第4のコロナ治療薬 「抗体カクテル療法」とは?

公開: 更新: テレ東プラス

txbiz_202107211145_01.jpg
2種類の抗体がそれぞれウイルスと結合することで、細胞への侵入を阻止する

厚生労働省は19日夜、新型コロナ感染症の「抗体カクテル療法」で使う治療薬を特例承認しました。これで、国内で認められたコロナ治療薬は4つ目となります。一体どんなものなのでしょうか。

審査の手続きを大幅に簡略化した特例承認となった抗体カクテル療法。昨年FDA(アメリカ食品医薬品局)に緊急時の使用が許可され、トランプ前大統領が感染した際にも採用されました。

この薬はアメリカの製薬企業などが開発。「カシリビマブ」「イムデビマブ」という2種類の抗体を点滴で投与する治療薬です。日本では中外製薬が先月末、製造販売承認を申請していました。

そもそも新型コロナウイルスは体内の細胞と結合し、内部に侵入して増殖します。抗体カクテル療法では、点滴で投与された2種類の抗体がそれぞれウイルスと結合することで、細胞への侵入を阻止。その結果、ウイルスの増殖を防ぎ、重症化するリスクを軽減する仕組みです。抗体が2種類あることで、片方の抗体が効かない変異ウイルスに対しても、もう片方が効果を発揮できるといいます。

この承認に医療現場も期待を寄せています。

「抗体カクテル療法の承認は大きいと思っています。(症状の)軽い段階の早期に治療することで効果が得られる薬で、従来この位置づけの薬がなかったんです」(埼玉医科大学総合医療センターの岡秀昭教授)

軽症者の中でも、基礎疾患のある人など重症化リスクの高い人に投与することで、重症患者になる可能性を減らせるといいます。

「ワクチン接種が高齢者は進みましたが、40代50代にはまだ行き届いていない。そういった人が今、このデルタ株の状況では重症化して、ベッドを占有している状態です。そういう意味では存在が大きい薬だと思います」(岡教授)


PICK UP