日本自動車大手メーカーがヨーロッパの大規模自動車ショーに不参加のワケ<WBS>

公開: 更新: テレ東プラス

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メルセデス・ベンツが発表した新型EV「EQE」

ドイツ・ミュンヘンで開幕した国際自動車ショー。6日に報道向けに公開されました。新型コロナの感染拡大後、初めてヨーロッ パで開かれた大規模な自動車ショーとなった今回の主役はEV(電気自動車)です。ヨーロッパのメーカーが新型EVをアピールする一方で、日本のメーカーは軒並み参加を見送りました。その理由は、コロナだけではないようです。

ドイツ南部の工業都市ミュンヘン。フランクフルトモーターショーと呼ばれていた世界5大モーターショーの一つが、70年ぶりに場所を変えて開かれました。ドイツお膝元のメルセデス・ベンツでは、あらゆる車でEVモデルを発表しています。超高級車マイバッハでもメルセデス・ベンツはEVを投入します。さらに1回の充電での航続距離が660kmの新型EV「EQE」や、オフロード で活躍するGクラスなど5種類のEVを発表しました。メルセデス・ベンツのオラ・ケレニウス社長は「この10年で100%電動化できる状態にしたい」と話します。

世界最大の自動車グループであるフォルクスワーゲングループは初めて電動車のみの展示にしました。そのほかにもルノーやBMWといったヨーロッパの大手メーカーは揃って、最新のEVや燃料電池車を発表しました。昨年7月、EU(ヨーロッパ連合)が2035年にガソリン車やハイブリッド車を事実上販売禁止する方針を打ち出したため、ヨーロッパメーカーは完全EVシフトになっているのです。

一方、アジア勢はどうでしょうか。ヨーロッパで販売台数4位の韓国・現代グループはEVブランド「アイオニック」シリーズを展示し、EVシフトを鮮明にしています。現代自動車ドイツのユルゲン・ ケラー氏は「まずはヨーロッパで2035年に新車販売をすべてEVにして、2040年には世界中でも行う」と話します。中国の長城汽車グループも巨大なブースで存在感を示していました。

今回のモーターショーには韓国や中国のメーカーが多く参加していますが、日本の最終車メーカーの参加はゼロでした。その理由について日本メーカー関係者は「コロナ禍が続く中で、わざわざ参加する 理由がなかった」と取材に答えましたが、長年自動車業界を取材するジャーナリストの井上久男さんは別の要因を指摘します。

「日本メーカーは、EVの商品化で出遅れている中で、ヨーロッパ市場で訴えるべき商品がまだない。お金を使ってモーターショーに出る必要があるのか総合的に判断して今回の状況になったの ではないでしょうか」(井上さん)

また毎年1月にアメリカラスベガスで開かれる家電と技術の見本市「CES」の存在感が増していることも影響しているといいます。

「いま一番自動車メーカーがこぞって出展するのは1月に開かれるラスベガスでのCESです。そこで新しい技術を打ち出していく大きな流れができている。CESで大きな自動車業界の流れが見えてくるようになってきています」(井上さん)

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