民間旅行も!宇宙”新時代”へ 野口聡一宇宙飛行士に聞く<WBS>

公開: 更新: テレ東プラス

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野口聡一宇宙飛行士

民間企業による宇宙旅行が、いよいよ現実のものになろうとしています。新時代の幕開けを前に、今後の宇宙開発はどのように進んでいくのか。半年間の宇宙滞在を終え日本に帰国したJAXA(宇宙航空研究開発機構)の野口聡一宇宙飛行士に、WBSの大江麻理子キャスターが話を聞きました。

今年5月に3回目の宇宙滞在から帰還した野口さん。2005年アメリカのスペースシャトル、2009年ロシアのソユーズに続き、今回は初の民間宇宙船クルードラゴンに搭乗しました。3つの手段で宇宙を往復したのは人類初の快挙。ギネス世界記録にも認定されました。

大江キャスター(以下大江):野口さんを突き動かす原動力は、何なんでしょう。

野口聡一宇宙飛行士(以下野口):やはり挑戦をやめないことです。昨日の自分ができなかったこと、あるいは昨日できたことが今日できないとならないように、日々自分のハードルを上げていく。挑戦し続けるということは、常に評価され続けるということです。(15年ぶりの船外活動について)それだけの技量がまだあると認めてもらえたのは、15年前の自分に勝つということ。(船外活動で見る)宇宙の景色を見るために15年間頑張ってきました。

大江:JAXAが13年ぶりに宇宙飛行士を募集することになりました。

野口:私もお手伝いしたいと思ってますけれども、この月面着陸に向けて、月の生活に向けて挑戦してくれる日本人を募集したいと思っています。

大江:WBSも多くの方に見ていただいてるんですが、その中でも応募しようかなと今思ってくださる方がいるといいなと思います。

野口:私自身も石川島播磨重工業(現IHI)でエンジニアとしてずっとやっていましたから、番組を見ていただいているビジネスパーソンの皆さん、サラリーマンの皆さんの経験を活かせる場が宇宙にあるかもしれません。ぜひ応募していただきたいと思います。

多様性は我々の宇宙ミッションのキーワードでもありました。白人、黒人、男性、女性、民間人。そういう意味で多様性に基づく強靭性というんですかね。限られた分野の人だけ集まっていたらブレイクスルーはあり得ないと思っています。

大江:野口さんご自身も新しい宇宙飛行士の像というのを次々に見せてくださっています。その一つとしてYouTubeにも動画をアップされています。

野口:やはり宇宙に親しんでいただかないと始まらないだろうというのが私の考えです。宇宙で私が見てるもの、体験していることをできるだけリアルに伝えたいと思っています。

大江:国として宇宙開発を進めていくためには国民の理解が必要です。その部分で野口さんが担っている役割も大きいですね。

野口:そういう意味では皆さんに国際宇宙ステーションプログラム、それから日本の実験棟「きぼう」の成果を直接伝えていく。そういう意味で(YouTubeが)うまく機能したらいいなと思います。

大江:今、宇宙飛行士の皆さんの活動の拠点となっているのが、国際宇宙ステーション(ISS)ですが、耐用年数を大幅に超えて運用をしていまして、ロシアが撤退する方針を示しています。そうした中、中国は独自の宇宙ステーションの建設にも着手をしています。

野口:中国の存在感はもう全く無視できません。月面においても、中国の探査が非常に進んでいます。現時点では米中対立といいますか、残念ながら今のままでは国際宇宙ステーション計画には入れないため、中国としては独自路線を行くしかない。今後どうなるかわからないんですが、政治的な対立、あるいは人権問題といった問題がクリアになったときに、すぐに解決に向けて動けるように、対話の糸口はしっかり保っておきたいなと考えています。

大江:そうした中で11日にはアメリカの宇宙旅行会社ヴァージンギャラクティックが、有人宇宙船の試験飛行に成功しました。

野口:今回6人乗りということで人数的にも非常に多いですけれども、非常にスムーズな運用だったということで、本当に皆さんお疲れ様でした、それから宇宙飛行おめでとうございますという気持ちでいっぱいです。民間宇宙飛行、観光旅行も含めて、一気にいろんな企業の努力が花を開く、そういう時代にいると思います。

大江:野口さんご自身、この先の目標は何ですか。

野口:自分自身としては挑戦を続けていきたい。もしかしたら月に行くチャンスが来るかもしれませんし、水先案内人、宇宙ガイドとして、より多くの人たちを宇宙に連れて行く仕事が回ってくるかもしれない。いずれにしても、宇宙飛行士としてまだまだ頑張っていきたいと思っています。

ワールドビジネスサテライト


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