夏の甲子園優勝高「智辯和歌山高校」に密着!部活動も学問も優秀な秘密は”朝”にあった!

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歴史や校風、卒業生のネットワークまで、名門校の知られざる姿を通してその秘密に迫る「THE名門校!日本全国すごい学校名鑑」(BSテレ東 毎週月曜夜10時)。MCに登坂淳一角谷暁子(テレビ東京アナウンサー)、解説におおたとしまさを迎え、「名門とはいったい何か?」常識を打ち破る教育現場に密着する。

今回紹介する名門校は、今夏、「第103回全国高等学校野球選手権大会(夏の甲子園)」で優勝した「智辯学園和歌山中学校・高等学校」(以下、智辯和歌山)。スタジオゲストにレッド吉田(TIM)さんを迎え、文武両道の名門のすごさに迫る。

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自身も甲子園出場の経験があり、芸能界きっての甲子園通のレッドさん。現在小学5年生の息子さんも野球に夢中だそうで、「できれば智辯和歌山に入学させたい」と熱望。「智辯和歌山のイメージは、高嶋監督・猛打・少数精鋭。逆転の智辯和歌山。そして応援の"JOCK ROCK"(魔曲)が有名」と語る。

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校舎はJR紀勢本線・黒江駅から歩いて10分ほど。小高い古墳の跡地に建ち、生徒たちは急な坂を登って登校する。開校以来、中高一貫教育で、中高の生徒数はおよそ1400人。2002年には小学校も開校し、12年一貫教育を始めた。教育目標は「愛のある教育のもと、誠実・明朗な人物を育む」。東大、京大、阪大をはじめとする難関国公立大や、早稲田、慶應、同志社などの有名私立大に多くの合格者を出す、県内きっての進学校だ。

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朝 7時15分、登校時間前にもかかわらず続々と登校する生徒たちの姿が。「朝練」ならぬ、「朝勉」に自主的に励む生徒たち。「家で勉強するより集中できる」という希望に合わせ、学校が門戸を開いているという。

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登校時間の8時30分になると、生徒たちは毎朝10分間の読書を行う。好きな本を読んでかまわないため、読む本のジャンルはさまざま。10分の積み重ねが中高6年間で約250時間にもなり、その習慣が力となる。読書が終わると、智辯和歌山ならではの光景が。姿勢を正して合掌し、読経を始める。当たり前の日々に感謝し、心を落ち着かせてから授業が始まる。

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クラス名の表記も独特だ。「中6」は中学6年生の略で、高校3年生のことを指す。中高一貫教育を行うにあたり、中高6年を通して「中1〜中6」という呼び方をしている。授業時間は少し長めの60分。週に34時間以上授業が行われ、中2までに中学の内容を、中5までに高校の内容を終了。中6では大学入試の演習に取り組む。

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開校は1978年。設立の母体は奈良県にある「智辯学園」で、高校の生徒数の増加が予想されていた当時、「私立の高校を作りたい」と和歌山県が要請。藤田照清・先代理事長のもと、中高一貫教育の学び舎として誕生した。現・理事長の藤田清司さんを訪ねると、数々の優勝旗を見せてくれた。野球部の強さはおなじみだが、創部5年目の陸上部も強く、男子は創部3年目にして駅伝で県大会制覇。昨年は男女アベック優勝を果たした。

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「心の教育。特に、支えてくれている方々への感謝の心。生徒たちは『将来リーダーとして活躍したい』という気持ちが強い。心の大切さをよく理解して自ら成長させていくので、素直な子が多い」と、藤田理事長。独自の教育として、入学の際に保護者に手づくり弁当をお願いするという。反抗期を迎えても愛情のこもったお弁当がメッセージとなり、親に感謝し、自分のやるべきことに気づけるのだという。

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校舎内には美しい和室があり、そこでは競技かるた部が活動していた。部長の中村さんは「狙った札が出たときに取れる快感が楽しい」と、その魅力について語る。続いて生物部を覗くと、水槽で魚を飼育していた。校舎の周りには豊かな自然があり、生物部にとって絶好の環境だという。また、科学部は「科学の甲子園」の常連校で、今年3月の大会では「筆記競技」で全国6位に輝いた。中学生も高校生と一緒に活動しており、副部長の小倉さんは「何かを解明したり、気になったことを追求できるのが、科学部の楽しいところ」と、その魅力を話してくれた。

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さらに、名物といえば野球部の応援。その代名詞が「JOCK ROCK(魔曲)」だが、なんと応援団に入れるのは成績優秀者のみ。毎年7月に結成され、生活態度の審査もあるというから驚きだ。チアリーダーは抽選で高校1年生と2年生から12人ずつ選ばれ、落ちた人は補欠となる。結成後すぐに夏の甲子園に向けて地方大会の応援があり、朝練に励む生徒たち。そんな熱い応援を受ける野球部を訪ねた。

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春夏通じて、県内最多の39回出場を果たした甲子園の常連。部員は3年生12人、2年生13人、1年生14人の総勢39人。甲子園常連校としてはかなり少ないほうだが、この少数精鋭が智辯和歌山の伝統。これは3年前に勇退した名誉監督・高嶋仁さんが築いてきた方針だ。

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智辯学園を3度甲子園に導いたのち、1980年に智辯和歌山の監督に就任した高嶋さん。今でこそ名門野球部だが、高嶋さんの就任当時は部員が5人で、まるで同好会のようだったという。とはいえ中には優秀な部員もいて、「これだったら何とかなる」と就任。しかし監督就任の前年、和歌山代表の県立箕島高等学校が甲子園で春夏連覇。そんな強豪を破り、同好会レベルの野球部を甲子園に連れて行くために採った策は、体力作りだった。

「柱は技術・精神力・体力の3つ。当時のチームにはすべてなかった。体力作りを何とかするしかないと思い、他校がまねできないような日本一の体力作りを始めた」と高嶋さん。当時の強豪校は1日で腹筋背筋を300回ほどやっていたが、智辯和歌山は2000回! 最初は無理でも次第にできるようになり、それに付随して精神力が鍛えられた。残るは技術だが、体力があれば技術を習得するための練習にも付いていけるという。日本一の体力作りをしたことで3つの柱が育ち、優勝候補との試合にも勝利した。

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少数精鋭について、「9人しかレギュラーにはなれず、他は全部補欠。たくさんの補欠を育てるのは難しいけど、10人なら補欠は1人だけだから、何とかなる」とその理由を語った。誰よりも補欠の部員を大切にし、「勝つことによって補欠が浮かばれる。補欠が『自分の支えによって勝ってくれた』という気持ちになったら、そのチームは絶対強い。進学を決めるのも補欠が先で、レギュラーはその後」と高嶋さん。

言葉が少ないのも高嶋さんならではの方針だ。「肝心なことしか言わない。甲子園に出ても僕のミーティングは1分です。長々しゃべっても次の日になると生徒たちは覚えていない。僕は1個しか言わないから全部覚えている」と、その考えを明かしてくれた。

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現在のキャプテンは、センターを守る3年生の宮坂厚希さん。部員たちからの信頼も厚く、「野球ももちろんですが、普段の生活や人間性をしっかり教育していただいている。勉強や私生活で疎かにしている部分があると、野球でも1つの隙などに繋がるのを実感している。勉強や私生活は野球と繋がっている」と力強く語る。

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その野球部を全力で応援する生徒たち。生徒会長の生駒さんは「僕たちが球場で届ける応援はきっと野球部に届いていると思う。野球部も一般生徒もお互いに励まし合って助け合える学校」とコメント。全校生徒の応援を背中に受ける野球部員と、その背中に自分のやるべきことを誓う生徒たち。共に高め合うことが智辯和歌山の強さだ。

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現在の監督は、高嶋監督のもと甲子園優勝を果たしたOBの中谷仁さん。ドラフト1位で阪神タイガースに入団し、楽天、読売ジャイアンツにも在籍した。恩師から野球部を受け継いで3年。その胸中を伺うと、「和歌山県では智辯和歌山は勝つのが当たり前で、ただ勝っても『このゲームはなんだ!』と言われてしまいます。甲子園に行って1回戦や2回戦で負けたら、お叱りを受ける。そのプレッシャーを常に感じながら日々やっている」と語る。

勝ち方まで問われる名門野球部は、まさに今年の夏、甲子園で見事な勝ち方を体現。試合直後、選手たちはマウンドで喜び合うことなく整列し、対戦チームへの礼を尽くした。輝かしい優勝には、智辯和歌山の教育理念がしっかりと息づいていた。

番組では他にもさまざまな部活動を紹介。さらにスポーツライター・谷上史朗さんやビジネスの現場で高嶋元監督の教えを実践する野球部OBが登場。レッド吉田さんによる「高校野球あるある」など盛りだくさんの内容でお届けする。

9月13日(月)夜10時放送! 「THE名門校!日本全国すごい学校名鑑」(BSテレ東)は、「灘vs武蔵!東西の超名門SP!登坂アナ32年ぶり母校へ」と題し、ゲストに鈴木奈々さん、和田秀樹さん、本郷和人さんを迎えて送る。

今回の東西対決では、西は超難関校「灘高」こと灘高等学校(兵庫県神戸市)を紹介。灘高を語るうえで欠かせない50年教壇に立ち続けた伝説の教師がいる。その「奇跡の授業」を受けた教え子の1人が灘高OB神奈川県・黒岩祐治知事だ。知事の原点を作ったという「奇跡の授業」とは?

対する東は、東京「男子校御三家」として知られる武蔵高等学校中学校(練馬区)を紹介。今も教育現場で貫かれる建学の精神の1つが「自ら調べ自ら考える力のある人物」。教科書通り教えない授業とは?

さらに今回、MC登坂淳一が、卒業以来32年ぶりに母校・保善高等学校を訪問。アナウンサーとなった原点を辿る。

どうぞお楽しみに!

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