっそく背景をローラーで塗り始めたスレイカさん。空の色が黄色なのは、日の出をイメージしたからだ。そこへ師匠の中島さんが様子を見に来てくれたので、テンションアップ! アドバイスは最低限だが、そばにいてくれるだけで安心な存在だ。斬新な色味で制作を進めていると、「俺には考えられない。いい色使い」と褒めてくれた中島さん。まるで本当の師弟関係のように、スレイカさんを11時間も温かく見守り続けてくれた。

中島さんが帰った後は1人で黙々と描きながら、「今回で富士山を愛している人や、銭湯を応援している人、地域でサポートしている方、銭湯と富士山が好きな人に出会えたことに感動した」と、喜びを語ってくれた。こうして16時間で大作が完成し、坂下さんにお披露目してみたところ、「スゲえ!」と感激の声が。いったいどんな絵なのか...。

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それがこちら!! 真ん中に大きな赤富士を描き、太陽をオレンジにしてコントラストのある色使いに。また女湯側には桜、男湯側には松の木を配置。坂下さんも「女の人もようやく富士山が見えるようになったね」と、喜んでくれた。

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このあと坂下さんのご厚意で、一番風呂をいただくことになったスレイカさん。双子の妹さんとふたりで銭湯を心ゆくまで堪能しました! スレイカさんが初体験を終えたところで、密着も終了。スレイカさん、貴重な初体験が成功して良かったね!

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