金田喜稔「やる、見る、語るを揃えたい」大人のサッカーで目指すもの

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左から竹崎由佳、勝村政信、金田喜稔、福田正博
左から竹崎由佳、勝村政信、金田喜稔、福田正博

サッカー元日本代表の金田喜稔が、5月29日放送のサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:20~)にゲスト出演。今、大人にサッカーを教えるワケを語った。

番組MCの勝村政信が「神」とあがめ、現役時代は「ドリブルに入ったら誰も取れなかった」と大絶賛する金田。若くして日本代表に選出され、19歳119日で決めた日本代表最年少ゴールは40年以上たった今も破られていない。

そんな金田が会長を務めるのが日本サッカー名蹴会。ここでは日本代表経験者が全国でサッカーの魅力を伝える活動をしており、その中で最も力を入れているのがシニアサッカーだ。番組が取材したサッカー教室「大人のサッカークリニック」の参加者は、40代~50代が中心で、中には60代や女性の姿も。天才ドリブラーとして名を馳せた金田が、その技術を惜しみなく伝えていた。

しかし、なぜ大人たちに指導するのか? 金田は「中学、高校、大学でもうちょっとやりたかったにも関わらず、同級生、先輩、コーチの関係、あるいは経済的な事情などでサッカーから離れなければならなかった人が結構いて、セカンドライフとして思い切りサッカーをしたいと考えている大人が多いことに気がついた」と言い、その環境を整えたかったという。

実際、一度サッカーから離れたものの、このクリニックの存在を知って復帰した参加者は多い。そのほかにも「チームに入っていなくても、ここは個人で集まってサッカーができる」「健康維持が目的」「引っ越してきてフットサルを探していたら見つけた」「未経験でも動き方を教えてもらえて助かっている」と、様々な理由の参加者たちがサッカーを楽しめる場となっている。

金田は「体験してもらうことで、できなかったことができるようになったとか。そこに繋がることを提供していこうと思っている。ゲームの中で“オッ!”という体感をしてもらえたら嬉しい。頭を使ったトレーニングと体を使ったトレーニングを両立させて、思った瞬間に体を動かせるようになれたら」と活動への思いを語った。

そしてこれらの活動は、免疫力の獲得にも繋がっているという。免疫力を上げるには基礎体温をあげることが重要で、それには筋肉が必要。筋肉はヘソから下に多く付くため、サッカーは合っていると言い、「体温が1度上がれば免疫力は25%くらい上がる。健康寿命の促進に繋がる場所」と解説した。

また、シニアサッカーは2000年度の196チームから2020年度は1276チームへ、選手の数は4669人から39588人と増加している。この状況について金田は「年配になった方々も健康寿命が延びて、経験はないけれどサッカーをやってみたいとか、親子のコミュニケーションのためにサッカーをやりたいという人もまわりにたくさんいる。生活の中にスポーツを取り入れ始めている人もいるのではないか」と分析した。

実際、40~70代まで10歳刻みでシニアサッカーの全国大会が行われるなど急速に広がっている。この傾向は日本だけでなく世界でも見られ、ハワイには男女40~70代の各世代のチームが全米のみならず世界から集まって試合を開催。イギリスには地方ごとに50歳以上のプレミアリーグがあり、ドイツでもシニアカップ戦が繰り広げられている。そして、ウォーキングサッカーのワールドカップが開催されるなどシニアを中心に盛り上がりを見せている。

シニアがサッカーをすることのメリットは何か? 自身もシニアサッカーに参加し、日常的にプレーをしている番組MCの勝村は「ただ蹴りたい。みんなで集まってサッカーがしたいだけ。コミュニティが広がったり、健康維持に繋がったりというメリットに後から気づいていく」と話した。

金田も「ボールがあったらやりたいとか、やっている仲間がいたら参加したいとか、そういう思いを持ってくれる人を全国に増やしたい。大人になってもうまくなれるという自信を持ってほしい。サッカーを通じての仲間ができてくるので、彼らと飯食ったり、話したり。サッカーを“やる、見る、語る”を揃えていけたら」と今後の抱負を語っていた。

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