安達清(赤楚衛二)、黒沢優一(町田啓太)

心穏やかに、ただニンマリと。木ドラ25『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(テレビ東京ほか、毎週木曜25:00~)は、木曜深夜に充実した時間をもたらしてくれる。

原作は、通称「チェリまほ」として人気を呼ぶ豊田悠の同名コミック。童貞のまま30歳を迎えたことで“触れた人の心が読める魔法”を手に入れた主人公・安達清が、同期のイケメン・黒沢優一の心を読み、自分への恋心を知ってしまうことで動き出すピュアなラブストーリーだ。

安達清(赤楚衛二)、黒沢優一(町田啓太)
安達清(赤楚衛二)、黒沢優一(町田啓太)

かなり深い時間帯の放送にもかかわらず、放送日には関連ワードが軒並みトレンド入り。民放公式テレビポータル「TVer」の再生数ランキングでも上位に位置するなど、原作ファン、役者ファンを含め、とても平穏にドラマを楽しんでいる人が多い印象である。様々な声も上がりやすいコミック実写化において、なぜ「チェリまほ」はこんなにも支持されているのか。

安達を演じるのは、本作で連ドラ単独初主演となる赤楚衛二。2017年放送の『仮面ライダービルド』(テレビ朝日)で、主人公・桐生戦兎(犬飼貴丈)の相棒・万丈龍我役を演じて注目を浴びると、ドラマ『ねぇ先生、知らないの?』(MBS)で連ドラ初主演(馬場ふみかとW主演)。2020年には映画『思い、思われ、ふり、ふられ』『映像研には手を出すな!』と、話題作への出演が続く人気上昇中の26歳だ。

これまで、高校生役を中心に“イケてる”キャラクターを多く演じてきた赤楚だが、今作では冴えないサラリーマンに様変わり。と同時に、気弱で心優しい安達役で、母性本能をくすぐる可愛さが大爆発。使えるようになった魔法にオドオドしながらも、「自分には相手の気持ちがわかる」と、ちょっとの自信を抱えて行動する様が、とにかく愛くるしい。

その安達に思いを寄せる黒沢に扮するのは、町田啓太劇団EXILEに所属する町田は、『中学聖日記』(TBS)のエリート商社マン役をはじめ、映画『PRINCE OF LEGEND』のナルシストな英語教師、さらには『女子高生の無駄づかい』(テレビ朝日)の女子大生好き担任教師と、繊細なラブストーリーから突き抜けたコメディまでを多彩に演じ分ける。

そんなハイブリッドな町田の詰め合わせとなっているのが、この「チェリまほ」。町田演じる黒沢は、文具会社「豊川」営業部のエースとして、上司から信頼され、女性からモテるパーフェクト男子。しかし、クールな見た目とは裏腹に、心の中は安達への愛でいっぱい。整った顔立ちと、スマートかつ色気のある所作に隠された、安達へのあふれる恋心というギャップがたまらない。

さらに、こちらがあれこれ勘ぐらなくても、安達と黒沢は(黒沢にとっては不本意ながら)感情を細やかに説明してくれるため、ストーリーがとてもわかりやすい。好意を寄せられ戸惑う安達と、興奮と切なさが共存する黒沢、互いの本音が丸わかりだからこそ、2人の純粋な恋模様がより愛おしく思えてくるのだ。

また、BL作品ならではの良さと、ラブストーリーとしてのおもしろさを両立しているのも「チェリまほ」の凄さ。第1話のエレベーターシーンのドキドキ感に始まり、マフラーを通して伝わる黒沢からの愛情、さらに第2話で描かれた、互いに眠れない夜や「黒沢を放っておけない」と奮起する安達など、初々しい恋の進展にキュンキュンしてしまう。

クランクイン前、おふたりにインタビューさせてもらった際には、誠実でかわいらしい弟のような赤楚と、頼れるお兄ちゃんのような町田というほほえましいコンビに「このドラマはおもしろくなりそうだ」とワクワクした。そして、小説家・柘植将人役の浅香航大と、宅配業者・綿矢湊役のゆうたろうを加えた4人が出席した制作発表会見では、ますます和やかで温かな雰囲気に。そんな役者同士の良い関係もまた、作品作りにプラスの影響を与えているのだろう。

22日放送の第3話では、安達と黒沢が急接近。一方で、ついに柘植と湊の胸キュンストーリーも幕が開く。原作が持つ物語の秀逸さを軸に、実写化との親和性の高さ、キャスト同士の相性と丁寧な芝居など、たくさんの条件が重なったことで、視聴者の心を鷲掴みにした「チェリまほ」。お楽しみは、まだまだこれからだ。

(文・nakamura omame)

宅配業者・綿矢湊(ゆうたろう)、小説家・柘植将人(浅香航大)
宅配業者・綿矢湊(ゆうたろう)、小説家・柘植将人(浅香航大)

<第3話 あらすじ>
童貞のまま30歳を迎えた安達(赤楚)は“触れた人の心が読める魔法”を手に入れてしまった。黒沢(町田)の心の声を聞き、自分への好意が本気だと気付いた安達。そんな中六角(草川拓弥超特急)の誘いで会社の皆で飲みに行くことになり、安達と黒沢の距離が急接近!? その頃、柘植(浅香)の家に宅配便が届く。扉を開けると、宅配業者の湊(ゆうたろう)が不愛想に立っていて……。

この記事のライター

nakamura omame

制作会社、WEBサイト編集部、長めの専業主婦期を経てフリーライターに。仕事のモットーは“誰も傷つけない、愛のある原稿に仕上げること”。保育士資格を所有するも、自身の生活にはまったく活かせていない2児の母。滞りなく“テレビっ子”になりつつある小学生の息子たちとともに、日々成長中。

深田恭子が主演を務める木曜劇場『ルパンの娘』(フジテレビ系、毎週木曜22:00~)の第8話が、12月3日に放送。インターネット上では、アニメ『鬼滅の刃』に“似た技”の再登場に多くの反応があった(以下、ネタバレが含まれます)。

ページトップへ
Twitter Facebook