国の独立から10年。五輪初出場の南スーダン代表たちの運命は?衝撃の舞台裏が明らかに!:YOUは何しに日本へ?

公開: 更新: テレ東プラス

日本を訪れる外国人たちを、空港や街でアポなしインタビュー! そのまま密着取材を行う「YOUは何しに日本へ?」(毎週月曜夜6時25分~)。今回のテーマは、「人生一発逆転 昨日の自分を超えていけ!サヨナラ満塁ホームランSP」。新たに生まれ変わろうと奮闘するYOUが続々登場する95分で、はたしてどんな面白YOUに出会えるのか?

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群馬県前橋市のご厚意で、「東京2020オリンピック・パラリンピック」(以下、「五輪」)本番まで長期合宿を続けた南スーダン代表4人(アブラハム、アクーン、マイケル、ルシア)。番組でも長らく密着を続けてきたが、今回はついに完結となる「オリンピックYOU ザ・ファイナル」をお届け! 2019年11月に来日し、夢に見た五輪本番の舞台裏とは!?

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本番まであと1週間となった7月16日。前橋テルサホールではYOUの壮行会が開かれた。前橋市教育委員会教育長・吉川さんから、「前橋の風を背中に感じながら走ってくれると嬉しい」と激励いただき、リーダーのアブラハム(1500m)は上達した日本語で、南スーダンと前橋市のために最善を尽くすと約束した。紅一点のルシア(女子100、200m)も感謝を述べたあと、キラッキラな髪型を褒められると、やっぱり照れて無言に(笑)。

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しかしここでヘッドコーチの吉野さんから、「4人全員をオリンピックに出してもらいたかった」という衝撃の悲報が...。というのも今朝になって、アクーン(400mハードル)とマイケル(パラ100m)は出場できないことがわかったのだ。アクーンは特別枠の出場権が得られず、マイケルは母国での出場手続きが間に合わなかったのが原因だが、直前でのまさかの事態に吉野コーチは「涙ポロポロです」と無念を。アクーンも「気持ちの整理がつかない」と肩を落とす。

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ついに、選手村に出発の日。前橋市のみなさんに激励され、2人と一緒にマイケルとアクーンも東京の選手村に向かったが、やっぱり宿舎に入れるのはアブラハム、ルシア、ジョセフコーチの3人だけ。

傷心ながらも、マイケルは3人の写真を撮り、精いっぱい勇気づける。もちろん本音は悲しみと落胆の思いでいっぱいだが、「それ以上に仲間が五輪に出場する喜びのほうが大きいんだ」と声は明るい。アクーンも「僕たちは1つのチームだから、最後まで2人を見送って彼らを勇気づけたいんだ」と、前向きだ。1年10カ月前に4人で来日したYOUたちは、一緒だから厳しい練習にも耐えられた。オリンピックは最後まで4人で戦うのだ!

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そして待ちに待った7月23日、ついにオリンピック開幕! 選手入場の際は、アブラハムが国旗を凛々しく掲げた。「この瞬間をずっと夢見ていたんだ。世界中に見えるように、できるだけ高く国旗を振った」と誇らしげだ。ルシアも「緊張と同時に興奮していたわ。世界中に向けて南スーダンの名前がアナウンスされたんだもん」。国の独立から10年、これが南スーダン五輪出場の記念すべき第一歩に!

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8月2日、出場の先陣を切ったのは女子200mリレーのルシア。来日直後は、ホームシックで寂しがり屋のシャイガールだったが、前橋市のみなさんの温かさで不安も消え、親友もできて日本が好きになった。勝負の瞬間は、みんながテレビの前に集まって応援してくれている。さあ、いざ勝負!

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激走して健闘を見せたルシアだが、残念ながら6位で予選敗退。しかしここで衝撃の事実が明らかに...。じつはレース後のルシアには、車いすで運ばれるという緊急事態が起こっていたのだ。いいスタートを切った直後に腰に激痛が走ったものの、「前橋と母国のみんなのためにも諦めたくなかった」という思いから、腰の捻挫の痛みに耐えながら完走したルシア。壮絶なアクシデントの中、本当によくがんばった!

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翌日8月3日は、アブラハムが出場する男子1500m予選。練習ではラストスパートを徹底強化し、自己ベストを0.37秒更新した。今こそ成果を見せるとき! 吉野ヘッドコーチらも前橋の自宅から応援してくれている。一緒に走る16人の組には、2年前の世界陸上金メダリストなど強豪もいるが、後半で踏ん張れば勝機はある、とコーチは予測する。

スタートしてみればコーチの予想した展開になり、序盤は作戦どおり集団の後方に構えたアブラハム。勝負の後半では、ラスト200mあたりから必死に食らいつき徐々に追い上げたが...、結果は13位で予選敗退。

世界の壁は高かったが、記録は3分40秒86と自己記録を約2秒も更新! 「目の前のランナーを1人でも多く抜きたかった。応援してくれる人や母国の若者に戦う姿を見せて勇気づけたかった」と語るアブラハム。この日、南スーダンの歴史に新たな1歩を刻んだ。

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1週間後、2人は無事に前橋に帰還。ルシアのケガも大事に至らずひと安心ということで、本当に良かった。

来日してから1年10カ月の長期間、前橋市のみなさんが声援とサポートをし続けてくれたが、ついにお別れの日がやってきた。一団が南スーダンに帰国するため、前橋のみなさんへ最後のご挨拶をする中、ルシアは「すぐにまたみんなに会いたい。それ以外に言葉が出てこないわ」と号泣。アクーンも「前橋に来てすぐの頃は母国を思うと寂しかった。でも今この時が一番つらい...」と本音を。そして、寂しげなアブラハムの胸には、手作りの金メダルがきらりと光っていた。

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出国直前に次の目標を聞いてみると、マイケルが「パリ五輪だよ!」と教えてくれた。それならばと3年後の密着を申し出ると、「もちろんだよ、一緒に行こう!」と言ってくれたので、なんとパリ五輪も密着決定!? 全員が、日本での経験を糧にパリ五輪に向けて練習を続けるという。みんなを空港で見送ったけれど、さよならは言わない。YOUの夢は、まだまだ続くのだ!

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