スターバックス コーヒー ジャパンが「座敷スタバ」などを展開する目的は?

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スターバックス コーヒー ジャパンのCEO水口貴文氏が、6月24日放送の『カンブリア宮殿』(テレビ東京系、毎週木曜23:06~)に出演する。

同番組は、村上龍小池栄子が“平成カンブリア紀の経済人”をゲストに迎え、インタビューを行う大人のためのトーク・ライブ・ショー。6月10日の放送には、木村屋總本店の木村光伯社長が出演。コロナ禍で業績を落とす中、創業以来初めての新業態にも着手。152年の歴史を持つ老舗の新たな挑戦について伺った。

今回は、競争が激しいカフェ業界の中でトップの座に君臨し、順調に売り上げを伸ばしてきたスターバックス コーヒー ジャパンの独自の戦略に迫る。

■地元に誇りをもたらす独自戦略

風情ある街並みで愛される京都「二寧坂」。古くからの町屋が立ち並ぶ中、大正期に建てられた築100年の日本家屋が話題のスポットに。ここは、靴を脱ぎ、畳の間に座ってコーヒーを飲む、世界初の「座敷スタバ」だ。10年もの時間をかけて地域住民などの理解を得ることで、古い町屋を改修し、2017年にようやく出店した。

また、鹿児島では、登録有形文化財にも指定されている旧薩摩藩主・島津家ゆかりの建物を店舗に。目の前には桜島が望める好立地だ。スターバックス コーヒー ジャパンでは、こうした地方にある象徴的な建物を活用した店舗を「リージョナルランドマークストア」と銘打ち、全国で個性的な店を展開している。目的は店を通して地域文化を発信し、かつ地元の人達のコミュニティの場を提供することだ。

一方、東京のスタバでは客のニーズに合わせた新たなスタイルの店舗も……。さらに銀座では在宅勤務が一般化している潮流を受け、個室で仕事利用できるビジネスマン向け店舗を出店。客が喜ぶ快適な空間を作った。時代とともに変容し続けるスターバックス コーヒー ジャパン。コロナ禍でも勢いが止まらないその強さと、知られざる独自戦略に迫る。

■家業での苦悩とシュルツの理念が活かされた店作り

スタバの日本への進出は1996年、東京の銀座が始まりだった。現社長の水口氏は日本の大学を卒業した後、傾きかけた家業の靴製造会社で働いたり、ルイヴィトン・ジャパン傘下のロエベ ジャパンのCEOを務めたりと、異色の経歴の持ち主。ある時、スターバックスの創業者、ハワード・シュルツの本に出会い、感銘を受ける。それは、「人を大切にする」というシュルツの理念だった。

2014年、水口氏はスターバックス コーヒー ジャパンから打診を受けCOOに。その2年後にはCEO就任。「人を大切にする」理念を受け継ぎ、経営にあたっている。その「人を大切にする」理念が具現化した店が東京の国立駅にオープン。そこでは手話や筆談で接客。スターバックス コーヒー ジャパンでは障害があるスタッフがいるが、それぞれが「自分らしく働ける店」としてテスト販売を重ね、オープンにこぎつけた。従業員の意向を店舗運営に反映し、スターバックス コーヒー ジャパンは業績を伸ばし続けている。

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