「防災×サッカー」子供たちが笑顔?楽しい防災訓練

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「防災×サッカー」子供たちが笑顔?楽しい防災訓練

元サッカー日本代表で日本サッカー殿堂入りしている加藤久が、3月7日に放送されるサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:20~)にゲスト出演。サッカー界が行っている様々な形の復興支援について語った。

日本代表などで名ディフェンダーとして活躍した加藤。実家が宮城県にあり、東日本大震災後にいち早く被災地に駆けつけボランティアに奔走。その後はJFA復興支援特任コーチに就任し、被災地にグラウンドを作るなど様々な支援に取り組んできた。

震災直後を振り返ると加藤は「スポーツ界、特にサッカー界の支援は早かった。サポーターの繋がりもそうですし、メディアには取り上げられていなくても“この間、香川真司がきた”というような話をたくさん聞いた」と語り、陸前高田出身の妻を持つ番組MCの勝村政信も震災後間もなく被災地の体育館へ向かった際に、「小笠原満男君が来て励ましてくれた」と言って多くの被災者が喜んでいる姿を目の当たりにしたという。実際、岩手出身の小笠原は、震災の1週間後には現地を訪問し復興支援をスタート。当時、加藤は「コンディションがガタガタになるからやめろといったけど、彼は本当に一生懸命にやっていた」と明かした。

被災時は、加藤の実家も浸水し、生まれ育った街がそのままなくなったような状態で、すぐには現実を受け止められなかったという。9年経った現在、新しい街が少しずつ出来上がり、ここで震災があったとわからないほどに復旧。「ただ、やっぱり心の傷は残っていると思う」と言って、計り知れない被災地の思いを伝えた。

そんな加藤が個人で支援を続けていた際、日本サッカー協会から要請を受けたのが復興支援特任コーチ。「あのショックをどうやったら拭えるのか?」家や遊ぶ場所はおろか、住んでいた街自体がなくなってしまった子供たちが、その嫌な思いを一瞬でも忘れられるのがスポーツをやっているときだった。加藤は「その瞬間を作るために一緒に遊んであげるっていう感じでした」と当時の心境を語りつつ、「自分が元気を与えるつもりだったけど、帰ってくると“向こうの人がこれだけのことに耐えている。自分も頑張らなくちゃ”って、逆に元気をもらっていた」と振り返った。

そして現在、子供たちが笑顔で防災を学べるサッカーとのコラボレーションが生まれている。今回、ブレインスカウター・サトミキこと佐藤美希が、その取り組みを体験するために都内の小学校へ。そこでは防災訓練が行われていたのだが、「おさない、かけない、しゃべらない、もどらない」といった基本を守って静かに行われる従来のイメージとは様子が違う。

ここでは学校の先生ではなく、防災の専門家とサッカー選手が協力して防災の知識、サッカーのテクニックを同時に伝える防災訓練「ディフェンスアクション」を実施。災害が起きても人が亡くならない国を作りたいという思いに共感し、小野伸二、楢崎正剛、中田浩二、秋田豊、小倉隆史ら日本を代表するレジェンドたちが参加。この日は元サッカー日本代表の石川直宏が駆け付けた。

この日、佐藤が体験したのは、数々の災害に対して適した初期行動をとるための訓練「ファーストアクション」。「地震……頭を守って低くかがむ」、「津波……高台へ避難」、「火災……口と鼻をおさえて低くかがみ建物の外へ逃げる」など、災害に応じた初期行動を楽しみながら体で覚えていくというもの。

サトミキは「最初はサッカーをしている感じだったのが、やっているうちにまわりをちゃんと見て、みんなと協力して声を掛けあって楽しかった」と語り、参加した子供たちも「いつもの避難訓練より楽しい!」と笑顔を見せていた。この様子に先生も「普段だったら“えーっ!”と言ってやる気を出してくれないのですが、チームで覚えたり、対戦だったりしたことで盛り上がって、楽しみながら勉強になっているのが凄く新鮮だった」と驚いていた。そのほかにも、川崎フロンターレは、市内で災害が起きた際にすぐに対応するべきことは何か、身を守る知識や身近な避難場所などが書かれた「防災かるた」をつくり、地元の小学校で大会を開いている。

このような取り組みについて勝村は「パニックを起こすというのは情報量を超えるということだから、子供のうちから情報を入れていくのは良いこと」と語り、加藤も「命を守るために本能的に行動するっていう意識は、安全が当たり前の現代の子供たちが持つのは難しい。練習しないことが試合では出ないのと一緒で、そういうことが起きたときのことをレッスンしておけば」と話した。

最後に勝村は「2011年4月に始まって、この時期になるとこの番組は必ず震災関連のことをやらせていただいている。ただ僕らは見ているだけじゃなくて、サッカーを通じて何かができないかを常に考えているので、延々と続けていきたい」と番組からのメッセージを伝えていた。

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