精神科医・樺沢紫苑が明かすアウトプット術「教える」「コンフォートゾーン」「全部出す」「メモ」

公開:
精神科医・樺沢紫苑が明かすアウトプット術「教える」「コンフォートゾーン」「全部出す」「メモ」

50万部を超えるベストセラー「アウトプット大全」著者で精神科医の樺沢紫苑が、7月25日放送のサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:20~)にゲスト出演。アスリートやビジネスマンにも求められる「発想力や創造力」を養う4つのポイントを伝えた。

樺沢は「話す、書く、行動する」の3つをアウトプット、「見る、聞く、読む」の3つをインプットと定義。「世の中がAIの時代になっていくと、インプットの能力では絶対に勝てないので、自分で考えて発想する人間ならではの能力が肝心になっていく」と語り、この発想力を養うものこそがアウトプットなのだとか。

しかし、日本人で上手にアウトプットができている人は10%未満。まず樺沢は「人に教えることが大切で、上手に伝えられない点こそが、今の自分に足りていないポイント」と解説。例えば、シュートを打つ瞬間の体のバランスを生徒に質問された際、改めて自身の体の動きなどを客観視し、その感覚を言語化することになる。それは物事を客観的にみる作業と言え、自身にとってもプラスとなる気付きが得られるという。番組アナリストの北澤豪は「引退してから指導を始めてみて、もっと早く指導を始めていたらもっと選手としてうまくなれたと思う」と納得していた。

さらに樺沢は「コンフォートゾーン」と呼ぶ、日常の生活や仕事、いつも会っている人たちなど居心地の良い空間からの脱出を推奨。自分の知らない場所に身を置くことは楽ではないが成長に繋がると話した。それは劇的な変化だけでなく、日常の生活の中でも可能で「少し難しいことにチャンレジすることがコツ」で、筋トレは自分のギリギリのところを練習しないと効果がないと例を挙げた。また、長友佑都内田篤人は、10代の頃に慣れ親しんだポジションからサイドバックへコンバートしたことで才能が開花。これもコンフォートゾーンから出たことによる成功例の一つと言える。

しかし、コンフォートゾーンの外側には思わぬ落とし穴もある。「コンフォートゾーンの外側には学習領域というのがあり、その外側に危険領域というのがある。例えば、登山しようとしていきなりヒマラヤに行ったら死んでしまうかもしれない。スポーツ選手でも無理なトレーニングをするとケガをする。そこは危険領域ということ」と語り、無謀なチャレンジでは怪我や自信の喪失に繋がりかねないので、頑張れば到達できるレベルに挑戦することでコンフォートゾーンが少しずつ広がっていくと話した。

さらに樺沢は「アタマの中を全部出すこと」を提唱。「人は話すことによって脳の中が整理され、その分のスペースができ、そこから発想が生まれやすくなる」と言い、「言葉のキャッチボール自体がインプットとアウトプットになっている」と会話の重要性を説いた。しかし、ただ話せば良いわけではなく会話の内容も重要だという。「ポジティブとネガティブの割合が、3対1以上ある会社や夫婦がうまくいっているという研究がある。ネガティブな発言をゼロにするのは難しいので少しは言っても良いが、ポジティブなことをたくさん言った方が良い」という“ポジティブ心理学”を紹介。サッカーにおいても、失敗したことを何回も話すとネガティブな記憶が強化されてしまうので、ネガティブなことは一回だけ言って忘れるようにしてポジティブな会話を多くすることを推奨した。

また、話すのが不得意な人の対処法も紹介。相手の目を見て話すだけでも効果は大きく、それも不得意なら、最も伝えたいことを話す瞬間の1秒間だけでも相手の目を見ることで効果があると伝えた。

続けて樺沢は「30秒以内にメモをするべき」と提言。発想力がないという人でも、実は一日に何十個も発想したり、気づいたりしているのだとか。ただし、気づきの殆どは神経細胞の発火によるもので、その効果が脳に残るのは30秒程度。いくら良いアイデアでも99.9%忘れてしまうという。また、睡眠中に見る夢は、前日の出来事を脳の中が整理しているという考え方があり、朝起きた時は脳内が整理できているので発想が生まれやすく、手書きでもスマホでも良いのでメモを取ることを勧めた。

最後に、アウトプットとしてSNSの有効性を紹介。例えば番組SNSが放送と連動して 行った企画「#ForTomorrow」(全国のサッカークラブやファン・サポーターが、コロナ禍における自粛期間中の取り組みをFOOT×BRAINにSNSでシェア。それを番組が放送を通じて広く紹介した)が良い例だと言い、「場合によっては何万、何十万の人が見る可能性がある。そうなってくると発信するのに緊張しますよね? その緊張感は本気を出すという意味で効果的で自己成長にもつながる。SNSに悪口ではなくて、ほかの人を元気づけるようなコンテンツを提供することはとても素晴らしい」と話した。

画像ギャラリー

PICK UP