京都サンガを悩ませた「西京極ウェザー」に打ち勝つ!専属天気予報士の役割

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京都サンガF.C.オフィシャルウェザーアドバイザー 前田智宏
京都サンガF.C.オフィシャルウェザーアドバイザー 前田智宏

京都サンガF.C.のオフィシャルウェザーアドバイザーの前田智宏が、6月19日放送のサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:20~)にゲスト出演。サッカーの試合に大きな影響を与える天気について考えていく。

番組MCの勝村政信と番組アナリストの福田正博も知らなかったというオフィシャルウェザーアドバイザー。ラグビーでは、前半後半の天気・気温・風向きなどの情報を気象予報士が収集し、リオデジャネイロオリンピックやラグビーワールドカップでもチーム戦術に活かされ結果を残した。

この役割をJリーグでは、京都サンガが初導入。京都は盆地で、夏は蒸し暑く、冬は寒い。特に以前ホームスタジアムだった西京極スタジアムは、試合中にゲリラ豪雨に見舞われやすく「西京極ウェザー」と呼ばれることも。前田はそれを克服するために招聘されたという。

昨シーズンまで京都サンガのキャプテンを務めた安藤淳は「前田さんの情報を得てスタッフが雨の状況を確かめながらボールの転がりをテストして、前日ミーティングで雨・風・湿度の情報を選手に伝えている。前田さんの存在はチームの戦術の一部」と重要性を説明。この情報が、選手のパフォーマンスを発揮するのに欠かせないスパイク選びなどにも活かされている。

安藤からの賛辞を受けて前田は「そういって貰えるのはめちゃくちゃ嬉しい!」と声を弾ませつつ、「勿論、チームの実力がほとんどだと思いますが、そこにスパイスをちょっと足す形で力になれていたら」「1時間に1mmと10mmの雨ではグラウンドのコンディションは変わってくる。降ったりやんだりするのか、振り続けるのか細かな情報も提供していきたい」と話した。前田の活動は、雨天時のチーム好調は戦績にも表れおり、2011~2018年の33試合中12勝(勝率35%)と比べ、前田が加入した2019~2021年は11試合中7勝(勝率64%)と上昇している。

また、前田は試合中に時折起こるという「風の変わり目」に注目。「海に近いスタジアムだと海風から陸風に変わることがある。試合を通してみた時に、どんな変化があるかが重要になるのではないか」と話し、福田も「風をうまく利用し、味方につけた方が上手く試合を進められる」と語った。

そのほか、京都サンガでは、雨中でも声援を送り続けるサポーターも快適に過ごせるように様々な対策を用意。傘を使用しながら観戦できるエリア「アンブレラdeサッカー」、試合後に濡れた衣服の着替えが可能な「お着換えテント」、荷物が濡れないようにビニール袋の配布「紫袋」など、共に戦う仲間のために最善を尽くしている。

さらに前田は、サポーターに向けても試合を楽しく観戦するための天気予報ツイートを自筆のイラストと共に公開。朝5時に起きて、気象庁が発表する最新のデータを分析した上で投稿している。実は、現在前田は無報酬でアドバイザーとして活動しているのだが「サンガというチームに関わることで力になれているのは喜ばしいこと。名誉職ですね」と笑っていた。

続いて、雨が多くなるとサッカー選手だけでなく多くの人を悩ませる「天気痛」の話題に。雨が近づくと気圧の変化によって頭痛や関節痛、古傷の痛みなどを起こす。直接的な痛みだけでなく、そのストレスだけでも集中力を削がれるなど、競技や生活に影響を及ぼしている。

健康気象アドバイザー(気象が原因で発症する病気の知識を備えたスペシャリスト)の資格も持つ前田が、愛知医科大学の佐藤純先生から教わったという予防法を伝授。まず1つが耳のマッサージ。天気痛の原因は「低気圧の接近による気圧の変化を内耳の気圧センサーが敏感に捉えること」だと言い、内耳の過剰反応を抑えるための「くるくる耳マッサージ」を1日3回行うことで血流が良くなり、効果が得られるという。と

<くるくる耳マッサージ方法>
・両耳をつまんで上に5秒
・両耳をつまんで横に5秒
・両耳をつまんで下に5秒
・両耳を横に引っ張りながら後ろに5回円を描く
・耳を上下半分に折りたたむように5秒曲げる
・手のひらで耳を覆いうしろにゆっくり5回まわす

そして、もう一つ効果的なのが、酔い止め。気圧変化で過剰に反応した内耳の感覚を少し抑える効果があるという。

梅雨が明け本格的な夏がやってくると心配になる熱中症対策も紹介。気温に注目が行きがちだが湿度の管理が大切で、「湿度が高いと汗が乾きづらく、体内に熱がこもり熱中症の原因となる」という。「試合観戦中にもこまめな水分補給を言われているが、外でスポーツをしている時は、少なくとも20~30分に1回は200mlの水分補給が必要」と伝えた。

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