高級外車メーカーも注目!ボロボロの革製品を復活させるイケオジYOUの神業に迫る:YOUは何しに日本へ?

公開: 更新: テレ東プラス

日本を訪れる外国人たちを、空港や街でアポなしインタビュー! そのまま密着取材を行う「YOUは何しに日本へ?」(毎週月曜夜6時25分~)。今回のテーマは、「YOUが大変身!刺激的ビフォーアフターSP」。見事な変身に驚きっぱなしの95分で、はたしてどんな面白YOUに出会えるのか?

you_20210712_01.jpg
空港を飛び出し、日本全国の市町村で面白YOUをガチ捜索する「出張YOU」!

今回の出張先は、人口約4万9,000(うち在住YOUは911)人で、面積の約8割が森林(※2021年6月末時点)という自然豊かな富山県南砺(なんと)市。ここには合掌造りの家屋が残る世界遺産「相倉合掌造り集落」があり、1年を通して日本の原風景を堪能できる。また昔ながらの堅豆腐「五箇山豆腐」や、YOU が集うご当地フェス「スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド」も人気だ。

you_20210712_02.jpg
とはいえ、番組Dが密着取材できないまま4日が過ぎた頃、悪天候の中でついにYOUを知る近隣の方との出会いが! お友だちの娘さんのご主人ということで、さっそく連絡を取ってくださったのでお礼を伝え、翌日に教えていただいた場所へ。

到着して声をかけると、なんと素敵なイケオジが登場! 車やソファなどが雑然と置かれたスペースがYOUの仕事場で、YOUは革の修理職人。今も50年前の革張りイスを修理中だが、「僕は張り替えずに直すんだ」という。張り替えずにって、そんなこと可能なの?

you_20210712_03.jpg
どんなに革がボロボロでも、特別なものを使えば修復できるらしい。リペア前後の写真を見るとたしかに! 使用感たっぷりのイスも、まるで新品のよう~! 番組Dが「どうやって...」と、あ然としていると「秘密のテクニックだよ」とニッコリ。これはスゴいYOUかも!!

you_20210712_04.jpg
するとそこへ、叔父のソファの修理を依頼に来たという伊藤さんの姿が。持ち込まれたおよそ40年前のソファは、叔父が座ったときに手で引っかくクセがあるそうで、とくに肘掛け部分の損傷が激しい。修理は張り替えではなく、もともとの革を活かしたいと希望している。伊藤さんご本人も張り替え専門の家具修理業者で、その道のプロに依頼に来たというわけだ。「これは忙しくなるぞ! 楽しみだ」とノリノリのYOUに取材をお願いすると快諾してもらえたので、あらためてオーストラリア出身のドナルド(以下、ドン)さん(62歳)に密着決定!

you_20210712_05.jpg
伊藤さんからの正式な依頼品は、叔父が結婚を機に購入した3点のソファセット。40年間家族団らんの時間を支えてきたが、もうボロボロだ。いったい匠YOUはどうやって直すのか!?

というわけで、さっそく弟子の航大さんと修理開始!

まずは人が体を洗うための手袋を使って、優しく念入りに革を洗っていく。すると洗い終わった後のクリーニング剤の水は、ドス黒い汚水に! ドンさんは「良い修理は掃除から。丸2日掃除することもあるよ」という、大切な工程だ。

you_20210712_06.jpg
続いて、劣化した革の表面に白い液体を摺りこむ。「これはバインダーっていって、革を強くしてくれるんだ。(革の中の)繊維を引き締めて張りが出るんだよ」。するとバインダーが浸透して、塗る前と後ではこんなに差が! "塗る"とひと言でいっても、30年の職人歴があるドンさんだからできる技で、一般には超難しい工程。また、使う薬剤はヨーロッパ各国(イタリア、オランダ、イギリス等)から独自に仕入れた特別なもので、バインダーもクリーニング剤も、ドンさんが作ったオリジナルなのだとか。

you_20210712_07.jpg
こうして塩梅を見ながら、革の質感を大切に7時間以上もバインダーを塗り続けるドンさんに、番組Dが「張り替えたほうが正直楽なんですよね?」と質問。すると苦笑して「これが僕のこだわりなんだ。革は張り替えたほうが正直楽だよ。でもその革には家族の想いが詰まっている。だから僕は修理が好きなんだ」と、修理にこだわる理由を教えてくれた。

そんなドンさんが修理を始めたキッカケは、家具職人の家に生まれたことに始まる。放課後や週末は、父の作業場で家具作りを見るのが好きだった。そんなある日、道端に捨てられたソファを見つけ、なぜ直せるのに捨てるのか、と疑問を持つように。そこで自分で直そうと思い立ち、修理の技術を学ぶために革産業の本場・欧州へ。12年間学び、地元に戻って開業すると、革を張り替えない修理が評判になり、なんと高級車メーカーからも依頼が! そして3年ほど前に妻の故郷の南砺市に移住した。

you_20210712_08.jpg
ドンさんは、自ら修理した革ソファのアフターケアにも出向く。30年以上前のソファの修理を、家具店の薦めでドンさんに依頼した林さんも顧客のひとり。ドンさんはたしかな腕と愛嬌で、南砺市で評判の職人なのだ。

you_20210712_09.jpg
翌日は、家族3人でお出掛け。車でやってきたのは地元の川。そして網とバケツを手に息子と始めたのは、魚釣り?...と思ったら、ゴミ拾い! この日は川掃除の地域ボランティアに、家族と参加したのだ。「川を流れる水の音は世界一いい音だと思う。川も革も世界で一番美しいよ」とドンさん。とにかく「かわ」と、「かわ」をキレイにするのが好きなのだ。

you_20210712_10.jpg
その後はまた作業に戻り、いよいよ最難関の穴の修理にかかった。中に生地を埋め、伸縮性のあるのりで生地と革をくっつけ、ていねいに糸で縫っていく。

翌日には修理部分が乾いて穴が目立たなくなっていた。ここで秘密道具が登場! 傷んでボコボコの表面に「スタッコ」という革用の充填剤を塗りこんでいく。1回に塗る量は0.5ミリ以下と厳密で、「ほじって革がなくなっちゃっているから、これが唯一の方法だよ」という。

you_20210712_11.jpg

you_20210712_12.jpg
修理開始から8日後、ソファを納品に向かうと...、どこにも傷跡が見えないソファに「なんだこりゃ...スゲェなぁ」と、伊藤さんはあ然。ビフォーアフターを比較してみると、傷だらけだった革がまるで新品のように激変! これだけでもスゴいのに、ドンさんはサプライズギフトまで用意。

それは、同じ風合いの革で作った小さな肘掛けカバー。叔父さんがまた革をほじっても大丈夫なよう、手芸が得意な義母が手作りしてくれたのだ。この完璧な仕上がりと粋なサプライズに、伊藤さんは「(叔父は)もう~完璧に喜ぶと思います」と大感激だ。

後日、伊藤さんの叔父さんからビデオレターが! 「これだけ直るとは思わんもんね。こんで、もう一生もんやね」と、喜びの声を聞けたところで密着は終了。

「ソファは家族の一員みたいなもので、みんなの喜ぶ顔もうれしいし、何より依頼者がまたソファと過ごせることが一番。一生この仕事をやっていくよ」と、ドンさん。やっぱりカッコいい~! これからも革はYOUに任せた!

PICK UP