ユヴェントスが3つの大改革!地元トリノを街づくり

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左から片渕茜アナ、勝村政信、日向坂46・影山優佳、名波浩
左から片渕茜アナ、勝村政信、日向坂46・影山優佳、名波浩

セリエAを9連覇中、イタリアの名門ユヴェントスFCをサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:20~)が2週連続で特集。12月5日の第2週では、クラブの経営面や地元トリノを舞台に繰り広げられる大改革に迫った。

2019年、世界のサッカークラブの収益ランキングトップ10のうち、スペインとイングランドのクラブが7つを占める中、ユヴェントスはイタリアからは唯一となる10位にランクインを果たした。

ここまで来るのは決して平たんな道のりではなかった。2006年のカルチョ・スキャンダルで組織的な審判の買収などの不正が発覚し、ユヴェントスは王座はく奪とセリエBへの降格処分。2010年には122億円の赤字を抱えていた。しかし、これを機にクラブは変革し、2011年のクラブ収益190億円から2019年には収益575億円に急成長を遂げた。

現在のユヴェントスについて、OBでもあるパヴェル・ネドヴェド副会長は「常に新しいことに挑戦しようという姿勢があり、日々の努力を惜しまない企業だと思う」と自己評価。番組アナリストの名波浩は「ユヴェントスはピッチ内外を分け隔てずに一つのクラブとして捉えている。勝ち点と売り上げの両輪が伸びあがっていかないとクラブはうまく行かない」と語り、ユヴェントスは正しい方向を示していると分析した。

革新的な経営に変化できた理由について、9連覇すべてに貢献してきたDFのジョルジオ・キエッリーニは「2010年のアンドレア・アニエッリ会長の就任が契機だった」と振り返り、新スタジアムの建設、首脳陣と監督の刷新が行われ、以前から在籍する選手たちも、その流れに寄り添う形で一変し、現在までの快進撃に繋がったと話した。

特に革新的だったのが「カッコよさの追求」「人が集まるスタジアム」「スタジアムを中心とした街づくり」の3つ。

まずは「カッコよさの追求」。2017年、クラブの伝統でもあるエンブレムをシンプルなロゴに変更。ニューヨーク・ヤンキースのようなファッションアイコンとしても認知されるクラブになることを目指した。アルベルト・ザッケローニ元日本代表監督の通訳を務めた矢野大輔はイタリアからリモート出演で「ファッションにうるさいイタリアでは、物事をカッコいいかどうかで判断するところがある。ユニフォームがカッコいいことも大切な判断基準の1つ」と現地の空気を伝えた。

また、グローバルパートナーシップ責任者のジョルジオ・リッチは、クリスティアーノ・ロナウドの獲得に言及。2億人以上のSNSフォロワーを持つロナウドの影響力はピッチ外でも大きく、「海外市場におけるブランドの認知度を飛躍的に高めた」と語り、ネドヴェド副会長も「彼の入団後、ユヴェントスはすべての面で際立った存在になった」と語り、ピッチ上のパフォーマンスはもちろん、マーケティングの側面から見てもロナウドのユニフォームが累計100万枚売れるなど思惑通りの結果になったと伝えた。

続いて「人が集まるスタジアム」について。以前は、自治体が管理するスタジアムを使用していたが、2011年、クラブ専用のスタジアムを建設。クラブカラーの白と黒で内装まで統一されたスタジアムは観客だけでなく選手をも魅了。ユヴェントスミュージアムとショッピングモールを隣接させることで試合のない日にも人が集まるようになった。これが功を奏し、入場料収入は2010-11シーズンの15億円から2018-19シーズンは83億円と大幅増を達成した。

ここで番組スペシャルアナリストの影山優佳日向坂46)が矢野に、現地のサポーターはクラブの価値やサービスに対して満足しているか尋ねると、矢野は「非常に満足度は高い。エンタメ性の高いスタジアムに仕上がって、ショップも充実。確実に進歩している」と話した。それを聞いて影山も「サッカーはサポーターがいてくれることで成り立っている。勝ち負けだけではなくて、人生の中にあるもの。そういうサポーターの気持ちが気になりました」と語った。

そして3つ目の「スタジアムを中心とした街づくり」。かつて自動車産業で栄え人口100万人を超えていたトリノだが、現在は87万人台に減少。そのトリノをクラブが中心になって、街ごと変えていくプロジェクトが進行している。その名も「Jヴィレッジ構想」。スタジアム周辺の土地を安く借りる代わりにクラブが再開発を行い、地域活性化を目指している。

スタジアムに隣接する医療施設ではトップ選手を治療してきたノウハウを生かし、新加入選手のメディカルチェックはもちろん、一般患者の治療も行っている。さらにスタジアムから徒歩10分の場所にホテルを建設。試合前の選手が宿泊し、一般客の利用も可能だ。

こうした街づくりは地域の雇用創出にもつながっている。セリエAの多くのクラブのスタッフは60~80名程度だが、ユヴェントスは800名ものスタッフを抱えている。矢野は「ここまでの規模を誇るクラブは他にない。アウトソーシングするのではなくて、自分たちでできるだけ抱えて、長期的なビジョンで進めている。いずれは地元の街ですべてが完結するようになるのではないか」とユヴェントスの描く未来像を予想していた。

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