村井チェアマン、日向坂46影山優佳と語った「Jリーグの今と未来」

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左から竹崎由佳、勝村政信、村井満、影山優佳(日向坂46)、都並敏史
左から竹崎由佳、勝村政信、村井満、影山優佳(日向坂46)、都並敏史

Jリーグの村井満チェアマンが、10月3日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:20~)にゲスト出演。感染流行の第一波に襲われていた当時、その裏側でJリーグには何が起きていたのか? そして、Jリーグが進むべき道について語った。

この日の放送には、7月に最年少ゲストとして出演し、番組MCの勝村政信やサッカーファンに大きな衝撃を与えた日向坂46影山優佳がスペシャルアナリストとして再び出演。番組アナリストの都並敏史も「(前回出演時の)オンエアを見ましたが凄かった!」と絶賛。さらに村井も、影山がブログでJリーグ全56クラブを北から順に紹介する企画「影山優佳のWE_LOVE_Jリーグ」を読んでいることを明かし、「10代の女性の感性で“キヅール(いわてグルージャ盛岡のマスコットキャラクター)が可愛い”という視点から、戦術分析や注目選手など、結構なボリュームで書いていますよね?」と微笑んだ。

そしてテーマは新型コロナウイルス対策について。政府は1月28日に指定感染症に指定し、2月26日に感染拡大を受けてイベント開催の自粛要請を出し、4月7日に緊急事態宣言を発令した。そんな中、村井の初動は1月22日、Jリーグ56クラブの社長に全クラブに新型コロナ対策の担当者を置くことを依頼した。1月中旬に中国や香港、東南アジアの友人から直接話を聞いたことで危機感を覚え、早い初動に繋がったという。そして、2月26日のイベント開催の自粛要請が出る前日にJリーグは中断を発表し、3月2日にはプロ野球と新型コロナウイルス対策連絡会議を発足。スポーツ界の団結の輪を一気に広げた。

また6月のリーグ再開に向かっていく中、選手たちの様々な思いにも考えを巡らせた。選手会に話を聞くと「家族も不安がっている」「誰が感染者か分からない中で試合をするのか?」「待っているサポーターの為にも試合がしたい」と様々な声があがり、実行委員会も意見が真っ二つに割れたという。そこで出した結論が、感染者の少ない地域のクラブが多いJ2・J3は6月下旬から、感染者の多い大都市圏のクラブが多いJ1は7月上旬からと段階的な再開を選択した。

そして、選手たちの不安を取り除くことを第一に考え、「Jリーグ検査センター」を導入。1度に3000件のPCR検査ができる国内最大規模の組織を作り、選手・監督・スタッフ・審判が隔週で検査を受け、陰性であることを試合出場の条件に入れた。また、地域の医療機関ではなくJリーグがやることにしたのは、「医療機関によって唾液で採取するところもあれば鼻腔で採取するところもあり、検体採取のルールが異なる中で出場資格を出すのは公平ではないかもしれない。そして、ありえないかもしれないですが、検査結果に手心を加えるようなことがあってはならないとも考えた」と、公正公平を保つことが目的だと話した。

さらに村井は、全選手、スタッフに思いの丈をこめた動画をWebに公開。影山はこの動画を見た時のことを振り返り「J’S THEMEが流れた時は本当に感動して、家で1人泣きしていました」と告白。「ファンに向けてのメッセージにも聞こえて、またイチから頑張るぞ! という気持ちになりました」と勇気づけられたという。

そして、無観客から再開したJリーグは徐々に観客動員の上限を緩和し、5000人、スタジアムの30%、そして9月30日からはクラブの判断で50%にまで引き上げた。「政府が50%だからJリーグも50%というスタンスではありません。これは正解がなく、慎重になりながら開いていくもの。コロナ対策は地域によっても差がある」とフレキシブルな対応の重要性を説いた。また、応援スタイルについても初期は手拍子が声を誘発する可能性を考え禁止としたが、現在は手拍子が声の代わりのスタイルになりつつあり、手を叩いても飛沫は飛ばないということで解禁。「緩和できるものは緩和しようと思っている」と話した。

新型コロナ禍の影響でデジタル化も加速している。まずは選手たちがSNSなどを通じて普段の選手としての表情だけでなく、プライベートな姿など様々な姿を見せてくれる機会が増えた。村井は、Jリーグの持っている資産は「選手」だと語り、「所属する1400人の選手たちは、おそらく東京大学に入るより難しい苦難を乗り越えているはずです。僕らがその裏側にある物語を引き出しきれていないのですが、選手たちが徐々に発信し始めてくれていて、素晴らしい拡散力を持っていると思います」と語った。

また、チェアマン就任以降、トラッキングシステムなどデジタル技術の導入も進めている。試合中の全選手とボールをミサイルの追尾技術で計測し、1人1人の走行距離やスピードなどのデータが得られるシステムを導入。「様々なコンテンツをどれだけ届けられるかが勝負」と語り、「JリーグではAIが90分から面白いシーンを切り出し、クラブやリーグがすぐに拡散できるようなシステムが稼働し始めている」と明かした。

新型コロナ禍において活動ができていないのはアイドルも同じ。影山は、配信ならではの強みを考えた施策としてAR(拡張現実)を使ったライブを開催したと言い、「私たちの前に花火が打ち上がるなどの演出で好評をいただきました。世界観をさらに強めることができたと思います」と語り、サッカーではシュートシーンで選手の足が光って稲妻が走るエフェクトをつけるようなことができるのではないかと提案。このアイデアに勝村は「賛否があると思うけど進むべきだと思う。新規のお客さんを取り込める気がする」と賛同。影山は「ウィズコロナの時代だから始めたのではなくて、将来的な楽しみ方の選択肢の1つになるような気がして楽しみ」と話した。

そして今、取り組むべき課題として差別問題に言及。世界では人種差別が大きな問題になっているが、日本ではコロナ差別が生まれている。村井は「何人かの選手に陽性が出て、子供がいじめられることがありましたし、うちのお店に出入りするなと家族の方が言われるなど、非常に辛い思いをされているケースを多く聞きました。本当に誰もが感染しうる話だし、隠蔽などをせずにしっかり伝えていきつつ、偏見・差別をなくすことをサポーターの皆さんと広げていきたい」と決意を述べていた。

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