川崎フロンターレ鬼木達監督、勝利の3原則「1試合3得点」「NOスタメン固定」「交代枠は使い切る」

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川崎フロンターレ 鬼木達監督
川崎フロンターレ 鬼木達監督

2020シーズンのJ1リーグを圧倒的強さで優勝した川崎フロンターレの鬼木達監督が12月26日(土)放送のサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:20~)にゲスト出演。魅了して勝つための三原則に迫った。

2017年にフロンターレに鬼木監督が就任すると、同年に悲願のJ1初優勝、18年には連覇。19年にルヴァンカップ初優勝。そして、今年は、現在のレギュレーションでのJリーグ歴代最多得点、最多勝ち点、最速優勝、12連勝など、様々な記録を打ち立て2年ぶり3度目のJ1制覇。Jリーグのベストイレブンにも史上最多の9選手が選ばれるなど、Jリーグ歴代最強チームの呼び声も高い。

番組では、ブレインスカウターの佐藤美希が、今シーズンのベストイレブンに選ばれたキャプテンの谷口彰悟と新人最多の13点を決めた三苫薫にインタビュー。谷口は「本当にそこを求めるのというような高い要求もあります。“そこのパス、もう一つ早く蹴れたら前に出せたよね”とか、それくらい細かいことを“お前らだったらできる”といった感じで」と指導法を明かし、三苫は「練習の合間や練習後にもコミュニケーションとってくれますし、そういったところでもモチベーションはあがります」と話した。

そんな鬼木のサッカー哲学とは? 鬼木は「魅力あるサッカーをして、それでも勝つこと」と、質と結果の両立を掲げ、番組アナリストの北澤豪は「そこが一番難しいところ。それが合わさったところが今シーズン素晴らしかった」と絶賛。さらに鬼木は「勝つことと魅了することは自分の中では一緒だと思っていて、魅了できないと勝ちに繋がっていかない。そういう思いで戦っています」と語り、その思いは選手たちとも共有できているという。

そこで番組は、魅了して勝つための「勝利の三原則」にフォーカス。まずは「1試合3得点」について。北澤は「守ってくるチームに対して、その上を行かなければならない」と難しさを表現。鬼木は「選手もクラブも得点に対してこだわりがあるので、(非常に高い目標に対して)ネガティブな感じはなくて、むしろ、“3点取った後もまだまだ行くか!”という姿勢がある。そこは勝つことと魅了しようということが繋がっていると思います」といって相乗効果があると話した。

そして、2つ目の原則は「スタメンは固定しない」。北澤は、かつて所属したヴェルディ川崎を例に挙げ「僕らの時は中心選手がいた。だけど今のフロンターレはどこにそれがあるのかわからない。誰でも持っている感じがするのが強み」と分析。実際、小林悠の14得点をはじめ、レアンドロ・ダミアンと三苫の13得点、家長昭博の11得点と多くの選手が得点を重ねた。

さらに第1節から34節まで連続して同じスタメンだったのはわずか3試合。小林でさえ34試合中13試合しかスタメン出場していない。毎回違うメンバーで結果を出せた要因について鬼木は「今年に関しては連戦があったのでコンディションは見ていますが、練習のパフォーマンスをしっかり見極めながら。そして、今年は選手に対して、スタメンでもサブでも1試合に対して戦っていこうという話をしていました。選手は割り切れないとは思いますが、それでもチームのためにやってくれた」と選手への感謝を伝えた。

そして3つ目の原則が「交代枠を使い切る」こと。今シーズンはコロナ禍による過密日程で、選手の負担を減らすため交代枠が3人から5人に増加(交代は3回まで)となり、鬼木は31試合で交代枠を使い切るなど最大限に活用。「お客さんにも色んな選手を見てもらえる。そのうえで“勝利”は外せないと考えました」と狙いを明かした。そして、選手たちには、前半に全力で頑張った選手がいるからこそ、途中出場の選手が活きやすくなっていることを伝えていると述べ「スタートもサブも一緒になって戦えている」と話した。また、目標の数字についても「伝えた以上に選手同士が数字というものを意識していったので、それが相乗効果になったと思います」とチームが好調な要因を語った。

システムの変更にも言及。鬼木は「既存の選手と新しい選手のバランスを見て、また、攻撃的にやりたいという思いもあった」と4-3-3を採用した理由を明かし、「前に人数をかけやすい。あとは中の攻撃はある程度やれていましたが、幅という意味では特徴を出して使うほどはやっていなかったので、両方いけるならと考えてやりはじめました」とサイドにも重きを置いた戦術についても話した。

そして、川崎フロンターレ一筋で18年にわたりチームを引っ張ってきた中村憲剛の引退を知った時の心境を聞かれると「監督になった時からいつかそういう時が来るだろうと誰よりも覚悟はしていました。それでも今年じゃないだろうという思いが強かった。そのことは本人にも伝えましたが意志が固かったです。FC東京戦の前くらいに話してくれて、その翌日に引退を発表することを知っていたので、そのタイミングで点を取るのはすごい」と正直な思いを伝えた。

鬼木が目指すものは?「サッカーの魅力を伝え続けられるチームでありたいですし、サッカー界を盛り上げていきたい。そういう考えで今年はスタートしたのでそれを続けていきたいです」と語り、番組MCの勝村政信は「フロンターレの中で見えたのは日本のサッカーの一番いいところ、目指すべきところなのかなって。ワールドカップで優勝するための形がここにあるんじゃないかなって、監督の話を聞いて改めて思いました」と大絶賛。鬼木も「そのようにチームのことを言ってもらえてありがたいです」と笑顔を見せていた。

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