西島秀俊&濱田岳がお出迎え!「“行きたい”と思っていただけるようなドラマを目指しました」『シェフは名探偵』インタビュー

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西島秀俊さんが主演を務める『シェフは名探偵』(テレビ東京系、毎週月曜23:06~※初回放送は5分拡大)が、5月31日(月)よりスタートします。

近藤史恵による人気小説シリーズ「タルト・タタンの夢」「ヴァン・ショーをあなたに」「マカロンはマカロン」を原作とした本作は、レストラン「ビストロ・パ・マル」を舞台に、西島さん演じるシェフ・三舟忍が、人並み外れた洞察力で、訪れた客たちが巻き込まれた事件や不可解な出来事の謎を解いていくグルメミステリー。そんな三舟のもとで、ギャルソンとして働く高築智行役を濱田岳さんが演じます。

撮影を終え、充実の表情を見せるおふたりは、インタビュー中も息ぴったり。お互いの印象から撮影秘話まで、和気あいあいと語ってくれました。

金子ゆき(石井杏奈)、三舟忍(西島秀俊)、高築智行(濱田岳)
金子ゆき(石井杏奈)、三舟忍(西島秀俊)、高築智行(濱田岳)

――出演が決まった時のお気持ちは?

西島:木村(ひさし)監督にまた声をかけていただいて、すごく嬉しかったですね。岳くんとは、1年くらい前に共演したんですけど(『磯野家の人々~20年後のサザエさん~』、フジテレビ系)、絡みがほとんどなくて。もう1回やりたいなと個人的に思っていたので、本当に楽しみでした。

濱田:僕も木村監督とはお仕事したことがあったので、木村組が楽しいことは知っていました。西島さんとガッツリ共演できるのも嬉しいことでしたし、ぜひお願いします、と。

――演じる役柄について聞かせてください。

西島:三舟はフランス料理に関しては天才的。そして、お節介な人ですね。お店に来た人たちの悩みを勝手に汲み取って、勝手に解決しようとするっていう(笑)。

シェフ・三舟忍(西島秀俊)
シェフ・三舟忍(西島秀俊)

濱田:高築は、勤めていた会社をクビになって、人生の区切りをつけようとして「ビストロ・パ・マル」に行くんです。それをきっかけに三舟シェフに見初められて、ギャルソンとして働くことになった男です。

高築智行(濱田岳)
高築智行(濱田岳)

――内面的にはどんな人物だと捉えて、何を意識して演じられましたか?

西島:料理を通して、人の悩みや悲しみを見抜いて聞き出す役ですが、ただ興味本位で相手の心を探るキャラクターではなくて。一緒に悲しみや悩みを共有する、共感する力の強いキャラクターにしたいなと思っていました。だから、普通の探偵のように真実を求めて突き進むというよりは、まず「お客様を大切にしたい」という思いがある。その中で、問題に一緒に向かっていったり、悲しみに寄り添ったりっていうところを大切に演じました。

濱田:高築は本当にお人好しで、心優しいキャラクターなんです。むしろ、そこだけかなって思えるくらい、その部分は大事にしましたね。お客様の痛みをそのまま自分の痛みに感じられるほど優しくて、不器用な人。だから優しさ転じて、ある種、三舟シェフと同じくらいお節介なやつなのかもしれないです。

――ドラマということで、原作のキャラクターに加えたエッセンスはありますか?

西島:衣装合わせのときに、(原作に寄せて)長い髪をつけてみたんですけど、まったく似合わなくて(笑)。髭もつけると、めちゃくちゃ薄汚い感じになっちゃって、シェフにまったく見えなかったんですよ。現場全体が「これはイカン」と(笑)。なるべく原作に沿ってやろうと思ったんですけど、難しいところもあったんですよね。ただ、原作はかなり寡黙な、ちょっと怖そうに見える人物なんですけど、実際にやってみるとお客さんの懐に入っていくところもあるので、ちょっと変わった面白いキャラクターになっているかなと思います。

濱田:僕は、ドラマならではのエッセンスは、木村監督とご一緒するっていう時点で安心してお任せしたというか。木村監督が絶対に足してくるのがわかっていたし、実際に撮影が始まってみたら、その日撮る分の撮影稿には、びっしりと台詞が足されていました。

――演者さんからのアドリブもあったんですか?

西島:岳くんぐらいですかね。

濱田:……あれ?(笑)。

西島:あはは(笑)。岳くんはどんどんアドリブが出ますけど、神尾佑さん、僕、石井杏奈ちゃんは、ほぼ監督に言われるがままにやっていましたね。

金子ゆき(石井杏奈)、志村洋二(神尾佑)
金子ゆき(石井杏奈)、志村洋二(神尾佑)

――共演されてみて、お互いの印象はいかがでしょうか?

西島:まぁ天才でしょう、岳くんは。全然年齢は下ですけど、本当にすごいと思います。僕と岳くんが「師匠」と呼んでいる西田敏行さんの後を継ぐというか、色々なものを作り出していく力を、岳くんには感じます。何よりも、一緒に演技をしていて楽しいです。

濱田:大変ありがたいお言葉です。西島さんが、人を惹きつける魅力的な俳優さんだというのは、言わずもがなみんなが認めていることで。今回、三舟シェフの台詞量が尋常じゃなくて、スケジュールも本当に大変な現場だったんですけど、それを日々こなされる姿を見て感動したというか、すごいなって素直に思いました。ハードな役柄の印象もあったけど、実際の西島さんは現場でもずっとニコニコしているし、(笑い上戸の)ゲラなので、なんてことないところで笑い始めて……。

西島:なんてことないって(笑)。

濱田:すごく人間味があって、一層好きになりました。

――ワンシチュエーションドラマということで、意識したことはありますか?

西島:正直あまりなかったです。ただ、ワンシチュエーションだから台詞の量がすごいんですね。でも、ゲストの方も全員が完璧に覚えていて、テストから完璧にやっていました。キャスト、それからスタッフ、皆さん素晴らしいメンバーが揃っていたので、結果的にワンシチュエーションでやれたことが、作品にとっても良かったと思っています。

濱田:ワンシチュエーションならではというより、このドラマならではなんですけど、1話の中に、2つ解決しなきゃいけないことが起こるんですね。なので、毎日クライマックスのシーンを撮らなきゃいけないんです。今までに見たことないドラマだなとも思いますし、僕ら自身も初めての分量を毎日やっていました。本当にキャストの方々の能力はもちろん、お人柄にも恵まれて、スタッフの皆様の人間力にも恵まれて。長い時間、同じ場所にこもって撮影していたので、もしかしたら僕が一番イライラしてたかもしれません。「こんなに地下に閉じこもってたら、曜日感覚も何もないから、金曜日はカレーを出せ!」とか、そういう軽口をずっとたたいていた記憶があります(笑)。

――(笑)。今作を作る上でのおもしろみは、どこに感じましたか?

西島:レギュラーメンバーは奇跡のバランスだなと思っているんですけど、ゲストの方も素晴らしい方たちがたくさん出てくださったんですよ。そういう方々と、レストランで何気ない日常の悩みなどについてやりとりできたのが、やっぱり一番楽しかったかな。すごく演じ甲斐があったし、毎日が楽しかったです。

濱田:高築は、フロアで動き回っていなきゃならないので、常に共演者の方々のことを考えていた気がします。広い画も多いので、ふだん以上に皆様のことを考えていないと、ドラマの邪魔をしちゃうなと思って。すごく勉強になりました。

――撮影現場で、印象に残っているエピソードを聞かせてください。

志村洋二(神尾佑)、三舟忍(西島秀俊)
志村洋二(神尾佑)、三舟忍(西島秀俊)

西島:いっぱいあるんですけど、これは言っていいのか……う~ん。

濱田:何を言おうとしているかだけ、教えてもらってもいいですか?(笑)。

西島:いや、神尾さんはふだん栄養ドリンクをまったく飲まないんですけど、「疲れたから飲む」と言って飲んだら、ものすごいテンションになっちゃって。かと思ったら、あっという間にそのテンションが下がったっていう(笑)。

濱田:最年長なのに、内臓が一番ピュアだったという話(笑)。でも、本当に毎日、何かしらで大笑いしていて、学校に通ってる感覚を思い出すというか。つらいけど、話題に乗り遅れたくないから行く、みたいな。それは、もちろん皆さんの人柄もあるし、木村監督の演出もあるんですよね。

西島:神尾さんと杏奈ちゃんが、「こんな人だったっけ?」と思うような演技をしていて、それが本当にチャーミング。本人たちは不安がっていましたけど、みんなで「大丈夫、どうせカットされるから」って言いながら。でも、全部残っていました(笑)。すごく素敵です。

――最後に、視聴者のみなさんへ作品の見どころなど、メッセージをお願いします。

西島:まず、料理がとてもおいしそうなドラマです。そして、登場人物それぞれが生きていれば抱えるような悩みを持っていて、それを「ビストロ・パ・マル」のメンバーが解決したり、新しい一歩を踏み出せるようにしたり。僕たちは、「こういうレストランが実際にあったら、行きたいな」と思っていただけるようなドラマ、そういうレストランにしたいなと思って撮影していました。今、色々と大変な時期ですけど、仕事終わりに、ちょっと温かい料理と温かいストーリーを見て、ほっこりしていただけたらなと思います。

濱田:飯テロ、コメディ、人情劇、ワンシチュエーション……本当に盛りだくさん。しかも、1話に2個も問題が出てくる。

西島:何回言うのよ(笑)。でも、すごい数を解決したもんね。

濱田:そうですよ。やめときゃいいのに、ずーっと推理してるから。ただ楽しく食べて、帰っていただけばいいのに。

西島:ほんとだよね、お節介(笑)。

濱田:そう、お節介(笑)。なかなか見ることがない、楽しい作品になっています。ぜひ、楽しんでいただけたらと思っています。

(取材・文:勝浦阿津希)

<第1話あらすじ 5月31日放送>
高築智行(濱田)はひょんなことから、三舟忍(西島)がシェフを務めるレストラン「ビストロ・パ・マル」のギャルソンになるが、働き始めて早々、迷惑な客が次々と来店し困惑する。

三舟忍(西島秀俊)
三舟忍(西島秀俊)

例えば、好き嫌いが激しく何かと注文をつけてくる粕屋孝一、恋人らしき川出恵子と口論した挙句デザートにダメ出しする鶴岡正……。そんな彼らの背後にある真実を、三舟はお節介と洞察力で解き明かしていく。

金子ゆき(石井杏奈)、高築智行(濱田岳)
金子ゆき(石井杏奈)、高築智行(濱田岳)

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