<コロナ 現場からのメッセージ>石倉宏恭氏 「『命の選別』の対象になったときに後悔しても遅い」<WBS>

公開: 更新: テレ東プラス

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福岡大学病院の石倉宏恭ECMOセンター長

デルタ株による感染が急拡大する中、医療の現場でコロナと戦う医師からのメッセージを、シリーズでお伝えする【医師たちは今... コロナ 現場からのメッセージ】。今回は福岡大学病院の石倉宏恭ECMOセンター長です。福岡大学病院では、昨年重症患者の「最後の砦」と言われるECMO(人工心肺装置)による治療を専門的に行うECMOセンターを開設しました。今、その現場は、どのような状況なのでしょうか。

「今は4人の患者さんを収容して、ECMOで管理しています。60代の方が1人、50代の方が1人、40代の方が2人です。平均年齢はこれまでに比べて10歳ぐらい若くなっています。しかも持病をあまり持たれていない方でも重症化する。これは変異株、デルタ株に置き換わってから、そういう傾向が見てとれます」(石倉センター長)

福岡大学病院ではECMOを5台から6台に増やしましたが、重症患者を断らざるを得ない状況がいつ来てもおかしくないと言います。

「ECMOの機械があっても、医療従事者のマンパワーがこれ以上確保できなくては、重症の患者さんを断らざるを得ない状況が、来週にも来るのではと思っています」(石倉センター長)

今、私たちが心がけるべきこととは何なのでしょうか。

「デルタ株は感染力があり、重症化もしやすいです。原点に立ち戻った行動が必要だと思います。第1波の初めての緊急事態宣言の時のような行動をとればいいと思います。医療従事者はコロナの患者さん、特に重症化した患者さんの救命を最優先に頑張っています。ただ限界があります。そうしますと、『命の選別』になってきます。そのときに『感染しなければよかった』と思っても、もう遅い可能性があります。家庭内といえども、しっかり感染対策をして、まずかからないこと。そうしないと、最終的に重症化して『命の選別』の対象になったときに後悔するのではないかなと思います」(石倉センター長)

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